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プロンテラ襲撃編2

まだまだ続くよ。

小説です。
「ダズ、お前にこれを渡しておく」


トール火山の外に出たタイタンは、ダズに手の平を差し出すよう促した。


「えっ、これって……」


ダズが受け取ったものは、小さくも深い輝きを放つ"二つの指輪"。
片方はタイタンが氷の洞窟の主から授かったものである。


「一つはわかるな?リングオブレゾナンスだ。もう一つ、紅いほうは"リングオブフレームロード"だ」


「……もしかして、イフリートから?」


蒼き炎と紅き炎が燈る指輪。
まるで見る者の心を奪うかのような魅力がそこにはあった。

タイタンはダズの問いに頷く。


「でも、これはタイタンが片方だけでも持っていたほうがいいんじゃ…?」


タイタンはこれによってイフリートの攻撃を凌いだ。
一つだけでも強力な力を持つものである。
二つあるならば分散させるのが得策のはずだ。


しかし、タイタンは人差し指を左右に振り、不敵な笑みを浮かべる。


「チッチッ、甘いな。それには特殊な能力があるんだよ。二つ合わせると"新たに発動する力"がな」


「……なるほどね」


それならばダズも納得がいく。
更に強力な敵が出現した時、例えるならば魔王モロクのような存在に対抗する手段として、非常に心強いものとなるだろう。


「恐らく、攻撃タイプの能力が発動するだろう。ここはお前が持って行け」


その言葉に頷くとダズは両手の指に、それぞれ一つずつ指輪を装備した。


















「お姉ちゃんしっかりして…!ハイネスヒール!!」


ヒナノはユノンに向け、アコライト系の得意とするヒールの上位魔法ハイネスヒールを唱えた。

みるみるうちにユノンの傷は塞がり、表情に生気を取り戻させていく。


「……ありがとう…ヒナノ……でも今は、逃げなさい……」


「まだ言ってるのお姉ちゃん!?一緒に逃げるんだよ!ほら、捕まって」


ヒナノはユノンの腕を掴み、肩に担ぐように身を起こした。


「姫の言う通りです、ユノン様。ここは一旦お退きください」


シャオユウもユノンを下がらせるべく、目線だけを後ろの二人に向けた。

ヒールで傷は塞がってはいるが、体力まで全て回復するわけではない。
流した血も元通りにはならないのだ。


「………すみません……二人とも気をつけて、相手はまだ何かを隠していると思われます……」


ユノンは無念を顕にし、ヒナノに肩を担がれながらゆっくりと城の中へと入っていった。



一部始終を黙したまま見ていたモロクの現身。
武士道か、はたまた余裕の表れか。

その表情からは読み取ることができない。


「すまんな、モロクの現身とやら。始めようか」


「行為には感謝しますが、手加減をするつもりは一切ありませんよ」


二人は挑発するように現身を睨む。


『………貴様等では役不足だ、と言いたいところだが、今は他に戦える者などおらんようだな』


カチンッ


見事な挑発返しに、シャオユウとダズは顔をしかめた。


「……副隊長、始めから仕掛けますよ」


「わかってます。私もそのつもりでした」


明らかに相手のほうが一枚上手だろう。
二人は静かに闘志を燃やした。



バッ!


地を蹴る音と同時に、シャオユウとダズの姿がその場から消えた。
正確には、"消えるような速さ"で移動を始めた。

現身は二人の動きがまるで見えているかのように、目でそれを追う。
右手にはランスを、左手には新しく生成した盾を強く握りしめた。



「ッラァ!!」


「ハァッ!!」


ギキィンッ!!


ダズの右からの攻撃はランスに、シャオユウの左からの攻撃は盾に、同時にそれを防がれた。


現身は二人を交互に見る。

それこそが余裕の表れだと思わせるように。


『そこそこの力を持つことは認めてやろう……だが、解らぬのなら教えてやる』


その言葉と共に、現身の周囲の空気が圧縮されていくような感覚がダズとシャオユウにまで伝わって来た。


「…チッ!」


「これは…!?」


バッ!


二人は武器を引き、後退すべく地を蹴った。


『遅いッ!!グランドダークネス!!』


ドドドッ!!


その瞬間、現身を中心とした十字架状の衝撃波が巻き起こる。

黒く、暗く、闇を纏った力が周囲を包み込んだ。


あまりの範囲の広さに、同時に後退したダズもシャオユウも避けきることができなかった。


「グッ…アァ!」


「くぅっ…!」


全身を稲妻が駆け巡るかのような感覚に苦痛の声をあげる。

ブスブスと焦げるような匂いが立ち込め、体からは黒い煙があがっていた。


『こんなものか…?ガッカリさせてくれるなよ』


現身は再びランスを構えた。
















「入って来るなよ!!ファイヤーウォールッ!!」


ゴオッ!


