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プロンテラ襲撃編7

書き溜めてたものの途中あげます。

続きは小説です。


モンスター達のプロンテラへの襲撃は鎮静化されつつあった。

西門はブラックベア率いるアサシンギルドの軍勢に。
東門はトール火山のガーディアン達と、マツリ&菫吏に。
南門はスルトとサツキ(とフレイヤ)に。



残るは北門。

そこには今回の襲撃の首謀者"モロクの現身(天使型)"と、防衛に当たるダズとシャオユウの姿があった。



現身は兜の下の表情を僅かに歪めた。


『……我が軍勢もおよそ半数が壊滅状態か。トール火山までが裏切るとはな』


そこから焦りは伺えない。
およそ今回の襲撃に、魔王モロクが全ての手札を出し切ったわけではないのだろう。

寧ろ、ここでプロンテラの切り札を発動させられた時点で、今後不利になる可能性は否めない。



今ここでこの現身を討伐できるとすれば、こちらにも若干有利な状況が作れるかもしれない。

トール火山と氷の洞窟の戦争も、リヒタルゼン生体研究所の異変も、全て目の前の現身によって引き起こされたものなのだから。



ダズは両手の指にはめたリングを見た。

リングオブフレームロードも、リングオブレゾナンスも、戦闘中に更に輝きを増していっている。


「シャオユウさん」


「……なんですか?副隊長」


ダズは意を決し、口を開いた。

シャオユウもそのただならぬ空気を察していたのだろう。
返答には若干の時間を要した。



「時間を……稼げますか?」


「……………」


時間を稼ぐ、つまりダズはシャオユウに囮になれと言っている。

自分の秘策をぶつけるための時間を。


プライドの高いシャオユウは、恐らくこんな状況でない限り引き受けることはなかっただろう。


「わかりました……勝算はあるんですね?」


「……はい」


パシッ!


ダズの返答を聞き、シャオユウは自分の拳で手の平を打ち付け、一歩前へ出た。



「ならば全力でその期待に応えましょう」


ドンッ!


シャオユウの周囲の大気が揺れる。
稲妻のような赤い光を纏い、爆裂波動状態に移行した。


その様子を見、現身は僅かに唇を吊り上げた。


『面白い……時間を稼がせるまでもなく、一瞬で貴様を葬ってやろう』


現身はランスと武器を構え、戦闘体勢を取った。


ダズは数歩後ろへ下がり、剣を握る手に力を込める。


(ここで、必ず倒すんだ…!)



次の瞬間、シャオユウが勢いよく地を蹴った。


「オオォッ!!」


空中で体を回転させ、右から勢いよく回し蹴りを放つ。


ドゴォッ!


現身はそれを手にした盾で防御したが、勢いを殺し切れず吹き飛ぶ。


バサッ!


当然の如く、羽を広げ急停止する。


『吹き飛べ!パルスストライクッ!!』


ゴオォッ!!


現身はランスに大きく横に振り、周囲に衝撃波を放った。

シャオユウは両腕をクロスさせ、防御体勢を取る。


辛うじて吹き飛ぶことを免れたが、


バサァッ!


『死ねェッ!』


現身はそれを逃さず、ランスを前に突進を仕掛けてきた。

シャオユウの顔面に向かい、槍は真っ直ぐ放たれる。


シャッ!


寸前のところで首を横に傾け、直撃を回避する。

斬撃が頬を掠り、数本の髪を宙に舞わせた。



ガシッ!


シャオユウはそれでも"瞬き一つせず"に、ランスを左腕で捕らえた。


『ヌッ!?』


バキィッ!


現身が顔を歪めた瞬間、シャオユウは残った右腕で、左腕で掴んだランスを破砕した。

予想外の返しに、現身は一度後方に飛んで距離を取った。


見誤ったのはその"見切り"能力の高さである。

己が拳を武器とするモンク系にとって、一対一の戦いは十八番にあたる。


つまり、ダズと共に戦っていた時より、単純な戦闘能力は上がっていると考えても良い。




ダンッ!


シャオユウは現身が後退し、数秒の間を置くでもなく地を蹴った。


ゴォッ!


