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ためこミミック

ヒナのん番外編その2。
次で終わります。
「そうですか……あの子は、その騎士に連れられて逃げた、と……」


その部屋はとても暗く、壁にかけられたロウソクの火だけでかろうじて周囲の様子を伺える程度だった。

言葉を発した女性はゆっくりと立ち上がり、椅子の前をウロウロとしている。
何か考え事をしながら、心配しているようにも見える。


「申し訳ありません……」


その女性に謝罪の意を述べる男がいた。
片膝を地に着け、ひざまずいている。

それは、先程ダズの手によって気絶させられたサングラスの男達だった。


「あなた達が頭を下げることはありません」


女性は男達に頭をあげるよう促した。


「し、しかし、"ユノン様"!」


男の一人にユノンと呼ばれた女性は、再び椅子に座ると、小さく溜息をついた。


(無事だと良いのだけど……)


















「どういうつもりですか?この子は不審な者達に追われていたんですよ?」


ダズはヒナノを庇うように前に立ち、言葉を発した。


「……生憎ですが、私達もその子を追っているんですよ。プロンテラ騎士団の命によってね」


それに対し、シャオユウが答える。


(どういうことだ…?)


ダズは少なからず動揺していた。

不審な男達に追われ、プロンテラ騎士団にまで追われるこの子、ヒナノ=ローウェルには何があるというのだろうか。
今までのヒナノの様子を見る限り、そんな子にはとても見えない。


「………?」


ふと後ろを見ると、ヒナノがダズの手を握りながら震えていた。

ダズはそれを見、フッと一息つくと、改めて前を向き直った。


「大丈夫、ヒナノちゃん。守るって約束したでしょ?」


シャンッ!


言葉を言い終えると同時に、ダズは鞘から剣を引き抜いた。


「副隊長……アナタ、本気ですか?」


それを見て、シャオユウも構えた。

ただならぬ空気が場を包む。


「どうしてもやると、言うんですね?」


タルトレットの確認に、ダズは無言で返した。
もちろん、ダズの意志はイエスである。


「……シャオゆん、助太刀は?」


「無用だ」


ドンッ!!


シャオユウは左足を一歩前に出し、地に叩き付けた。
その力に地面は耐え切れず、周囲が石畳とは思えないほど簡単に陥没する。


シャオユウも臨戦体勢に入った。


「ヒナノちゃん、下がってて」


ダズは片手で制し、ヒナノは頷き、数歩後ろに下がった。

前方に見えるシャオユウが、状況にそぐわぬほどの笑みを見せる。


「一度アナタとは手合わせ願いたかった。まさかこんな状況で実現するとは思わなかったが……なぁっ!!」


ゴォッ!!


言葉と共にシャオユウが勢いよく地を蹴り、ダズに向かって突進した。


シャオユウはモンクの上位職、チャンピオン。
己の力と拳で相手を捩伏せる、接近戦においてはトップクラスの戦闘能力を持っている。

一瞬で距離を詰められ、お互いの射程範囲内に入る。
もちろん、先に攻撃を仕掛けられるのはシャオユウだ。


シャッ!


右手から掌底が繰り出される。狙いは相手の顔面。
ダズは紙一重でそれを避けたが、剣が如く切れ味に数本の髪が宙を舞った。


ガシッ!


(クッ!?)


シャオユウは掌底を繰り出した手でそのままダズの肩を掴み、拘束した。

そして左手に力を込め、腹部を強打せんと真っ直ぐに拳を突き出した。


「させ、ない!!」


ダズは剣を持たぬ左手で、シャオユウの突き出された腕に手をつき、次に足をつき、宙へ飛び上がった。


「っ!!」


一瞬ダズを見失ったシャオユウは、直ぐにそれを追い掛けるように顔を宙へと向ける。

ダズは空中で身を翻し、剣を両手で持ち直した。


「ハアァッ!!」


ズジャアッ!!


剣を横薙ぎに一振りし、斬撃を繰り出す。
それは衝撃波となり、咄嗟に後方に跳んだシャオユウのいた地に深い傷跡を残す。


ダズは着地と共に体勢を立て直したが、シャオユウは再び距離を詰めんと地を蹴っていた。

同じ手は喰わない。
そう思い、今度は接近に合わせて剣を縦に振り下ろした。


「白刃取り!!」


パァンッ!


「なっ…!?」


シャオユウはダズの動きをまるで読んでいたかのように、両の手の平で剣を受け止めた。

驚愕する間も、シャオユウには一瞬のスキを与えるも同然だった。


「オォッ!!」


掛け声と共にシャオユウは体を回転させ、ダズの肩に向けてまわし蹴りを放つ。


ドゴォッ!!


鎧の上からではあったが、衝撃によりダズの体は吹き飛び、通り壁に激突した。


ガラガラッ


レンガでできた壁に穴が開き、破片が崩れ落ちて煙をあげる。


「ダ、ダズさん!!」


ヒナノが悲鳴に近い声で名を叫ぶ。
シャオユウは一息つくと、ヒナノのほうへ向き直った。


「ふう……さあ、こっちへ来るんだ」


ゆっくりと歩を進め、その距離を詰める。

怯えるヒナノは、そこから一歩も動くことが出来ない。



「……スパイ…ラル………」



その時、煙の中から声が聞こえた。


バッ!


煙が晴れ、中から剣を真っ直ぐに構えたダズが現れた。


「なに!?」


「ピアアァーースッ!!」


ズガガガッ!!


高速で突進するダズの技を、シャオユウは間一髪のところで後方に飛びのいた。

地面には螺旋状の傷がつき、いかにダズの一撃が強力であったかが伺える。


「やはり一筋縄ではいかないな!副隊長!」


「そっちもね!シャオユウさん!」


仲間とは言え、稀に見る好敵手に二人は少なからず笑みをこぼす。


「やっぱり手を貸す?シャオゆん」


「無用だと言った!」


タルトレットの言葉にも、シャオユウは先程と同様に返す。

少し残念そうな顔をするタルトレットの表情は、シャオユウには見えていない。



とは言うものの、ダズは心の中で焦っていた。

自分の攻撃は先程から一度もシャオユウに当たっていない。
元々一対多数を想定して訓練を受けるナイトにとって、近接特化職とのタイマンなど以っての外。

このままではジワジワとダメージを与えられ、先に力尽きるのはダズのほうになるだろう。


(こうなったら……)


ダズは正面を向いたまま少しずつ後ろに下がり、後方にいたヒナノに手が届く距離まで移動した。


「……ダズ…さん…?」


首を傾げるヒナノの手を、ダズはゆっくりと握った。
コメント

いまきづいた!
ヒナノさん編!
ユノン様……。素敵

ゆのんちゃんの活躍にご期待ください。
フルネーム迷い中。

No title

まーだー

待たせてすまねえ!明日休みだから頑張ってみる。まだ半分ぐらいしか書けてなかった…
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