外寒す
朝の電車はやっぱり混んでるなぁ。
続きは小説です。
続きは小説です。
『塵一つ残さんぞ!!ファイヤーボールッ!!』
ゴオオオォォッ!
イフリートの手から巨大な火球が放たれた。
タイタンはバックステップでダズの背後に回り、直ぐさま魔法の詠唱を開始した。
ダズは迫る火球に対し一歩も退かず、手にした大鎌を強く握りしめた。
「唸れ!!クレセントサイダーッ!!」
高く掲げた大鎌を、縦に真っ直ぐ振り下ろした。
ズバァッ!
ファイヤーボールはその斬撃で真っ二つに引き裂かれ、消滅した。
(いける…!今なら戦える!!)
タイタンが、仲間がいることの安心感が、ダズの能力を最大限に引き上げていた。
「ダズ!横に飛べ!!」
後方で詠唱を終えたタイタンが叫ぶ。
すかさずダズは横に大きく飛んだ。
「凍てつけ!ストームガストオォッ!!」
その言葉と共に、吹雪の魔法"ストームガスト"がイフリートの正面に巻き起こる。
ここがトール火山だということを忘れるほどに、極寒の冷気が魔人達に襲い掛かる。
『ヌウゥンッ!!』
だが、イフリートはそれをものともせず、言葉の唸りと腕の一降りで魔法を掻き消した。
「………っ!」
ギギッ!パキッ
しかし、横にいたセシル=ディモンは冷気に体が凍りつき、弓を構えることが出来ない。
「ヘッ、お連れさんはアンタのようにはいかないみたいだな、イフリート!」
『人間風情が!意気がるでないわ!!』
勿論、タイタンはこの程度でイフリートの動きを封じることが出来るとは考えていない。
本命はもちろん、
「ヤアアアァァァーーッ!!」
掛け声と共に、イフリートの頭上から急降下を始めたダズである。
手に持つ大鎌を再び強く握りしめる。
「ボウリングッ……!!」
『ちょこざいな…!』
そして、大鎌から勢いよく攻撃の波動が放たれる。
「バーーッシュッ!!」
ズガァッ!!
その一撃を、イフリートは片腕で受け止めた。
まるで金属をぶつけ合うような硬い音をあげ、火花が散った。
「ちぃっ…!」
ダズは刃が通らないことに舌打ちし、後方に飛び下がった。
「魔人と名乗るだけはあるな。そう簡単にはいかねえ、か……」
「でも、ダメージは通ってるはず。諦めずにいこう」
ダズの言葉に、タイタンは笑みを浮かべる。
(よく言うようになったぜ。一番落ち込んでたくせによ)
そして、タイタンはすぐに次の攻撃の手を考え始めた。
イフリートは攻撃された腕を見、少なからず傷が残っていることに気付く。
『……我にかすり傷とはいえ、一太刀浴びせたことは褒めてやろう』
「褒められても嬉しかねーぜ、そんなんよ」
イフリートの言葉にも、捨て台詞のように返す余裕を見せるタイタン。
パキッ…!
その時、体の至る所が氷結していたセシル=ディモンが解放されつつあることに気付いた。
たいした足止めにもならなかったことに歯噛みしつつも、タイタンは次の詠唱に取り掛かろうとした。
『させるか!ファイヤーウォールッ!!』
ゴオッ!!
二人の目の前に、巨大な炎の壁が姿を現した。
咄嗟に鎌を構え、それを振り払おうとしたダズに、自由に体を動かせるようになったセシルの攻撃が迫る。
キィンッ!
能力を発揮できず、ダズは体勢を崩された。
「くそっ!間に合わねえ!!」
炎の壁は徐々に二人に近付いてきている。
迎撃の魔法を撃つにも、タイタンの詠唱時間を稼げない。
『フハハッ!たった二人でよくぞここまで戦えたものよ!だが、それも終わりだ!!』
イフリートがセシルの凍結解除のために口を開き、時間を稼いだことは明白だった。
炎の威力を更に強め、二人を追い詰める。
ドオンッ!!