周囲の爆裂波動が更なる唸りをあげる。



「阿修羅ァッ…!!」


その右腕に全ての力を注ぎ込み、


「覇王拳ッ!!!」


"最強の拳"と呼ばれた女は、モンク系の必殺奥義"阿修羅覇王拳"を放った。


『クッ…!』


現身は咄嗟に手にした盾でそれを防がんとする。



ドゴァッ!!


盾は脆くも拳の前に砕け散ったが、それによりシャオユウの拳の勢いも殺される。


現身はそれを見、己が勝利を確信する。


この阿修羅覇王拳は反動が非常に大きい。
全ての力を使って放つ一撃は、必殺であるがゆえ使用者に余力を残さないのである。




ガシッ!


はずだった。



「捕まえたよ」


シャオユウは攻撃を放った右手で、盾を失った現身の左腕を拘束した。


『舐めるなぁッ!!』


現身は先程砕かれたランスで、動けぬ状態にあるシャオユウに突きを放った。

いくら砕かれてるとはいえ、元は鉄の刃物。
例えるなら、割られたガラスの瓶と同じである。



ガシッ!


たが、それさえも"見切る"。
寸前でそれを避け、現身が気付いた時には既にシャオユウの腕が伸びていた。


左手で現身の右腕を掴み、左右を同時に拘束状態にした。


「今だぁ!!副隊長!!」


そう、"それが狙い"である。


ドォンッ!!


後方にいたダズが轟音と共に光に包まれた。
その周囲を"稲妻のような光"が、鋭い音をあげながら包み込んでいる。


シャオユウと同じ、"爆裂波動状態"である。


『クッ!!』


現身はダズの気迫に押され、一旦下がることを選択する。
しかし、シャオユウを連れてでも空中に飛ぶしか方法はなかった。

それはシャオユウにも"分かっていた事"である。


「逃がすかあああぁッ!!」


ズンッ!!


シャオユウは右足を勢いよく地面に叩き付けた。
足を地にめり込ませ、"体が動かぬように固定したのだ"。


『放せ!貴様ァッ!!グランドダークネスッ!!』


ゴゴゴゴッ!!


シャオユウは至近距離で相手の技をまともに受けることとなる。


「グオォッ…!!」


全身が焼け焦げるような傷みに苦痛の叫びが漏れる。


『貴様…死ぬ気か!?』


しかし、それでもシャオユウは手を放さない。

彼女は一言だけ呟き、


「…プロンテラを……舐めるなよ…!」


そして、笑った。






「ウアアアアアァァッ!!」


ダズは手にした槍を片手が肩に担ぐように持ち、大きく一歩踏み込むと同時に、それを現身に投げ付けた。


ブォンッ!!


大の大人より一回りほど大きい現身は、シャオユウに両腕を押さえ込まれながら、上半身を隙だらけにしている。

その肩に向かい、ダズの放ったスピアブーメランが突き刺さる。


ズドンッ!!


勢いは止まらず、現身は槍と共に後方に吹き飛ばされる。


『グ、オォッ…!』


槍ごと壁に激突し、傷みに表情を歪める。


(我が死んではこの作戦が…!一度撤退して体勢を…!)


槍を引き抜こうと手を触れたその時、現身の視界にダズが飛び込んだ。


両手に嵌めたリングオブフレームロード、リングオブレゾナンスが光り、唸りをあげる。




「阿修羅アアアァァッ!!」


ダズの周囲に纏われていた爆裂波動が、右腕に収束する。


『クッソオオオォォッ!!』


「覇王ケエェェンッ!!!」


ズガアアァァンッッ!!


