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ところが

下の記事の小説続き。
「ふん、何かと思えば……どうせ結果は一緒だ。しかし、王直属というならば、一度ぐらいなら試させてやらなくもない」


「有り難き幸せ……では、失礼します」


ビスカス神父の言葉にサツキは答え、皆の間を抜け前へ出た。

先ほどと同じように、イエロージェムストーンを遺体の上に置き、緑ポーションを黒い斑点の上に垂らした。



パアァッ


「おぉっ…!」


「な、なんだと…!?」


斑点と緑ポーションが反応を起こし、みるみるうちに消えていったのだ。

驚くパムブ神父、そして動揺を隠せないビスカス神父。


「そんなはずは……確かに新毒を…!」


「"そんなはずは"?不思議なことをおっしゃりますね」


ビスカス神父の不意に放った言葉に、サツキはすかさず返す。

春通は確信した。
サツキがビスカス神父を疑っているのだということを。


「ちぃっ…!何にせよ今まで反応が無かったのに、どうして今になって反応が!?貴様が何か細工したのだろう!」


「……少し違う話をしましょう」


ビスカス神父の言葉にサツキは答えず、話を逸らすように言葉を続ける。


「魔王モロクを退けるために大きな戦果をあげたプロンテラ騎士団とアサシンギルド。ルーンミッドガッツ王国を治めるプロンテラとしては、暗殺者の集団などが我が物顔になるのは気分がよくない……」


サツキは饒舌に語り始めた。


「確かに……つい最近から、場内ではアサシンギルドと戦いが起きるのではないかという話で持ち切りなのです」


パムブ神父がサツキに同意するように答えた。
サツキがそれに笑みを浮かべ、小さく会釈する。


「実際に王に謁見し、聞いて参りました。どうやら、"誰かが故意にその噂を流している"そうです」


「なっ…!?」


ビスカス神父が冷や汗を浮かべ、更に表情を強張らせる。
サツキはそれを見逃さない。


「今回の事件は、アサシンギルドを攻める口実にはもってこいではないでしょうか?」


「馬鹿馬鹿しい!証拠でもあるのか!?」


指をさされ、サツキはゆっくりとビスカス神父へ向き直る。


「……兵士から噂を聞きましたよ。場内を歩き回る不審な神父がいると」


「……くっ!私が犯人だとでもいうのか!ふざけるのも大概にしろ!!」


矛先を我が身に向けられ、神父は更に口調が荒くなる。


「それに……」


数秒の沈黙の後、サツキがゆっくりと口を開いた。


(サヅギさん…?)


春通だけが気付いたであろう。
サツキが一瞬だけ悲しげな表情をしたことに。




「あなたは、"誰ですか"?」



バッ!!


サツキがビスカス神父を指をさすと、一同がすぐさまそちらを振り返る。


「…………」


神父は押し黙る。
今まで黙していたブラックベアでさえ、今は神父のほうを見ている。


「俺の知っているビスカス神父はとても優しかった……幼少の頃から知っているのは、あなたのような人ではありません」


(……そういうこどか)


それを聞き、先ほど悲しげな顔をした理由が春通にも理解できた。


(いや、じゃあ目の前のビスカス神父は…!?)


同時に疑問が浮かび上がる。
サツキが語る親しげな様子からは、単純に忘れているとはとても思えない。
洗脳?記憶障害?様々な疑問が春通の頭を駆け巡る。



「クックックッ……」


うなだれていたビスカス神父は不気味笑い声をあげ、ゆっくりと顔をあげた。


「……っ!」


「ひっ…!ビ…ビスカス神父…!?」


サツキと春通は無言で、パムブ神父は声をあげ、それぞれが驚きを隠せなかった。


『もう少し上手く騙せると思ったんだがな』


顔をあげたビスカス神父の瞳は血のように赤く、肌の色はまるで生気を感じさせなかった。


バリバリッ!


皮を破く鈍い音をあげ、みるみるうちに"ビスカス神父だったもの"は体型を変化し、やがては地に両手足で這う化け物へと成り果てた。


ゴキッゴキ!


最後には顔を180度回転させる。
さながらそれはブリッジをする少女のようである。



「やっと正体を現しましたか……」


サツキは両腕を腰に当て、一息ついた。


『我はモロクの現身。魔王モロク様の命により、内部から人間共を崩壊させるために、この神父の体を代わりとしていた』


「ひ、ひぃ!化け物!!」


パムブ神父はヨロヨロと後ろに歩を進め、それを守るように護衛の兵士達が前に出た。


バッバッ!


「ギャアアアァァッ…!」


モロクの現身が口の部分から不可解な液体を吐き出した。

それを体に受けた兵士達は、叫び声と共に"体が溶け始めた"のだ。


「なっ…!」


春通は驚愕する。
あんなものを喰らったらひとたまりもない。


「春通、ブラックベアの拘束を解きなさい」


「わ、わかった!」


バキンッ!


サツキの言葉への返事とほぼ同時に、待ってましたと言わんばかりにブラックベアの拘束具を破壊する。

手足の自由がきくようになった彼は、長い拘束により手首を痛めていないかを確認し、春通とサツキに向き直った。


「……すまない、おかげで我がアサシンギルドへの疑いは晴れそうだ……恩に着る」


小さく会釈し、ブラックベアは感謝の意を表した。


「お礼なら"後で"サツギさんに言ってくれえ、オイラはただ着いてきただけだぁ」


春通は微笑み返した。

そして三人はモロクの現身へと向き直り、臨戦体勢に入る。


『ククッ、この神父にそんな深い間柄の人間がいたとはな……まあいい、ここでの事はそこの"ブラックベア"が全て罪を被ることとなろう』


不気味な笑いを浮かべる現身に対し、サツキはニヤリと不敵な笑みを返す。


「あら、"本当に俺と神父が昔から馴染みがあると思いましたか?"」


『なっ…!?』


「えっ!?」


サツキ以外の全員が驚愕する。
モロクの現身はそこでサツキの思惑に気付き、すぐに第三王子の遺体を見る。


スゥー…


なんと、みるみるうちに王子の遺体に"黒い斑点が戻っていったのだ"。


『き、貴様ァッ!!』


現身は初めて自分が目の前の製薬師に騙されたことに気付き、怒りを顕にする。


「そう、新毒は本物です。俺の配合した薬品によって一時的に斑点を消しただけ。まあ、こんなにあっさりと引っ掛かるとは思いませんでしたが……」


全てはサツキの策略であり、春通でさえそれに気付くことは出来なかった。


『舐めた真似をしてくれる…!八つ裂きにするだけでは済まさんぞ!!』


「いいでしょう……」


声を荒げる現身に対し、サツキは結んでいた髪止めを解いた。


バサッ


赤い長髪が靡き、光りに反射して輝きを放つ。

サツキの目つきが変わった。


「殺れるもんなら、殺ってみろ」


人格が入れ代わるように、サツキは本性を顕にする。
コメント

うにゃぁー。さつき先生がちょー格好いい!!

いつもはちょっかいばっかり出してくる人なのにね。


サツキ「速度ください」

とーりん「あーウゼェ」
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