後方の壁まで炎に追い詰められ、更にセシルから放たれる矢の雨も止まない。
(万事休す、か…!?)
タイタンは今度こそ死を覚悟した。
ダズを連れて横に逃げるにも、巨大な炎の壁に隙間はない。
タイタンはリングオブレゾナンスを握りしめ、再び力を解放しようとした。
自分を犠牲にしてでも、生かさなきゃならない奴がいる。
そう思える自分を誇りにして死ぬのも悪くない。
悪くはない。
ザンッ!!
しかしその瞬間、鈍い斬撃音と共にセシル=ディモンの体が首と胴体を切断され、三つに散った。
『なっ…!?』
イフリートは驚愕する。
魔人の気付かぬ間に、いや、気付けなかったのだろう。
魔法発動中の、己が勝利を確信した瞬間であり、伏兵がいるとはとても考えられない状況なのだから。
セシル=ディモンを倒した"二人"は、直ぐさまイフリートから離れダズとタイタンの元へ駆け寄る。
「デリュージッ!!」
ジュウゥッ…!
足元に突如出現した水場により、ファイアーウォールは勢いを弱めた。
ダズも途端に止んだ攻撃の隙をつき、小さくなった炎の壁を大鎌で真っ二つに引き裂いた。
タイタンは駆け寄る二人の姿を見、安堵の表情を浮かべた。
「……来るのが遅ぇよ」
「すまんな、抜け出すのに手間取った」
タイタンの言葉に、その二人のうちの一人、アリルが返す。
「おい、貴様は胴を切れと言っただろう。でしゃばって首を持っていきやがって」
対するもう一人の男、刹牙は不服そうな顔をしている。
アリルはそれにカチンときたのか(正確にはでしゃばりという言葉が引っ掛かったのか)目を細めて刹牙を睨む。
「…暗殺者風情が、調子に乗ってんじゃないよ」
「なんだとこのクソ女が、なんならここで決着をつけても…」
タイタンは再び言い争いを始めようとする二人の間に割って入った。
「あーはいはい、二人ともそこまでだ。ところで、あんたは?見たところどこかの暗殺部隊のようだが……」
「………まあいい、教えてやろう」
一瞬の沈黙の後、刹牙はタイタンの質問に答えた。
「俺は特殊暗殺部隊"牙"の一員。コードネームは刹牙だ」
「ん?"牙"の一員なのか?ということは、アヤと同じ所属か」
タイタンがアヤの名を口にした瞬間、刹牙の表情が一変した。
「なっ……貴様、アヤ副隊長を知っているのか!?」
「あぁ、まあ古い友人でな。……あいつそんな立場だったのかよ」
アヤ=スカーレット、コードネーム"紅牙"。
アサシンギルド直轄の特殊暗殺部隊"牙"の副隊長である。
(……アヤってそんなにすごい人だったんだ)
ほのぼのとしたアヤの外見に似つかわない役職に、ダズは心の中でただ驚くしかなかった。
「世間話はこのへんにしておくか。奴さんがお待ちだぜ」
タイタンの一言で、その場にいる四人は魔人へと向き直る。
『……たった四人で何ができるという。過去に何十、何百という人間が束になってかかろうとも、我が統べるトール火山はびくともしなかった』
イフリートは動じない。
彼もまた誇り高き魔族であり、トール火山の長として、永くこの地を守り抜いてきた。
力の差は歴然である。
(だけど、負けられない)
ダズは心の中でそう呟いた。
イフリートを止めれば、この魔物同士の戦争を未然に防ぐことができる。
何者かが裏で暗躍している可能性は大きく、イフリートもこの火山の魔物も皆、利用されているに過ぎないということ。
それを伝えなければいけない。
勝って、この戦いを終わらせるしかない。
『所詮は人間という下等な存在。かつての六英雄のような力を持つ者はもう存在しえない』
イフリートは口調を強める。
その言葉と共に、トール火山の地が大きく揺れ始めた。
『聖戦"ラグナロク"が終わり、この世は新しい時代を迎えた。貴様等が我が物顔でこの地を歩き回る時代もこれまでだ。力ある者がこの世を統べる……』
魔人を包む炎が一層強さを増し、対峙する四人に大きなプレッシャーを与える。
『このトール火山のイフリートが統一する世界を、貴様等にも見せてやろう』
「……イフリート、アンタは間違ってる」
タイタンは一人の人間として、口を開いた。
「こんな戦いの後には何も生まれない。残るのは無惨に散った命の重さ、それと……」
武器を構え、己が全てを魔人にぶつける覚悟を前に。
彼らは戦う。
未来のため、明日のために。
「絶望だけだ」
タイタンはバゼラルドを。
ダズはクレセントサイダーを。
アリルはカウンターダガーを。
刹牙はバリアスジュルを。
それぞれが構えた。
「……四人じゃないよ」
"彼女"もまた、人間だった。
「皆で、一つだ」
ガシャンッ!
