スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

朝は焼きおにぎり

生体編終わり。

次からの話がだいぶまとまってきたので近日中にうp。
ドドッ!


地を裂くようなけたたましい音を感じ取り、エシュゾーとサッチは身構えた。


「な、何の音だ…!?」


「……………」


それが、サツキのセイレンを仕留めた地鳴りであると知るまでには、もう少しの時間を要するであろう。


「とにかく行ってみましょう。サッチさん!」


「………わかってる……」


エシュゾーの言葉に、サッチは小さく口を開き、返した。

二人は駆け足で、サッチはエシュゾーに歩幅を合わせるように、音のするほうへと歩みを進めていった。















「な、何の音…?」


菫吏もまた、その地鳴りを体で感じ取っていた。

それが冒険者の性と言えるだろうか。
菫吏も自然とそちらに歩を進めていた。


もし仲間が攻撃を受けていたとしたら、それを援護するのが自分の役目だと、感じていたからであろう。



















「す、すごい……」


奈那留は、セイレンを拳のみの力で沈めたサツキを見、感嘆の言葉を口にした。

サツキは無言で立ち上がると、再びマスカテルフレーバーに向き直った。


「ったくよ……コテンパンにやられやがって」


サツキは一息つき、悪態をつきながらもマスカテルを静かに凝視した。

傷自体は、致命傷に致るような深さではない。

ただし、傷付けられた箇所が多く、出血が酷い。
すぐに止血する必要があった。



それなら、


「ポーションピッチャー!」


とサツキは、腰に下げた一つの瓶を手に取り、倒れるマスカテルに中身を振り掛けた。

液体は空中で気化するように拡散し、残った輝きがその小さな体を包み込む。


「き、傷が…!?」


奈那留はその様子に素直な驚きを顔に表した。

重傷のはずのマスカテルの傷がみるみる塞がり、表情には徐々に生気が戻る。


これがオーバークリエイターと呼ばれるサツキの力なのだろう。
それ以上でも、それ以下でもない。
目の前で起こっていることは、現実なのだから。



フラッ


「……チッ、もう……限界、か……」


「っ!サツキさん!?」


全ての事を終えたサツキは、奈那留の前で静かに崩れ落ちた。

まるで力を使い果たしたかのように、小さく。


ヨロヨロと歩きながらも奈那留は駆け寄った。


「大丈夫だ……息は、ある」


サツキの口元に手を当て、彼女が気絶しているだけだと判り、奈那留もホッと一息をついた。


次にマスカテルのほうを見た。



「……うっ……ん……」


「あっ…!」


マスカテルフレーバーは小さな目をゆっくりと開け、その意識を取り戻した。

奈那留は思わず両手を口に当てた。


「ボク、は……確か、勝負に負けて……」


ゆっくりとその瞳を動かし、数秒後に、目にうっすらと涙を浮かべる奈那留を視野に入れた。


「よかった…!」


「わっ…!奈那留、さん……」


奈那留はマスカテルの小さな体を抱きしめ、涙を零した。


「よかった……本当に、生きて…!」


現状はマスカテルには理解しがたい。

だが、自分が勝負に負け、傷を負ったことは判る。
全身に残る痛みがそれを教えていた。

そして直感から、目の前で倒れるサツキと、涙を流す奈那留は、自分を救うために力の限りを尽くしてくれたのだろうと。


マスカテルは痛みを堪えるように、笑顔を作った。


「こんなの……へっちゃらッス」


それが、少女なりの最大限の気遣いだった。






「奈那留さん!マスカテルさん!」


数分後、エシュゾーとサッチが合流した。

お互いの無事を伝えるように手を振りあったが、倒れるサツキを見た瞬間、エシュゾーの顔色が変わった。


「サツキさん!?くっ…!」


エシュゾーは早足にサツキに駆け寄ると、すぐに回復の魔法を唱えた。

淡い光がサツキを包み込む。
アコライト系が得意とする"ヒール"である。


「目を覚ましてください!もう、誰も死なせるわけには…!」


ハワード=アルトアイゼンとセイレン=ウィンザーを、圧倒的な力の差で討伐したサツキだったが、目に見える以上に能力を酷使していたのだろう。
今までに数々の者を治癒してきたエシュゾーは、直感的にそれを理解していた。


しばらくすると、サツキがゆっくりと瞳を開いた。


「サツキさん!あ、まだ起きてはダメです!」


「よかった…!急に倒れたから心配で……」


エシュゾーと奈那留は、ゆっくりと体を起こしたサツキに安堵する。


しかし、


「………違う……」


「……誰ッスか…?」



サッチとマスカテルには、目を開け、体を起こしたサツキが"まるで別人のように見えたのだ"。

全く敵意は感じない。
しかし、内面的に感じ取れるものは、今までのサツキとは全く異なるものだった。



その時、"サツキ"がゆっくりと口を開いた。



『まったくこの子は……また"能力"を使いすぎたのですね』


「……サツキ…さん…?」


エシュゾーは困惑しながらサツキの顔を覗き込んだ。
サッチとマスカテルに到っては警戒を強め、身構えつつある。

それほどまでに、サツキの様子は以前と違うものだった。


(この声……さっきの……)


