やっと
この話を書くことができた。
あと2回ぐらいはこの番外編やるかも。
続きは小説です。
あと2回ぐらいはこの番外編やるかも。
続きは小説です。
「ハッ…!ハァッ…!」
薄暗い路地裏を、一人の少女が走っていた。
息を切らし、何かから必死に逃げるようだ。
「待てえぇーっ!!」
予想通り、その少女を制止させんと声を荒げ、追い掛ける二人がいた。
黒いスーツに身をつつみ、サングラスをかけているため表情は伺えなかったが、少女同様必死であることだけはわかる。
「ハァッ!……ッ!」
前を走る少女の前に分かれ道が見えた。
ここを曲がって更に走れば、そこはプロンテラ大通り。
人込みに紛れることが出来れば、
「……アッ!?」
「えっ!?」
ドンッ!
と考えていた少女に、曲がり角から一人の騎士が姿を現し、少女と激突した。
騎士は少しよろけただけで留まったが、少女は弾かれるように後ろに倒れ、尻餅をついた。
「ご、ごめんね、大丈夫?」
そんな少女に、騎士は手を差し延べる。
見た目は二十歳を越えるか越えないかという女。
緑色の髪が靡き、うっすらと差し込む日の光に反射している。
「…あっ……」
「やっと追い付いた……さぁ、こっちへ来い!」
手を取ろうか悩んでいた少女に、先程のスーツの二人組が追い付いた。
騎士は状況が飲み込めずに、少女とスーツの二人を交互に見た。
その時、
「……た、助けてくださいっ!」
少女が初めて大きな声をあげた。
そして騎士の手を取り、立ち上がるやいなや、その背後に隠れるように移動した。
「えっ、あの…?」
騎士はまだ状況が上手く理解できておらず、慌てている。
「私、追われているんです!捕まったら、連れていかれてしまう…!」
少女の追い撃ちをかけるようなその言葉に、騎士もようやく自分なりの解釈を得た。
「……なるほど、そういうことなんだね」
シャキンッ!
騎士は腰に下げた剣を勢いよく引き抜いた。
スーツの男を警戒し、身構えた。
「こんな女の子を連れ去ってどうするつもりですか?」
「ちぃっ…!」
スーツの男達は事情を説明する気などないようだ。
そして舌打ちすると共に、同時に女騎士に襲い掛かった。
「そう……話す気もないんですね」
ザンッ!
女騎士は二人の間をいつの間にか通り抜け、既に剣を鞘に収めていた。
スーツの男達はその場に崩れ、気を失った。
「あ、あ…あのっ…!」
「大丈夫、気絶させただけ。そのうち目を覚ますよ」
慌てる少女に、女騎士は言葉をかける。
少女がその言葉で安心したように見えたのは気のせいだったかもしれない。
女騎士は少女の手を取り、大通りのほうへと歩を進めていった。
「私はダズリング。みんなはダズって呼んでる。あなたの名前は?」
噴水のベンチに腰掛け、女騎士ダズは少女に再び声をかけた。
少しの間をおいて、少女が口を開いた。
「私……私は、ヒナノ……ヒナノ=ローウェル……」
歳はマツリと同じか、少し下ぐらいだろうか。
そんなヒナノの容姿に親しみを感じながら、ダズは口を開いた。
「ヒナノちゃん、か………でも、どうして追われていたの?」
「……………」
しかし、ダズの言葉に少女は何も返せずにいた。
(人に言えない事情があるのかな……)
ダズは様々な思考を巡らせたが、ヒナノがどういう状況におかれていたのか聞き出せずにいた。
(……酷い目にあわされたから、話したくない…?うん、きっとそうだ)
しかし、お得意の勝手な解釈で無理矢理それを理解し、彼女の手を取った。
「大丈夫。次にまた追っ手がきても、私が守ってあげるからね」
「……は、はいっ!」
ダズの言葉に、ヒナノは満面の笑みを浮かべて返した。
握り返す力は強く、安心した様子だった。
よく見るとヒナノの瞳は、左右で違う色をしていた。
右目は透き通るような緑色、左目は燃えるような赤色だ。
ダズは以前似たような目の色をした人物をどこかで見た気がしたが、思い出せないので深くは考えずにいた。
とりあえずギルドで少女の保護をしようと考えた矢先、ダズの目の前を見慣れた人物が通り掛かった。
「あ、タイタン!調度いいところに」
ギルド"WaterCarnival"のマスターこと、タイタンである。
「ようダズ。なんだ?女でも連れて、お前そういう趣味……が……」
タイタンはダズとヒナノに気付き二人に声を返したが、その言葉も、歩みを進める足も、"ヒナノの顔を見た瞬間に止まった。"