ダズの放った"阿修羅覇王拳"が、倒れる現身の胴に減り込むんだ。
同時に、現身の背後の壁に大きな亀裂が入る。

いかにその技が強力であるかを象徴していた。



『ガハッ…!』


現身は致命傷を受け、口から血を吐く。


「これが私達……人間の力だ…!」


ダズを包んでいた爆裂波動状態も同時に光を失い、解除された。


『クックッ……』


ダズの言葉に、現身は笑った。

己の死を前にしての余裕、人への哀れみなど一切感じられない冷徹な笑いだった。


『この程度で、モロク様に敵うと思うなよ………いずれ訪れるであろう滅びの日に恐怖し、もがき続けるがいい……』



その言葉を最後に、現身はうなだれ、体は風に流されるように塵となり、消えていった。


「……………」


ダズは無言でそれを見届けると、振り返りシャオユウに駆け寄った。


「シャオユウさん!大丈夫ですか!?」


全身に手酷いダメージを受け、やっとのことで地に足をついていたシャオユウは、ダズに支えられる。


「……大丈夫ですよ……少し休めば元通りです。それより……」


余裕を見せるシャオユウだったが、表情は徐々に強張る。


「私の技を盗むとは……いい度胸ですね」


「ハハ……すいません、あれぐらいの技しか相手には届かないと思いましたから……」


ダズは苦笑いでそれを返す。


「いや……上出来でしたよ」


そして、シャオユウも再び笑った。








「おーい!!」


バサァッ!


二人の上空を、大きく黒い影が包み込んだ。


「タイタン!こっちだよ!」


ヴァルキリーレルムの地に、巨大な火の鳥カーサが着地する。

その背から、タイタンとアヤが飛び降りた。


「大丈夫?大丈夫そうだ!」


「……なんだよ、案外ボロボロじゃねえか」


何やら自己解決をするアヤと正反対に、タイタンは煽るような笑みをこぼす。


「他の門は大丈夫?」


「あぁ、問題ねえ。もうそろそろ鎮圧できる頃だ」


タイタンの言葉に、ダズは胸を撫で下ろす。

ふと気付くと、肩を持っていたシャオユウが気絶している。
予想以上に喰らったダメージが大きかったのだろう。


「タイタン、シャオユウさんの治療、を……?」


ダズの言葉を、タイタンは右手で制した。

首を傾げるダズに、今度は柔らかな笑みを浮かべる。


「大丈夫だ、そろそろ………」


そう言うと、タイタンは振り返り、プロンテラ城のほうを見た。


「え…?あれは……」


「わぁお……」


目の前に広がる光景に、ダズとアヤは目を丸くし、驚きを隠せなかった。
















ズドドドッ!!


降り注ぐ矢の雨に、モンスター達は次々と絶命していく。

混乱し、逃げ惑う者まで出始めている。


「とーりん!あれ見て!!」


菫吏の横で、マツリはプロンテラ城のほうを見、指をさした。

菫吏は振り返り、我が目を疑う。


「…あ、あれは…?」


「……キレイ………」


東門にいた二人も、その光景に目を奪われていた。

















『オオオォーーッ!!』


西門の前で、オークロードが怒声をあげ、ドロップキックを放った。


「……………」


相手はアサシンギルドの大幹部、黒熊ことブラックベアである。

あろうことか、その強力な足技を前にし、武器も構えず棒立ちしている。


スカッ!


だが、確実に決まったであろう一撃は空振りに終わる。


『ヌウッ!?』


『ウオッ!?』


ブラックベアを挟むように対峙していたオークヒーローは、目標を失ったオークロードの攻撃に驚愕する。


ドガッ!


ドロップキックは見事にオークヒーローに直撃し、後方に吹き飛ばした。


『何をする兄弟!?』


『す、すまん兄弟!だが確かに今そこに…!?』


しかし、オークロードが指差した先に対象はいなかった。


『ど、どこに…!?』


「こっちだ、ウスノロ」


バッ!


二体のオークは同時に声のするほうへ振り返った。

そこに確かにブラックベアはいた。
先程枯れ枯れ立っていた場所からはかなりの距離がある。


「貴様が攻撃したのは残像だ」


スッ


言葉と同時に、ブラックベアはゆっくりと歩を進め始める。


『なっ…!?』


オーク達は驚愕した。

何故なら、ブラックベアが"二人に増えた"からである。


スゥッ


いや、"二人どころではない"。

彼が一歩前に進むたびに、その姿は増え続けていた。


『ク、クソォッ!!』


オークヒーローは、奇怪な動きをしながら目の前に迫る男に焦りを隠せず、手にした剣振り下ろした。


スカッ!


