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よこなぐリーフ

下の記事の続き小説です。
そして、そんな気を紛らわせようとダズは再び笑顔で語りかけた。


「ヒナノちゃん、よかったら私達のギルドに入らない?」


「え…?」


その言葉に驚きを隠せないヒナノ。
返答に困ったように慌て始めている。


「シャオユウさんとタルトレットさんも、きっと何か理由があってヒナノちゃんを保護しようとしてくれてたのかも。話せばきっとわかると思うし……」


「いえ、たぶんそれは………でも、ごめんなさいダズさん。私、ギルドには入れない……です」


残念そうに言葉を返すヒナノを見、ダズはそれ以上に落ち込む。


「そっかぁ……じゃあ、何か困ったことがあったら私に……っ!?」


その時、何者かが屋根に上ってきた。

大きなフード付きのマントを羽織り、顔を確認することは難しい。

しかし、片手に持った金色の鈍器"グランドクロス"を前に構え、二人の前に立ち塞がった。


「追っ手か…!でも、今構ってる暇はないよ!」


ヒナノを抱えたまま、それを避けるように方向を変えた。


追っ手らしき人物は動かない。


「ダ、ダメです!!ダズさんその人は…!」


その時、ヒナノがダズの腕で叫んだ。


「え?」


ズガガンッ!!


ダズが一瞬気を取られたとき、既に連打音が鳴り響き、ダズの体の数箇所を軽い痛みが走った。


「あっ…!」


バランスを崩し、ヒナノを腕からこぼしてしまう。


(いや、違う…!?)


ダズは一瞬のうちに気付いた。
こぼすように"仕向けられた"のだと。

的確にダズの体に攻撃を、しかも怪我をさせない程度に手加減されていたことから、相手が相当な実力者であることが伺える。


スポッ


ダズの腕から宙へ飛んだヒナノの服の首を、フードの人物の持つ鈍器がしっかりと捕まえた。


「全く……あなたという子は、何処までおてんばが過ぎるのですか?」


その人物は女性だった。

フードをゆっくりとめくると、そこから流れるような長い黒髪が顕になった。


ヒナノが慌てたように空中で手足をバタバタとし始めた。



「お、下ろしてよ!"お姉ちゃん"!!」



ヒナノが叫んだ。


「………えっ?」


ダズは"お姉ちゃん"という言葉に疑問を持った。

しかし、よく見るとその女性もヒナノと同じで、緑と赤のオッドアイをしている。

見れば見るほど、姉妹というべき点ばかりである。


「妹がご迷惑をお掛けしました、騎士殿……」


ヒナノを鈍器で宙に吊したまま、女性は小さく頭を下げた。


「い、いえ、とんでもない、です……」


どこか高貴な雰囲気を見せる女性に、ダズも自然と頭を下げた。


その時、


「やっと追い付いた」


後ろから、シャオユウとタルトレット、そしてタイタンの三人が現れた。


そして同時に、三人は女性の前で片膝を着いたのだ。


「え?えと……」


戸惑うダズを横目に、先頭についたタイタンが口を開く。



「うちの者が失礼を致しました。"ユノン=N=ローウェル"様」


その言葉を聞いた瞬間、ダズの中で全てが繋がった。



"N"の名を持つプロンテラの王族。

つまり、目の前にいる"ユノン"と呼ばれた人物は王女であり、


「良いのですよ、タイタン……私(わたくし)が少し目を離した隙に、護衛も付けずに城を抜け出したこの子を止めることができなかったのですから」


「…………」


目の前でふて腐れながら宙に吊されているのは、プロンテラ王国の姫、"ヒナノ=N=ローウェル"なのである。


「おい、ダズ。図が高いぞ」


顔をニヤつかせながらダズを見るタイタン。



今までのことの全てを思い出し、ダズはただ、



「え……ええええぇぇーーっ!??」



その場で叫ぶしかなかった。

















全ての騒動に片が付き、ダズはギルド内のテーブルで突っ伏していた。


「いつまで落ち込んでるんです?」


そんなダズに、シャオユウが語りかける。

ダズはゆっくり顔を上げ、シャオユウを見た。


「……シャオユウさん、そういうことは早く言ってくださいよ……」


「……だから、何度も止めようとしたではないですか」


シャオユウが呆れたように反対の椅子に腰掛けた。

何も知らなかったダズにはお咎めもなく、後日最初に手を加えてしまったサングラスの男達に謝罪すべく、王宮に足を運ぶことになった。


「………ヒナノちゃん、か……」


よく考えれば、何も知らずに無礼な呼び方をしていたものだなと、恥ずかしさと後悔が頭を巡る。



トントン


その時、扉をノックする音と共に、タルトレットが顔を出した。


「ただいまぁ。ダズさんは……いますね」


名を呼ばれたダズは、怪訝そうに扉のほうを見た。


「おかえり、タルちん。どうだった?」


「うん、言われた通り、連れて来たよ。ほら、入ってください」


タルトレットの手招きで、一人の"少女"が扉から顔を出した。


「こ、こんにちは……」


小さな声で挨拶をし、振り返ったダズと目が逢った。


「……あっ………」


ダズは口を開けたまま、その場で動きを止めた。



紛れも無い、それは、


「お久しぶりです。ダズさん……」


ダズが助け(?)、短い間を共に過ごした、ヒナノ=N=ローウェルに外ならなかった。
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