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まだ寒い

暖かくなったと思ったら雨で寒い。

3月のスキーのために、長野にはまだ雪が残ってることを祈ろう。


続きは小説です。

今回戦闘なしなので読んでてだるいかも。伏線回収して、新しい設定を盛り込んでみた。
「生体、兵器……?」


ここは遥か上空数千メートル。
飛行船でジュノーからシュバルツガルド方面へと乗り換えた菫吏達一行は、研究所のあるリヒタルゼンを目指していた。

物騒な言葉を横にいるエシュゾーから聞き、菫吏は顔をしかめた。


「はい、科学者達は何処からともなく現れた異形の者と手を組み、"死者を従え戦わせる"という恐ろしい研究をしているそうです……」


「なんてことを……死者を蘇らせるなんて、神への冒涜に他ならない……」


菫吏は更に顔を強張らせ、怒りと恐怖に身を震わせた。


「菫吏さん……」


そんな菫吏の肩にそっと手を乗せ、奈那留は悲観をあらわにする。

菫吏はすぐに顔を上げ、奈那留の目を見つめ返した。
お互いショックを隠しきれず、その恐ろしい研究を阻止できるのかと、心の底から不安が込み上げる。



「……そんなの、全部叩き潰すだけ……」


そんな中、横で武器の手入れをしていたサッチ=ビスマルクは、冷ややかに口に開く。

更にそれに乗るようにして、


「そうですよ。悩んでいても仕方ありません」


「敵を全部叩けば済む話ッス」


上品な言葉遣いをするサツキと、若い子供のような(というか子供そのものの)軽々しい口調でマスカテルフレーバーが続いた。

再び顔を上げ、菫吏は心配が残りつつも頼もしい仲間達を見、表情を和らげた。


「……そうですよ!皆さんの言う通りです!」


エシュゾーが立ち上がり、拳を強く握って前向きな気持ちを顕にする。


「二度とそんな研究ができないように、ボコボコにして改心させてやればいいんですから!」


「……エシュゾー、足、震えてる」


「え、あっ……」


サッチのツッコミでエシュゾーは初めて気が付く。
己の足が震えを隠し切れていないことに。

不安は誰しもに、少なからずあった。
まったく気に病んでいない様子を見せているのは、サツキとサッチの二人ぐらいである。



深い雲の先はまだ開けない。
飛行船はゆっくりとリヒタルゼンの町を目指し、乗客を乗せ空の旅を続けていた。
















場所は変わり、ここはトール火山の最深部。

魔人イフリートと対峙する五人と、少し離れた場所に姿を現した一人。


その新に現れた人物"スルト=レーヴァンテイン"から、ほぼ同じ時間軸でエシュゾーの口から語られた"生体研究"に関する情報が発せられた。


「生体兵器とは、まあ……また恐ろしいことを考えるやつがこの世にはいたもんだな」


火山の熱のせいか、はたまた情報の恐ろしさにか、タイタンは冷や汗を顔に浮かべた。


「……話はおおよそ繋がった。スルト殿、後はこのアリルから話をしてもよいだろうか?」


五人の中から一歩前に出、アリルが口開く。
スルトはアリルを見、無言で頷き返す。


「話から判るように、先程のセシル=ディモンもその生体研究の成果の一つと見て間違いないでしょう」


その場にいた全員が納得できることだった。
死者を蘇らせる生体研究により、六英雄の一人が再び現世に現れたという事実。


「更にイフリート、アンタが知ってか知らずかはわからないが、このトール火山にも実験施設が用意されていた。恐らく人が足を踏み入れないことを利用した隔離施設か何かだろう」


『…………』


魔人は黙したまま、動きを止めている。
その程度では動じないという余裕の現れだろうか。


「ここからはアタシの推測だが……イフリート、アンタに協力の話を持ち掛けてきたのは、同じ魔族の者だろう?更にその魔族は、リヒタルゼンの生体研究所とも手を結んでいると考えられる」