「……タイタン…?」
「……っ!」
疑問に感じたダズ、警戒心を向けたヒナノ。
双方の様子を確認し、タイタンは一度下を向き、今度は"何事もなかったように"顔をあげた。
「可愛いお嬢さんだな、名前は?」
「……ヒナノ…です」
タイタンはにこやかに挨拶をする。
ヒナノは一瞬躊躇したが、口を開いた。
このやりとりの一切の意味を、ダズはまだ知り得ない。
ヒナノは言い終えると同時に、まるでタイタンの死角に入るかのように、ダズの横に寄り添った。
「ヒ、ヒナノちゃん、怖がらなくてもいいんだよ?」
「随分と嫌われちまってるなぁ。で、その子をギルドに連れていくつもりだったのか?」
隠れるヒナノを宥めながら、ダズはタイタンに頷いて返した。
「そうか、わかった。だが……実は先客がいてな、ギルドで話を聞かなきゃならん。少し二人で街の様子でも見てきたらどうだ?時間でもつぶしてるといい」
「そうなんだ?じゃあ、後で向かうね」
タイタンの言葉にダズも返し、その場で別れた。
去り際にタイタンがヒナノのことをチラッと見たが、相変わらずダズに隠れたままヒナノはまともに口をきかなかった。
そんなヒナノに、ダズは笑顔を向けた。
「ヒナノちゃん。露店でも見て歩かない?お腹すいてたら、なんでも買ってあげるから」
「………??」
しかし、露店という言葉に首を傾げるヒナノだった。
「わぁー……」
感嘆の声をあげるヒナノの手には、焼きたてのカボチャパイがのせられていた。
カボチャの香ばしい風味に、パイ生地の甘さが絶妙なハーモニーを奏でる逸品である。
ギルドにもファンが多く、毎日のように口にするメンバーも少なくない。
だが、それを口にいれる前に、ヒナノはダズのほうを見上げ不安そうな顔をした。
「で、でも……私が食べていいんですか…?」
「もっちろん。足りなかったらまた買ってあげるからね」
その言葉を聞き、ヒナノは笑顔を浮かべ、大きく口をあけてカボチャパイを迎え入れた。
「はむ、んむ………んんーっ!おいしいですぅーっ!!」
感激に声をあげ、休む間もなくパイを頬張るヒナノを見、ダズは微笑んだ。
その後、二人で更に露店を見、図書館に入り本を読み、お店に入り紅茶を飲み、住居街を歩いて人々を見るうちに、ダズはヒナノが全てにおいて、まるで異国から来たかのような新鮮さで街を見ていることに気がついた。
見た目はどう見てもルーンミッドガッツ出身で、しかもプロンテラ生まれであると本人は言っている。
ここでもダズは勝手な想像をし、組織で長い間屋内生活を余儀なくされていたのでは、などと考えていた。
それほどに、ヒナノは何に対しても初めて見るものだというように、興味津々なのであった。
だが、数時間も過ぎ、そろそろ夕方に差し掛かろうかという時刻になった頃。
ザッ!
二人の人物が、ダズとヒナノの前に立ちはだかる。
他の通行人とは違い、明らかな視線をこちらに送ってきていたことで、ダズは真っ先にその二人をとらえた。
もはや敵意に近い感情を剥き出しにしている。
先に口を開いたのは正面にいる人物。
「おやおや、"副隊長"ではありませんか」
「なっ…!?」
ダズは動揺した。
彼女のことを副隊長と呼ぶ人物は限られているからだ。
「突然ですいませんが……お連れの女の子をこちらに引き取らせてもらえませんかね?」
今度はその少し後ろにいた人物が口を開いた。
その瞬間、ヒナノはすぐにダズの背に隠れた。
明らかに怯え、警戒を顕にしている。
ダズはヒナノのただならぬ様子から、"相手の二人を知っていながらも"探りをいれるように口を開いた。
「……この子に何の用ですか?"シャオユウさん"、"タルトレットさん"」
そう、二人はプロンテラ騎士団所属にして、ギルドWaterCarnivalのメンバー。
リン=シャオユウと、タルトレット=タルシエだった。
薄暗い路地裏を、一人の少女が走っていた。
息を切らし、何かから必死に逃げるようだ。
「待てえぇーっ!!」
予想通り、その少女を制止させんと声を荒げ、追い掛ける二人がいた。
黒いスーツに身をつつみ、サングラスをかけているため表情は伺えなかったが、少女同様必死であることだけはわかる。
「ハァッ!……ッ!」
前を走る少女の前に分かれ道が見えた。
ここを曲がって更に走れば、そこはプロンテラ大通り。
人込みに紛れることが出来れば、
「……アッ!?」
「えっ!?」
ドンッ!
