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不幸だ…

上条さん風に。


昨日兄と少し口論になった。
どうやら酔っ払って帰ってきて暴言をはきながら物に当たり始めたことに、自分が怒鳴ったことでブチ切れたのだろう。

棚臨&スカイプ中につかみ掛かってくる兄を母が必死に押さえる。
母が泣き始めて兄も少し理性を取り戻す。

これがドラクエ6だったら確実に倒すか倒されるかの結果になっていたかもしれない。
(アモスさんはメインメンバーにしたい派)



それで終わりならいいが、飲み直すといって再び家を出る兄。
今日兄は大事な学位授与式があるので、微妙に嫌な予感はしていた。

案の定朝ベロンベロンに酔っ払って帰宅する兄。
揚げ句指に怪我をして血が出ている。

心配だがそれより家を出ないといけなかったので母に後は任せて放置。
たぶん学校行っても悲惨なことになってそう。


不幸だ…。


昨日話してたまつりちゃ、とーりん、サツキさんごめんなさい。


続きは小説です。
奈那留は困惑していた。

いや、困惑以上に死への恐怖のほうが強かったかもしれない。


ズガァンッ!!


「アァッ!」


背にしていた壁が轟音と共に崩れ去り、身を守る術が無くなる。


目の前には、赤と青の光を両手に宿した人物がおり、ゆっくりとこちらに歩を進めてくる。


「なんとか…しなきゃ……!」


奈那留が対峙する人物、それはかつて六英雄と呼ばれた一人、"カトリーヌ=ケイロン"だった。
だが、彼女からは生気が感じられない。
ここは生体研究所の最深部であり、死者を蘇らせる実験により生み出された"生ける屍"にあたることは、既知の事実である。

周囲に先程まで共にいた仲間の姿はない。
何かしらの力でパーティを分断されたのだろう。


ゴオッ!


次の瞬間カトリーヌの片腕から、強力なファイアーボールが放たれた。

かつてタイタン達が対峙したトール火山の主、魔人イフリートのそれには及ばないにしても、十分な破壊力を秘めていた。


「クッ!」


それに合わせ、奈那留は手にした杖"スタッフオブディストラクション"を前に構え、即座に同じ魔法を発動する。


ズゴオッ!!


二つのファイアーボールがぶつかり合い、相殺される。

だが、カトリーヌはそれを見越していたかのように、次はもう片方の腕から凍てつく刃コールドボルトを放った。


ガガガガッ!


奈那留の周囲を氷の刃が貫く。

咄嗟に回避行動を取ったが、全てを完全に避けることができず、数本が奈那留の体に掠り傷を残す。


(このままじゃ…やられる……)


防戦一方の奈那留には未だ勝機が見えない。


他の仲間はどうしているだろうか。

窮地に追い込まれながらも、奈那留は他の者達のことを気にせずにはいられなかった。







「……………」


「……………」


暗殺者同士が睨み合い、武器を構え、相手の様子を伺っていた。

アサシンクロスのサッチ=ビスマルクは、奈那留の対峙する者と同じ六英雄の"エレメス=ガイル"と向き合っていた。



既に対峙してから数分が経過している。

熟練した者同士の戦いは一瞬の油断やスキが命取りとなる。

またそれにより、決着も即座に着くことが多い。


それがよく分かる場面だった。



ザッ!


先に仕掛けたのはエレメスのほうだった。







「あなたは……"マーガレッタ=ソリン"…!?」


エシュゾーは奈那留と同様、困惑していた。

相手は伝説のハイプリーストとして六英雄と呼ばれた実力者。


もちろん、エシュゾーは戦う理由もないと考えており、戦う術すらも持ち合わせていない。

手にしているのは"治癒の杖"。
支援魔法強化のために存在する武器であり、無論こんなもので殴り倒せるほど甘い相手ではない。


ダッ!


対するマーガレッタは、手にした鈍器を振りかざし、エシュゾーに襲い掛かる。


「ま、待って…!うわっ!!」


ドガァッ!!