アリルは西門を全て塞ぐほどの巨大な火の壁を放った。

相手はオーク族の大群。
数にしておよそ1000はいるだろう。


防衛に当たっていた歩兵部隊は、負傷して城に運びこまれた者を含め、ほぼ全滅。
アリルが一人で西門の防衛に当たる形となった。


『ゴアアアァッ…!』


先陣をきるオークウォーリアー達は、捨て身の覚悟で火の壁に突進し、その身を焼かれていった。

しかし、その後ろに控えていたハイオークは違った。

彼らは火属性。
火の壁などものともせず、街の中へ入り込んでくる。


「チッ…!フロストウェポン!!」


アリルはふともものスリットからカウンターダガーを取り出した。

そしてセージ系の能力、武器への属性付与で、火属性に有効な水属性を付与した。


シュバッ!ザンッ!


ナイフのように短い剣とはいえ、使い手によって威力を大きく左右されるこの剣は、アリルの身体能力により力を最大限まで引き出されていた。

ハイオークの分厚い肉体を軽々と分断していく。


だが、


シャッ!シャッ!


「っ!?」


キィンッ!


アリルは目の前まで迫っていた矢を、ダガーで弾き返した。


「弓隊までいるのか…!?」


火の壁の向こうから矢を放ったのは、弓を使えるように修練を積んだオークアーチャー達である。

近接のハイオーク、遠距離のオークアーチャー、同時に相手にするには数が多過ぎる。
圧倒的に不利な状況に、アリルも思わず舌打ちせずにはいられなかった。


ドドドッ!!


「……!!」


不利というよりは、絶望的と言ったほうが良いかもしれない。

目の前で、火の壁をものともせずゆっくりとこちらに歩いてくる者がいたのだ。


どちらにしろオーク族であることに変わりはないのだが、向かって右側のハイオークの数倍はあるかというオークが口を開いた。


『ガハハッ!心地が良い炎だな兄弟ッ!!』


高々と笑いをあげるその大柄のオークは、横にいるもう一人に向かい、"兄弟"と語りかけた。


『グハハッ!全くだな兄弟よッ!!』


語りかけられた側のオークは、最初の者とまではいかないが、それでも大きい。

こちらは金色の鎧を身に纏い、頭には特徴的な羽飾りをつけた兜をかぶっている。


「……"オークロード"に……"オークヒーロー"か………」


文献で見たものと一致する姿に、アリルは冷や汗を流した。

今目の前にいるものが本物だとすれば、とてもじゃないが同時に相手をするのは不可能である。



しかし、ここで退いては街が壊滅する。
まさに八方塞がりの状態。


シャンッ!


アリルはもう片方のスリットから、二本目のカウンターダガーを取り出した。



















「ヒナノ……」


ユノンはヒナノの肩に捕まり、やっとのことで歩きながら口を開いた。

対するヒナノは、ユノンの次の言葉を予想していたのだろう。


「"祭壇"に向かえばいいんだね?」


「……………」


ユノンが続けるより先に、その口は開かれていた。

"祭壇"という言葉を聞いた途端、ユノンの表情は更に暗いものになった。


「ごめんなさい、ヒナノ………私にも"力"があれば……」


姉を気遣うように、妹は首を横に振った。


「これは私の役目。今戦ってる皆のために、この"力"を使うよ」



ヒナノは真っ直ぐ前を見つめ、己が役目を全うせんと、"祭壇"への道をユノンと共に歩んでいた。



















「プロンテラが襲撃を受けているだと…?」


大きな椅子に腰かけていた男は、目の前の者から報告を受け、驚きを顕にした。


アサシンクロスの上位職、ギロチンクロスである彼は、考え込むように声を押し殺した。


「如何されますか?所詮は薄汚い貴族達の街……天罰でしょう。放っておいても今後の作戦に支障はありません」


報告をする男の言葉は非常に冷徹だった。

見覚えのある服装、目付き。
そう、トール火山でアリルと対峙した、アサシンクロスの刹牙である。


「……………」


椅子に腰かけた男は未だ次の言葉を口にしない。


「では、報告は以上です。次の作戦へ取り掛かります」


刹牙はその場を後にせんと、振り返った。




「プロンテラを援護する」




次の瞬間、男の口が開かれた。


「……正気ですか?"隊長"」


刹牙はその言葉が信じられないというように首を振った。



隊長と呼ばれたその男は、アサシンギルド・チーム"牙"、つまりアヤや刹牙のリーダーである。

アサシンギルドの"黒熊"こと、ブラックベアであった。
コメント

なんか、とーっても、かっこいいなぁー。ついに、ひなのん活躍ですなねっ!
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