と考えていた少女に、曲がり角から一人の騎士が姿を現し、少女と激突した。
騎士は少しよろけただけで留まったが、少女は弾かれるように後ろに倒れ、尻餅をついた。
「ご、ごめんね、大丈夫?」
そんな少女に、騎士は手を差し延べる。
見た目は二十歳を越えるか越えないかという女。
緑色の髪が靡き、うっすらと差し込む日の光に反射している。
「…あっ……」
「やっと追い付いた……さぁ、こっちへ来い!」
手を取ろうか悩んでいた少女に、先程のスーツの二人組が追い付いた。
騎士は状況が飲み込めずに、少女とスーツの二人を交互に見た。
その時、
「……た、助けてくださいっ!」
少女が初めて大きな声をあげた。
そして騎士の手を取り、立ち上がるやいなや、その背後に隠れるように移動した。
「えっ、あの…?」
騎士はまだ状況が上手く理解できておらず、慌てている。
「私、追われているんです!捕まったら、連れていかれてしまう…!」
少女の追い撃ちをかけるようなその言葉に、騎士もようやく自分なりの解釈を得た。
「……なるほど、そういうことなんだね」
シャキンッ!
騎士は腰に下げた剣を勢いよく引き抜いた。
スーツの男を警戒し、身構えた。
「こんな女の子を連れ去ってどうするつもりですか?」
「ちぃっ…!」
スーツの男達は事情を説明する気などないようだ。
そして舌打ちすると共に、同時に女騎士に襲い掛かった。
「そう……話す気もないんですね」
ザンッ!
女騎士は二人の間をいつの間にか通り抜け、既に剣を鞘に収めていた。
スーツの男達はその場に崩れ、気を失った。
「あ、あ…あのっ…!」
「大丈夫、気絶させただけ。そのうち目を覚ますよ」
慌てる少女に、女騎士は言葉をかける。
少女がその言葉で安心したように見えたのは気のせいだったかもしれない。
女騎士は少女の手を取り、大通りのほうへと歩を進めていった。
「私はダズリング。みんなはダズって呼んでる。あなたの名前は?」
噴水のベンチに腰掛け、女騎士ダズは少女に再び声をかけた。
少しの間をおいて、少女が口を開いた。
「私……私は、ヒナノ……ヒナノ=ローウェル……」
歳はマツリと同じか、少し下ぐらいだろうか。
そんなヒナノの容姿に親しみを感じながら、ダズは口を開いた。
「ヒナノちゃん、か………でも、どうして追われていたの?」
「……………」
しかし、ダズの言葉に少女は何も返せずにいた。
(人に言えない事情があるのかな……)
ダズは様々な思考を巡らせたが、ヒナノがどういう状況におかれていたのか聞き出せずにいた。
(……酷い目にあわされたから、話したくない…?うん、きっとそうだ)
しかし、お得意の勝手な解釈で無理矢理それを理解し、彼女の手を取った。
「大丈夫。次にまた追っ手がきても、私が守ってあげるからね」
「……は、はいっ!」
ダズの言葉に、ヒナノは満面の笑みを浮かべて返した。
握り返す力は強く、安心した様子だった。
よく見るとヒナノの瞳は、左右で違う色をしていた。
右目は透き通るような緑色、左目は燃えるような赤色だ。
ダズは以前似たような目の色をした人物をどこかで見た気がしたが、思い出せないので深くは考えずにいた。
とりあえずギルドで少女の保護をしようと考えた矢先、ダズの目の前を見慣れた人物が通り掛かった。
「あ、タイタン!調度いいところに」
ギルド"WaterCarnival"のマスターこと、タイタンである。
「ようダズ。なんだ?女でも連れて、お前そういう趣味……が……」
タイタンはダズとヒナノに気付き二人に声を返したが、その言葉も、歩みを進める足も、"ヒナノの顔を見た瞬間に止まった。"
「……タイタン…?」
「……っ!」
疑問に感じたダズ、警戒心を向けたヒナノ。
双方の様子を確認し、タイタンは一度下を向き、今度は"何事もなかったように"顔をあげた。
「可愛いお嬢さんだな、名前は?」