それはブラックベアの頭部を真っ二つに割るように直撃する。

しかし、当たった感触はまるでない。
空を切るように無力だった。


ザンッ!


『グッ…!アァ……』


次の瞬間、後方から接近したブラックベアがオークヒーローを攻撃する。


ドサッ


血飛沫をあげ、倒れ込むように絶命した。


『き、兄弟イイイィィッ!!』


仲間の死を目の当たりにし、オークロードは叫ぶ。
そして怒りを顕にし、ブラックベアに飛び掛かった。


『ウオオオオォォォッッ!!』


「……俺の"ハルシネーションウォーク"は絶対に見切れない」


一言、そう言い終わる頃には、頭上からオークロードの拳が振り下ろされていた。


ドガッ!


ブラックベアを狙ったはずの拳は虚しくも地を殴る。

しかし、オークロードも歴戦の勇士。
怒りに全て身を任せることなく、冷静に現状を分析していた。

そして、背後に迫る気配に気付き、左腕を体ごと回転し裏拳を放つ。


『ヌウゥンッ!!』


今度こそ確実に捉えたであろう。
感じた気配は、先程の残像とは明らかに違った。



スカッ


それすらもフェイク。

腕は残像を通り抜け、バランスを崩す。



「そう、"絶対に"だ」



ザシュッ!


『グオッ…!』


バランスを崩したオークロードの足を斬撃が襲う。


ザンッ!ズバァッ!


それだけでは終わらず、ブラックベアの残像達は、それぞれが違う動きで前後左右から乱舞を仕掛ける。


『オ……ォ……』


オークロードは全身を切り刻まれ、地に膝をつく。


「よく覚えておけ。この世には、感覚でも追えぬ速さがあることを」


シャッ


ブラックベアが武器についた血糊を掃った瞬間、


ブシャアァッ!


全身につけられた傷口から血飛沫があがり、地面に血の海を作っていく。

オークロードは二度と動くことはなかった。











「隊長、報告です」


戦闘を終えたブラックベアの後ろに、刹牙が現れた。
片膝をつき、頭をたれている。

ブラックベアは無言で振り返り、刹牙のほうを見た。


「不思議な現象が起きています」


『……一体どうしたというのだ』


アサシンギルドの奇襲は成功していた。
寧ろ、不安要素さえ考えられないほどに。


刹牙は数秒後、ゆっくり口を開いた。



「……我等が部隊の兵達、特に負傷した者達が、みるみるうちに"まるで回復の魔法をかけられたかのように"生気を取り戻していっているのです」


『……どういうことだ………』


アサシンギルドに所属する以上、特殊なアイテムでも使用しない限り、負傷者を癒すことなど不可能である。
ましてや、一人や二人の話ではない。


ブラックベアはこのあまりに不可解な現象に思考を巡らせていた。


その時、



フワッ



「………?」


目の前、いや、自分達の周囲を、"緑色の小さな光"が舞っていた。

ブラックベアはすぐに風向きを読み、この光が飛んできた方向を見る。



そう、"プロンテラ城"のほうを。



「な、なんだあれは……」


刹牙はその光景を見、己が目を疑った。


「……………」


ブラックベアは黙したまま、その光景を見ている。

表情は一切変えずに。


数秒後、彼は口を開く。


「……アサシンギルド、撤収する」


「……良いのですか…?」


刹牙が口を出した理由、それは恐らく、プロンテラを援護したことによる見返りを求めなくても良いのか、ということだろう。

その問いに、ブラックベアは小さく笑みを零した。


「言ったはずだ。ここで作った"借り"を返しにきただけだと」


そう言い終えると、ブラックベアは刹牙に背を向けた。


「"負傷者はいない"のだろう?ならばここにもう用はない。街の内部もほぼ鎮圧したはずだ。撤収を急げ」


「ハッ」


二人はそれを最後に、その場から姿を消した。
コメント

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ひさしぶりに!夜勤あけでてーしょんたかくよんでた!

しょーゆさんの「プロンテラをなめるなよ」がなぜかつぼにはまってた私です。。。
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