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プロンテラ襲撃編4

そろそろクライマックスが近い。
長いので分けてます。


続きは小説です。
ゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!


プロンテラの街全体に、大きな地鳴りが走った。


「わぁっ!?これがおじさんの言ってた"アレ"なの…!?」


「揺れが…大きい…!」


マツリと菫吏はガーディアンの肩で体勢を崩しながらも、なんとか持ちこたえた。

やがて街と城、その周辺地域まで、全体を包み込むように地面から青白い光があがる。


それはユノンとヒナノがいる祭壇、その魔法陣からあがった光とまったく同じ色をしていた。


街の周囲から光があがった途端に、モンスター達に異変が起き始めた。


「見て!とーりん!」


「あれは…?」


東門に現れた死者の軍勢の動きが突然鈍く、まるで歩く度にダメージを負っているように弱々しいものとなった。

そのモンスター達の頭上には、周囲にあがったものと同じ"青白い光の球"が燈っている。



「分からないけど、相手は隙だらけだ!チャンスだよ!!」


「はい!今のうちに一掃しましょう!」


マツリと菫吏は再び弓を構えた。














「これが……プロンテラの切り札……」


ユノンは、ヒナノの祈りが無事に成功していることを確認し、静かに胸を撫で下ろした。




"オラティオ"



それがヒナノの発動した力である。

モンスターの聖属性攻撃への耐性を減少させる効果があるため、聖なる力に弱い不死者などへは特に強力なスキルとなっている。

祭壇はそれを更に強力に、広範囲にするための装置だった。



しかし、少なからずその反動は術者へと跳ね返る。
ユノンはそれを懸念していた。


ユノンは武器の扱いに、ヒナノは術の扱いに長けている。
それは幼少期に開花する、王家の才能だった。


つまり、ユノンではこの力を発動させることは出来ない。
国にはヒナノ以外にこの力を発動させられる者はいなかった。

万に一つ、発動させることができたとしても、術者の体は持たないだろう。

それゆえの切り札。


(出来ることなら……使いたくはなかった……)


















「こ、これは…!?」


南門でピラミッドの王"オシリス"と対峙していたオオニシ=ネオは、目の前の包帯男達の動きが急に鈍くなったことに気付く。


「まさか……ユノン様とヒナノ様が…!?」


ネオは仕えるべき主人達が、己が国の切り札を発動させたことを知る。


「感謝致します…!」


目の前で動きを止めたオシリスに対し、ネオはグリフォンを突進させる。

手にしたロングホーンを強く握り、真っ直ぐに。


「私はプロンテラ王国の盾にして矛!!」


槍の先から、まるで炎のように赤い光が燈っていく。


「この一振りの槍にて、全ての悪を滅する!!」


それをグリフォンの突進に合わせ、槍を前に突き出す。


「喰らえッ!!バニシングポイントォッ!!」


ズゴゥッ!!


槍による突進はオシリスの胸部を貫き、勢いを止めず、突き抜けた。

攻撃を受けた体は砕け散り、まるで風化するように風に舞っていく。


バサァッ!


グリフォンを羽ばたかせ、ネオはその場に急停止する。



「我が名は"オオニシ=ネオ"。覚えておけ、貴様を殺した者の名だ」



















「アリルさん!アリルさん!!」


倒れたまま動かないプロフェッサーに、聖職者である"エシュー=絶海=ゾーリアス"、略してエシュゾーは、必死に声をかけながらヒールによる治癒を施していた。


「………大丈夫、もう目を覚ます……」


横ではとても小さい声で喋る女性がいた。
頭にミストレス王冠を被ったアサシンクロス"サッチ=ビスマルク"だった。


「うっ……くぅ……」


アリルはゆっくりと目を開けた。
体を起こそうにも、全身に走る痛みでそれは叶わない。


「オーク達は…!?」


「大丈夫です。アサシンギルドの方々が応戦してくれています」


その展開に、アリルは驚かずにはいられなかった。


「やっと起きたか……」


しかし、その人物が口を開いたことで、エシュゾーの言葉は信頼に値するものとなる。

ここにいた四人目の人物。



「……刹牙、か………」


「フンッ」


刹牙は鼻で返事をし、アリル達に背を向けた。


「用は済んだ。俺はもう行く」


「あっ!刹牙さん!」


バッ!


エシュゾーの呼び止める声も虚しく、それが別れの言葉となり、次の瞬間刹牙の姿は消えていた。


「……じゃあ……私も行くから……」


サッチもアサシンギルド所属であるため、刹牙のあとを追わなくてはならなかった。


「サッチさん……どうかお気をつけて」


「……ん……」


エシュゾーの言葉に、サッチは小さく頷いた。

彼は少し照れたように顔を下に向けながら、再び口を開いた。


「こ、この戦いが終わったら……二人でどこか…」


バッ!


エシュゾーが言葉を発する頃に、サッチは既にその場から消えていた。


「……………」


「………まあ、ドンマイだな……」


棒立ちするエシュゾーの肩に、いつの間にか立ち上がっていたアリルは同情から片手を軽く乗せた。



その後、迫り来るオークの兵隊を治癒の杖で返り討ちにした怒れる聖職者がいたという事実は、この場にいたアリルしか知り得ないことだった。
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