「……ヒナノ…です」
タイタンはにこやかに挨拶をする。
ヒナノは一瞬躊躇したが、口を開いた。
このやりとりの一切の意味を、ダズはまだ知り得ない。
ヒナノは言い終えると同時に、まるでタイタンの死角に入るかのように、ダズの横に寄り添った。
「ヒ、ヒナノちゃん、怖がらなくてもいいんだよ?」
「随分と嫌われちまってるなぁ。で、その子をギルドに連れていくつもりだったのか?」
隠れるヒナノを宥めながら、ダズはタイタンに頷いて返した。
「そうか、わかった。だが……実は先客がいてな、ギルドで話を聞かなきゃならん。少し二人で街の様子でも見てきたらどうだ?時間でもつぶしてるといい」
「そうなんだ?じゃあ、後で向かうね」
タイタンの言葉にダズも返し、その場で別れた。
去り際にタイタンがヒナノのことをチラッと見たが、相変わらずダズに隠れたままヒナノはまともに口をきかなかった。
そんなヒナノに、ダズは笑顔を向けた。
「ヒナノちゃん。露店でも見て歩かない?お腹すいてたら、なんでも買ってあげるから」
「………??」
しかし、露店という言葉に首を傾げるヒナノだった。
「わぁー……」
感嘆の声をあげるヒナノの手には、焼きたてのカボチャパイがのせられていた。
カボチャの香ばしい風味に、パイ生地の甘さが絶妙なハーモニーを奏でる逸品である。
ギルドにもファンが多く、毎日のように口にするメンバーも少なくない。
だが、それを口にいれる前に、ヒナノはダズのほうを見上げ不安そうな顔をした。
「で、でも……私が食べていいんですか…?」
「もっちろん。足りなかったらまた買ってあげるからね」
その言葉を聞き、ヒナノは笑顔を浮かべ、大きく口をあけてカボチャパイを迎え入れた。
「はむ、んむ………んんーっ!おいしいですぅーっ!!」
感激に声をあげ、休む間もなくパイを頬張るヒナノを見、ダズは微笑んだ。
その後、二人で更に露店を見、図書館に入り本を読み、お店に入り紅茶を飲み、住居街を歩いて人々を見るうちに、ダズはヒナノが全てにおいて、まるで異国から来たかのような新鮮さで街を見ていることに気がついた。
見た目はどう見てもルーンミッドガッツ出身で、しかもプロンテラ生まれであると本人は言っている。
ここでもダズは勝手な想像をし、組織で長い間屋内生活を余儀なくされていたのでは、などと考えていた。
それほどに、ヒナノは何に対しても初めて見るものだというように、興味津々なのであった。
だが、数時間も過ぎ、そろそろ夕方に差し掛かろうかという時刻になった頃。
ザッ!
二人の人物が、ダズとヒナノの前に立ちはだかる。
他の通行人とは違い、明らかな視線をこちらに送ってきていたことで、ダズは真っ先にその二人をとらえた。
もはや敵意に近い感情を剥き出しにしている。
先に口を開いたのは正面にいる人物。
「おやおや、"副隊長"ではありませんか」
「なっ…!?」
ダズは動揺した。
彼女のことを副隊長と呼ぶ人物は限られているからだ。
「突然ですいませんが……お連れの女の子をこちらに引き取らせてもらえませんかね?」
今度はその少し後ろにいた人物が口を開いた。
その瞬間、ヒナノはすぐにダズの背に隠れた。
明らかに怯え、警戒を顕にしている。
ダズはヒナノのただならぬ様子から、"相手の二人を知っていながらも"探りをいれるように口を開いた。
「……この子に何の用ですか?"シャオユウさん"、"タルトレットさん"」
そう、二人はプロンテラ騎士団所属にして、ギルドWaterCarnivalのメンバー。
リン=シャオユウと、タルトレット=タルシエだった。
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待望のひなのきた!これでかつる!
かぼパイがどう見てもいつもの馬鹿食いから来てるとしか思えなかった\(^o^)/wwwwww