大きな音と共に、その手に持つ"イクシオンの羽"が翼を広げた。
タイタンはその姿を見、安堵と喜びを表情に表した。
「ったくよぉ、親みたいな人を……いや、家族を心配させるもんじゃねえぞ」
「……うん、ごめんね」
ホムンクルス"ゼラス=ゴート"を引き連れ、マツリはその姿を現した。
「さぁ、人間様の力がどんなものか、見せ付けてやろうじゃねえか」
タイタンの一言に迷いはなかった。
決戦の火蓋が切って落とされる。
「始まるのか……」
トール火山の麓まで下ったリン=シャオユウは、ペコペコの背傷着いたタルトレットと、
「ぐぅ~……ムニャムニャ……」
熟睡するミカンを見、その場を後にしていた。
「……まさか気絶したフリをして寝るとはな。図太い神経をしているものだ」
彼女を叱咤しつつも、己の拳を強く握りしめる。
「こいつらをこのままにするわけにはいかないな。後は任せたぞ……ダズ、マツリ、タイタン」
ゴオオオォォッ!
イフリートの手から巨大な火球が放たれた。
タイタンはバックステップでダズの背後に回り、直ぐさま魔法の詠唱を開始した。
ダズは迫る火球に対し一歩も退かず、手にした大鎌を強く握りしめた。
「唸れ!!クレセントサイダーッ!!」
高く掲げた大鎌を、縦に真っ直ぐ振り下ろした。
ズバァッ!
ファイヤーボールはその斬撃で真っ二つに引き裂かれ、消滅した。
(いける…!今なら戦える!!)
タイタンが、仲間がいることの安心感が、ダズの能力を最大限に引き上げていた。
「ダズ!横に飛べ!!」
後方で詠唱を終えたタイタンが叫ぶ。
すかさずダズは横に大きく飛んだ。
「凍てつけ!ストームガストオォッ!!」
その言葉と共に、吹雪の魔法"ストームガスト"がイフリートの正面に巻き起こる。
ここがトール火山だということを忘れるほどに、極寒の冷気が魔人達に襲い掛かる。
『ヌウゥンッ!!』
だが、イフリートはそれをものともせず、言葉の唸りと腕の一降りで魔法を掻き消した。
「………っ!」
ギギッ!パキッ
しかし、横にいたセシル=ディモンは冷気に体が凍りつき、弓を構えることが出来ない。
「ヘッ、お連れさんはアンタのようにはいかないみたいだな、イフリート!」
『人間風情が!意気がるでないわ!!』
勿論、タイタンはこの程度でイフリートの動きを封じることが出来るとは考えていない。
本命はもちろん、
「ヤアアアァァァーーッ!!」
掛け声と共に、イフリートの頭上から急降下を始めたダズである。
手に持つ大鎌を再び強く握りしめる。
「ボウリングッ……!!」
『ちょこざいな…!』
そして、大鎌から勢いよく攻撃の波動が放たれる。
「バーーッシュッ!!」
ズガァッ!!