ここで初めてイフリートが口を開いた。


『鋭いな人間よ。確かに、このトール火山の研究所については我が許可した。我が軍勢を強化するための施設としてな』


スルトが現れたからだろうか、今まで殺気を撒き散らしていた塲は静まりを見せていた。

スルトは戦う意志があってここに来た訳ではないことを五人は理解しており、イフリートも自分にとって有益な情報を聞き出せると、どこかで感じ取っていたからかもしれない。


『貴様の想像通り、我に戦力を預けたのも同じ魔族だ。我が創る新世界を共に見たいという意志を受け、手を組んだ』


「そういうことかよ……アリル、スルトさん、俺も大体話が見えてきたぜ」


タイタンもそこで何かに気付いたようだ。
ダズとマツリだけが、話に取り残されているように見られる。


「二人も察しがついたであろう。余の調べで判ったことだが……イフリート」


スルトは魔人のほうを向き直り、更に言葉を口に出す。




「お前に手を貸したのは……"魔王モロク"の手の者だ」


『……ッ!?』


周囲に纏う炎を揺らめかせ、イフリートは初めて動揺を顕にした。


「そ、そんな!?」


魔人だけではない、マツリも驚愕していた。

忘れるわけもない。
友人を、家族を失ったあの事件、魔王モロクの顕現により崩壊した砂漠の町モロクのことを。


「だ、だってモロクは傷ついて次元の狭間に逃げ込んだって…!もうこの世界には影響ないはずなんじゃ!?」


「マツリ落ち着け!」


感情を抑え切れないマツリを、タイタンが宥める。


「お、おじさん……」


タイタンの気迫に一瞬身を震わせ、マツリは押し黙る。
そんな彼女の肩を、背中からダズが優しく両手で包んだ。


『あのモロクが!?人間ごときに遅れを取り、二度目の封印にまで追い込まれた奴が…!!』


イフリートも驚愕を内に隠せない。
やはり同じ魔族と言えど、全てが繋がりあっているわけではないのだろう。

モロクの崩壊に、トール火山は関わっていないという証拠の表れだった。


そこで、今まで黙っていた刹牙が口を開いた。


「……なるほどな。我がアサシンギルドの得ている情報ともほぼ合致している。つまり、話の先を予測すると……」


次の言葉は、誰もが予想できたであろう。
刹牙は一瞬の間の後、更に言葉を続けた。




「イフリート、アンタは魔王モロクに"利用されている"」




まさにその通りだろう。
全員が合点がいく。

魔王モロクは復活の機会をうかがっており、己の支配、進行に邪魔になると考えられる"トール火山"、"氷の洞窟"の両戦力を戦争で疲弊させることが目的なのだろう。



『所詮は人間の調べによる話だ。我が信じるまでもない。だが……』


魔族としてのプライドか、意地か。
イフリートは五人には目もくれない。

しかし、スルトのほうを向き直る。


『"スルト=レーヴァンテイン"。貴様がここに現れたということで、それは信頼に値する情報であることも頷ける』


その言葉に、スルトは小さな笑みを浮かべる。


『同じ魔族として、過去に共に力を合わせたよしみで、この場は一度引いてやろう。それが本当なら、トール火山は無駄な戦力を割くわけには行かぬ』


「恩に着る。炎の魔人よ」


スルトはイフリートに小さく会釈した。

タイタンは二つの魔族を見、肩の荷が折りたかのように小さく息を吐いた。


「これでこの場は一件落着か……だったら、このことをすぐに氷の主にも報告しないとな」


「その役はアタシが引き受けよう」


アリルが一歩前に出、それに答えた。


「俺もギルドに戻り、報告をせねばならん。先に失礼する」


シュンッ


短い言葉で、刹牙は静かにその場を後にした。
それを見送り、残った全員は次の行動に移ろうとする。


「俺もすぐに次の作戦に移らないとな。モロクの町の調査と、リヒタルゼンの研究所への侵入だ」


「あぁ、それについてだがな、タイタン」


タイタンの言葉に、スルトはすぐさま返した。


「リヒタルゼンへ、有能な人材を派遣しておいた。恐らく問題はないだろう」


「有能な、人材…?」


タイタンだけでなく、ダズやマツリもその言葉に首を傾げた。














イフリートと残った五人から少し離れた岩場で、一つの影がうごめいた。


『……失敗だと…?』


小さく、しかし重く呟くその影は、更に言葉を続ける。


『まあいい、そう易々と阻止できるものでもあるまい』


影は徐々に大きくなり、やがてそれは大きな羽の形を現した。


『まずは"モロク様"に報告をせねばな……』


その身を甲冑に包み、背には大きな二枚の羽を生やした者。

それは紛れも無く"天使"の姿。
全身から負のオーラを発し、トール火山と不釣り合いなまでにそこに存在していた。



バサッ


その者は黒い羽を散らせながら、次の瞬間にその場から消えていた。

















場面は再び飛行船の甲板へと戻った。


「この状況を、あなたはどう思いますか?」


一人、そこで呟く者がいた。


『……そうですね。多少疑問は残りますが、あの者からの頼みです。無下にすることはできないでしょう』


その者から発せられた言葉ではない。
どこからともなく、それは聞こえてきた。


「難しいことは貴方に任せます。"俺"が目の前の障害を破壊するだけでよいのでしょう?」


見た目とは不釣り合いな一人称で口を開いたのは、紛れも無く"オーバークリエイター"と呼ばれるサツキであった。

他の者から見ればただの独り言。
しかし、明らかに誰かに語りかけているようだった。


『"スルト"には大きな恩があります。それに報いるためにもお願いしますね、サツキ』


声はサツキの奥底から聞こえるようだった。

その言葉に、サツキは首を小さく横に振った。


「今更ですよ。お願いされなくても、私と貴方は一心同体。断る理由もありません」


確かにそこには二人いた。
サツキにだけ聞こえる声で、会話をしている。


「今までもそうやってきたではないですか。そうでしょう?"フレイヤ"」


サツキの口から発せられた名前。

それはアルナベルツ共和国で女神として信仰される者の名だった。




女神を内に宿す者"サツキ"。


彼女は微笑を浮かべながら、今だ開けない雲の先を見つめていた。
コメント

No title

おいえしゅぞー、足震えてるんじゃねぇm9(^д^)プギャー

小説に盛り込んでくれるなんて嬉しい(*ノノ)

うおおぉ!エシュゾー!さっちんが来てくれたよ!さっちんキー!
いつもコメントありがとうー!

これからさっちんとエシュゾーの目眩く愛のストーリーが展開されていきますよ!

No title

ほげー

No title

風の噂で聞きつけたんですが
「レーヴァンテイン」さんだから別人だったみたいですね^^

No title

魔王様お久しぶりですー(゚∀゚)ノ
いやーこれは恥ずかしいミス。昔なんて書いてたかすっかり忘れていてしまいました。
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