振り下ろされた鈍器をかろうじて避ける。
しかし、それがたたき付けられた地面はただでは済まない。

床がめくれ上がるほどの威力に、エシュゾーはゾッとする。


攻撃はそれだけでは終わらず、次に横薙ぎにされた鈍器を後ろに跳ぶことで身をかわす。


「ぼ、僕は貴女とは戦えない…!同じ聖職者なのに……どうしてこんな…!」


必死に語りかける言葉も虚しく、マーガレッタは決して攻撃の手を緩めない。







「あんた誰ッスか?」


他の数名とは明らかに身長差があるクルセイダーのマスカテルフレーバーは、対峙する六英雄のロードナイト"セイレン=ウィンザー"が誰であるかを知らない。


「…………」


もちろん、マスカテルの言葉にセイレンは反応しない。

腰に下げた鞘からゆっくりと剣を抜き、前に構えた。


「誰だか知らないッスが、敵だということだけは分かったッス」


放たれる強い殺気を感じ取り、マスカテルも同様に武器を構えた。

身長の1.5倍はあろうかという槍を前に、臨戦体勢を取る。


「自分マスカテルフレーバーというッス。手合わせ願うッス」


気の抜けた、なんとも(見た目通り)子供らしい言葉遣いで相手と向き合っていた。










「ふうむ……これは弱りました」


サツキはヤレヤレと肩をすくめる。

目線の先には六英雄が一人、ホワイトスミスの"ハワード=アルトアイゼン"がいた。
大きなハンマーとアックスを両手に一つずつ持ち、今にもサツキに襲い掛からんとしている。


「はぐれてしまったようですね」


しかし、そんなこと微塵も気にした様子もないというように、己が武器すらも構えずにいる。


『何を呆けているのですサツキ。相手は六英雄の一人ですよ?』


そんなサツキに語りかける声がもう一つ。
彼女が身に宿すもう一人の存在、女神"フレイヤ"だった。


『早く武器を構えなさい。いくら貴方と言えどこのままでは…あっ!』


フレイヤの忠告も虚しく、既に目前に迫るハワードの腕から、巨大なアックスが振り下ろされていた。


ドガァッ!!


体を真っ二つに切り裂かれる程の轟音に、サツキの体もただでは済まない、


ように思われた。


ギギッ


しかし、なんとサツキは振り下ろされたアックスを片腕で受け止めていた。


轟音はそれを受け止めたことにより、地面が陥没した音である。


「せっかちな人ですね……」


ハワードはすかさず武器を引き戻そうと力を込めた。


「まったく……これでは戦わずにはいられないではありませんか」


しかし、武器は"ピクリとも動かない"。


「よし……フレイヤ。ちょっと"すっこんでろ"」


サツキの口調が変わった。


『…っ!!……!』


何かを叫ぶような声が掠れ、消えていき、それ以降サツキの中からフレイヤの気配を感じられなくなった。


下を向いていたサツキがゆっくりと顔をあげる。



ニヤァ


その顔には、不気味な笑みを満面に浮かべていた。


「お前がいたら、"俺"が本気出せねえじゃねえか」


バキィッ!!


掴んでいたアックスの刃が、握力だけで割られ、欠ける。


"オーバークリエイター"は、ここにきて初めて臨戦体勢を取った。








「ハアッ!ハッ…!」


息を切らし、必死に弓を構える女が一人。


シュンッ!