その一撃を、イフリートは片腕で受け止めた。
まるで金属をぶつけ合うような硬い音をあげ、火花が散った。
「ちぃっ…!」
ダズは刃が通らないことに舌打ちし、後方に飛び下がった。
「魔人と名乗るだけはあるな。そう簡単にはいかねえ、か……」
「でも、ダメージは通ってるはず。諦めずにいこう」
ダズの言葉に、タイタンは笑みを浮かべる。
(よく言うようになったぜ。一番落ち込んでたくせによ)
そして、タイタンはすぐに次の攻撃の手を考え始めた。
イフリートは攻撃された腕を見、少なからず傷が残っていることに気付く。
『……我にかすり傷とはいえ、一太刀浴びせたことは褒めてやろう』
「褒められても嬉しかねーぜ、そんなんよ」
イフリートの言葉にも、捨て台詞のように返す余裕を見せるタイタン。
パキッ…!
その時、体の至る所が氷結していたセシル=ディモンが解放されつつあることに気付いた。
たいした足止めにもならなかったことに歯噛みしつつも、タイタンは次の詠唱に取り掛かろうとした。
『させるか!ファイヤーウォールッ!!』
ゴオッ!!
二人の目の前に、巨大な炎の壁が姿を現した。
咄嗟に鎌を構え、それを振り払おうとしたダズに、自由に体を動かせるようになったセシルの攻撃が迫る。
キィンッ!
能力を発揮できず、ダズは体勢を崩された。
「くそっ!間に合わねえ!!」
炎の壁は徐々に二人に近付いてきている。
迎撃の魔法を撃つにも、タイタンの詠唱時間を稼げない。
『フハハッ!たった二人でよくぞここまで戦えたものよ!だが、それも終わりだ!!』
イフリートがセシルの凍結解除のために口を開き、時間を稼いだことは明白だった。
炎の威力を更に強め、二人を追い詰める。
ドオンッ!!
後方の壁まで炎に追い詰められ、更にセシルから放たれる矢の雨も止まない。
(万事休す、か…!?)
タイタンは今度こそ死を覚悟した。
ダズを連れて横に逃げるにも、巨大な炎の壁に隙間はない。
タイタンはリングオブレゾナンスを握りしめ、再び力を解放しようとした。
自分を犠牲にしてでも、生かさなきゃならない奴がいる。
そう思える自分を誇りにして死ぬのも悪くない。
悪くはない。
ザンッ!!
しかしその瞬間、鈍い斬撃音と共にセシル=ディモンの体が首と胴体を切断され、三つに散った。
『なっ…!?』
イフリートは驚愕する。
魔人の気付かぬ間に、いや、気付けなかったのだろう。
魔法発動中の、己が勝利を確信した瞬間であり、伏兵がいるとはとても考えられない状況なのだから。
セシル=ディモンを倒した"二人"は、直ぐさまイフリートから離れダズとタイタンの元へ駆け寄る。
「デリュージッ!!」
ジュウゥッ…!