奈那留だけは、その声に聞き覚えがある。



『皆さんとお話をするのは初めてでしたね。驚かせてすいません』


「あなたが……私に語りかけてくれた人…?」


奈那留の言葉に、サツキの体にいる者は少し意外な顔をした。


『貴女には私の声が届いたのですね……自己紹介が遅れました。私はこの地で女神と呼ばれる、名を"フレイヤ"と言います。訳あって、この子の体を借りています』


「フ、フレイヤ…様…!?」


「「?」」


フレイヤの言葉に驚愕するエシュゾーと奈那留。

そしてそれとは反対に、全く理解ができていないサッチとマスカテルの反応は、非常に両極端だった。


「フレイヤ様と言えば、アルナベルツ王国の神として崇められる愛と美と豊饒、それに戦いを司るという女神……」


『……人々にはそう扱われているようですね。私自身はそんな大それた存在でもないのに……』


エシュゾーの説明に、フレイヤは悲しげな表情を見せる。


「で、でも、女神様がどうしてサツキさんの体に…?」


奈那留は感覚的にそれが本物の女神であると理解できているのだろう。
言葉や体は自然と畏縮していた。


サツキの中にいるフレイヤは数秒の沈黙の後、再び口を開いた。


『今や、世界は大いなる混沌に巻き込まれようとしています。トール火山と氷の洞窟の戦争、ラヘルの狂信、そしてこの生体研究所……それ以外にも、魔王モロクの手先による進攻を数多く聞いています』


全員が、この世界の危機的状況を理解していた。
このまま魔王を野放しにしておけば、取り返しのつかない事態になり得ることも。


『私は古い友人……隠しても仕方ありませんね。焔の魔王"スルト=レヴァンテイン"の頼みを受け、地上に降りました』


「あの、三年前に魔王モロクを次元の狭間へと退けた伝説の英雄、ですか……」


エシュゾーの言葉に、フレイヤは無言で頷いた。

更にフレイヤは続けた。


『皆さんにも、この状況を打破するための力を貸して頂きたい……この国を……いえ、この世界を救うための力を』



その言葉に、全員の体が震えた。

恐怖か、武者震いか。
それは当人達にしか知り得ないこと。



勿論、全員の答えは、


「……私達は、戦う……」


YESである。

奈那留の言葉に続き、頷く者達。


フレイヤはそれを見、頷き返すことでそれに答えた。



『まずはプロンテラに戻り、作戦を練り直しましょう。恐らく、トール火山に派遣されていた部隊も戻っているはずです』


















「え~ん……みんなどこぉ…?」



皆も別に忘れていた訳ではないのだが。

菫吏は音のする方向を見失い、研究所内をさ迷っていた。


「………ぐすん……」


話に置いてけぼりをくらいながらも、数時間後菫吏は合流し、無事にプロンテラへの帰路についた。


















ズドンッ!


ここは首都プロンテラ。
石の壁を殴りつけるような轟音が室内に響く。


「クッ…!こんなにも早く仕掛けてくるなんて……!」


薄暗い城内で、ユノン=N=ローウェルはやり場のない怒りを顕にした。



プロンテラは突然の魔物の襲撃を受けていた。

入口となる南、西、東の門。
そしてこのプロンテラ城の位置する北の門。

その四方向から次々と魔物達が襲い来る状態だった。


言わずも予想できる、魔王モロクによる進攻が始まったのだろう。


「ユノン様…!!」


サングラスをかけた男が、ユノンの前で片膝をつき、指示を待っている。


「……わかっています…」


街からは火の手があがり始めている。

ユノンは額から汗を流し、状況打破のための作戦を練る。


「……民の命が最優先です。住民の避難経路を確保した後、兵はそれぞれの門の守護にあたってください。恐らく一番大きな南門、それとこのプロンテラ城の位置する北門に、敵も多くの戦力を割いているはずです」


冷静に分析し、次に兵への指示を言い渡す。


「騎兵隊は中央通りを抜けて南門へ!後ろから歩兵小隊を続かせ、二手に分かれて東西の門の守護に向かいなさい!」


「はっ!」


サングラスの男は伝令を聞くと直ぐさま走り去った。



ユノンは自身も戦場となった街に向かうため、準備を始めた。


「みんな……無事に帰ってきてください。それまでは何としても街を守り抜いてみせます……」


バサッ!


己が武器、グランドクロスにかけていた布を取り去り、ユノンもその場から駆け出した。
コメント

やっぱり、僕迷子のおいてけぼりー……(ノд<。)゜。

No title

ゆーのん!ゆーのん!(*・ж・)!!!

内容よりもとーりんのレスの早さに驚いてしまった罠
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。