休まる暇もなく次々に飛び交う矢の雨と、ダンサーの菫吏は応戦していた。


「クッ…!そこ!!」


かろうじてそれを避け、対抗するように弓を引き絞る。

放たれた矢は、暗闇の先にいる見えない相手に向かう。
しかし、手応えはない。


菫吏が対峙する相手は、同じく六英雄の一人"セシル=ディモン"。
一瞬だけ捕らえることのできた姿から、それは間違いないと菫吏も確信していた。


「……文献で見た容姿のままだ。でも、なんでこんな…!」


生体研究により生み出された英雄に、菫吏は怒りを隠せない。




どうしてこんなことになってしまったのか。

最低限の武具だけで、他になんの策も無しにここにきた事を後悔する。



これには理由があった。











「どうやら貧困街のどこかから研究所に繋がっているのは、間違いないみたい」


菫吏は裏事情に詳しい人物達から得た情報を皆に伝えた。


「でも、どうしましょうか?貧困街へは通行証がないと通れないみたいですし……」


奈那留は困ったように菫吏とエシュゾーを見た。
(その他の三人はもとより話し合いに交ざる気などないようである)

リヒタルゼンの街に着いた六人は、ここの住人ではないというだけで貧困街への通行を認められなかった。


レッケンベルの本社より発行される通行証があれば、それも可能になったかもしれない。
しかし、それ無しでは警備兵は首を縦に振ろうとはしなかった。

マスカテルフレーバーが子供のフリ(むしろ見た目通りの無邪気さ)で警備兵の注意を引く作戦は失敗に終わっている。

(警備兵を揺するためにサツキの考案した"お色気大作戦"は、菫吏と奈那留から即座に却下されていた)



「どうしようか……このままじゃ捜査もままならない。……って、サッチさん?」


エシュゾーの声掛けをよそに、今まで無言で様子を見ていたサッチ=ビスマルクが、警備兵のいる方向へ足早に歩を進めていた。


目の前に迫る不審者を見、もちろん警備兵は黙っていない。


「な、なんだ貴様!止まれ!」


しかし、サッチは止まらない。
腰に下げた警棒を構え、更に焦る警備兵。


シュンッ!


「止まらんと、グッ!」


一瞬にして背後に回ったサッチは、首筋に軽く一撃を放ち、瞬く間に警備兵を気絶させた。


「……え?」


「……今なら、通れる………」


当然のように歩を進めるサッチ。

唖然として一部始終を見ていた五人だったが、仕方のないというようにそれに続いた。


貧困街に入り少し歩いた場所に、地下に繋がっているであろう大きなパイプの前に着いた。


「ここが入口ですか?うー……やっぱり臭いがキツイ……」


下水に繋がるそのパイプの穴からは悪臭がしており、エシュゾーは思わず鼻を摘んだ。


「しのごの言ってらんないッス。先に行かせてもらうッス」


まるで気にならないというように、マスカテルはパイプの穴に飛び込んだ。
先は真っ暗で、滑り台のようになっている穴を降りていく。


「ま、待ってマスカテルちゃん!」


それを追うように、奈那留が続いた。


「私たちも行きましょう」


菫吏も鼻を摘みながら、穴に飛び込んだ。


「薬品に比べたらこんな臭い造作もないですね」


サツキもマスカテルと同様に、全く気にする様子はなく飛び込んだ。


「えっ、皆大丈夫なのかこんな暗いところ……」


エシュゾーだけは踏み止まっていた。

その時、



ピーッ!!


大きな警報音と共に、街に放送が響き渡った。



『貧困街に侵入者がいる模様!直ちに調査に当たれ!繰り返す…!』


「もう見つかった……」


サッチが小さく呟いた。
気絶させた警備兵が目を覚ましたのだろう。
時間がないことは明白だった。


「ほら!サッチさんが強引だからこんなことに!」


まるで飛び込みたくない言い訳でもするように、エシュゾーは焦り始める。


「早く行って……」


ドカッ


「う、うわあああぁぁぁぁ…!!」


サッチはエシュゾーを足蹴にし、パイプに突き落とした。

滑り落ちる恐怖に声をあげるエシュゾーの音がパイプ内をこだまする。


サッチもそれに続き、中に飛び込んだ。


パイプ内は入り組んでおり、途中何度も分かれ道があった。

これによって全員が別々の道に分断されたのだろう。
コメント

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さっちゃんがすてき!
しかもえしゅぞーさんを突き落としなんて。。
さっちゃんにしかできない芸当ですね・・・(ぁ
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