足元に突如出現した水場により、ファイアーウォールは勢いを弱めた。
ダズも途端に止んだ攻撃の隙をつき、小さくなった炎の壁を大鎌で真っ二つに引き裂いた。
タイタンは駆け寄る二人の姿を見、安堵の表情を浮かべた。
「……来るのが遅ぇよ」
「すまんな、抜け出すのに手間取った」
タイタンの言葉に、その二人のうちの一人、アリルが返す。
「おい、貴様は胴を切れと言っただろう。でしゃばって首を持っていきやがって」
対するもう一人の男、刹牙は不服そうな顔をしている。
アリルはそれにカチンときたのか(正確にはでしゃばりという言葉が引っ掛かったのか)目を細めて刹牙を睨む。
「…暗殺者風情が、調子に乗ってんじゃないよ」
「なんだとこのクソ女が、なんならここで決着をつけても…」
タイタンは再び言い争いを始めようとする二人の間に割って入った。
「あーはいはい、二人ともそこまでだ。ところで、あんたは?見たところどこかの暗殺部隊のようだが……」
「………まあいい、教えてやろう」
一瞬の沈黙の後、刹牙はタイタンの質問に答えた。
「俺は特殊暗殺部隊"牙"の一員。コードネームは刹牙だ」
「ん?"牙"の一員なのか?ということは、アヤと同じ所属か」
タイタンがアヤの名を口にした瞬間、刹牙の表情が一変した。
「なっ……貴様、アヤ副隊長を知っているのか!?」
「あぁ、まあ古い友人でな。……あいつそんな立場だったのかよ」
アヤ=スカーレット、コードネーム"紅牙"。
アサシンギルド直轄の特殊暗殺部隊"牙"の副隊長である。
(……アヤってそんなにすごい人だったんだ)
ほのぼのとしたアヤの外見に似つかわない役職に、ダズは心の中でただ驚くしかなかった。
「世間話はこのへんにしておくか。奴さんがお待ちだぜ」
タイタンの一言で、その場にいる四人は魔人へと向き直る。
『……たった四人で何ができるという。過去に何十、何百という人間が束になってかかろうとも、我が統べるトール火山はびくともしなかった』
イフリートは動じない。
彼もまた誇り高き魔族であり、トール火山の長として、永くこの地を守り抜いてきた。
力の差は歴然である。
(だけど、負けられない)
ダズは心の中でそう呟いた。
イフリートを止めれば、この魔物同士の戦争を未然に防ぐことができる。
何者かが裏で暗躍している可能性は大きく、イフリートもこの火山の魔物も皆、利用されているに過ぎないということ。
それを伝えなければいけない。
勝って、この戦いを終わらせるしかない。
『所詮は人間という下等な存在。かつての六英雄のような力を持つ者はもう存在しえない』
イフリートは口調を強める。
その言葉と共に、トール火山の地が大きく揺れ始めた。
『聖戦"ラグナロク"が終わり、この世は新しい時代を迎えた。貴様等が我が物顔でこの地を歩き回る時代もこれまでだ。力ある者がこの世を統べる……』
魔人を包む炎が一層強さを増し、対峙する四人に大きなプレッシャーを与える。
『このトール火山のイフリートが統一する世界を、貴様等にも見せてやろう』
「……イフリート、アンタは間違ってる」
タイタンは一人の人間として、口を開いた。
「こんな戦いの後には何も生まれない。残るのは無惨に散った命の重さ、それと……」
武器を構え、己が全てを魔人にぶつける覚悟を前に。
彼らは戦う。
未来のため、明日のために。
「絶望だけだ」
タイタンはバゼラルドを。
ダズはクレセントサイダーを。
アリルはカウンターダガーを。
刹牙はバリアスジュルを。
それぞれが構えた。
「……四人じゃないよ」
"彼女"もまた、人間だった。
「皆で、一つだ」
ガシャンッ!
大きな音と共に、その手に持つ"イクシオンの羽"が翼を広げた。
タイタンはその姿を見、安堵と喜びを表情に表した。
「ったくよぉ、親みたいな人を……いや、家族を心配させるもんじゃねえぞ」
「……うん、ごめんね」
ホムンクルス"ゼラス=ゴート"を引き連れ、マツリはその姿を現した。
「さぁ、人間様の力がどんなものか、見せ付けてやろうじゃねえか」
タイタンの一言に迷いはなかった。
決戦の火蓋が切って落とされる。
「始まるのか……」
トール火山の麓まで下ったリン=シャオユウは、ペコペコの背傷着いたタルトレットと、
「ぐぅ~……ムニャムニャ……」
熟睡するミカンを見、その場を後にしていた。
「……まさか気絶したフリをして寝るとはな。図太い神経をしているものだ」
彼女を叱咤しつつも、己の拳を強く握りしめる。
「こいつらをこのままにするわけにはいかないな。後は任せたぞ……ダズ、マツリ、タイタン」
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