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プロンテラ襲撃編8

この章もここで終わりです。
ちょっと短いですが。


続きは小説です。


「オ、オオニシ隊長!これは…!?」


プロンテラ中央噴水広場で、マスカテルフレーバーは声を張り上げる。

空から降り注ぐ光の力か定かではないが、負傷したペコペコ隊とグランペコ隊が、まるでプリーストに治癒を受けているかのように回復しつつあるからだ。


ネオは直ぐさま振り返り、プロンテラ城を見た。


「あ、あれは…?」


マスカテルフレーバーの横で、奈那留はその光景に目を奪われる。


「巨大な……"木"……?」


そう形容するのが、恐らく正しいのだろう。

幹から枝までが、全て緑の輝く光で構成される大木。
それが今、植え付けられたかのようにプロンテラ城に"生えている"。


プロンテラの騎士、オオニシ=ネオは静かに口を開いた。




「………"エピクレシス"……」





















「これが、プロンテラの"第二の切り札"……」


祭壇で術を発動するヒナノを見守るユノンは、ゆっくりと立ち上がった。



"エピクレシス"


元は範囲内にいる者の傷を癒すだけでなく、術を唱えるために必要な精神力さえも回復すると言われる魔法である。

それを祭壇の力により、更に広範囲に発動させるよう強化していた。

このプロンテラ城だけでなく、街全体にも行き届くように。



ユノンは、屈んだ状態で動かずに術を発動させるヒナノに、ゆっくりと歩み寄った。

もちろん、ユノンもこの術によって、ある程度の力を取り戻していた。



「お疲れ様です、ヒナノ……」


ユノンは、その小さく華奢な肩に手を置こうとした。


フラッ


「……っ!ヒナノ!?」


その時、ヒナノの体は小さく揺れ、地に倒れるように傾いた。

ユノンは咄嗟にその体を支える。


(や、やはり反動が…!)


自分のとった行動の後悔が、まるで走馬灯のように、波となって押し寄せる。


本来、普通の人間にはこの術は使えない。
仮に使えたとしても、力を使い果たし、二度と目を覚ますこともないと言われている。


ヒナノは大きな術を2つ唱えた。
それにより、護れたものはあった。

しかし、失うものがあるとすれば、それは術者自身に襲い掛かる反動による"肉体の死"なのだから。


肩を持つユノンの手が震えた。

そして、恐る恐るヒナノの表情を伺う。











「…ぐぅ……」


「……………」



唖然とするユノンの傍ら、ヒナノは小さく"寝息をたてた"。


そう、消耗したのはヒナノの体力。
急激に酷使された体への負担を回復すべく、脳が睡眠を要求したのだった。


「………よかった……」


ユノンは心からの安堵し、柔らかな笑みを浮かべた。

目にかかる前髪に優しく手を触れ、頭を撫でる。


「本当に、よく頑張りました……」




プロンテラの救世主。
本当に小さく、か弱いその少女は、スヤスヤと可愛いげのある寝息をたてながら、満足げな表情をしていた。



















「ふぅ……」


プロンテラ南の平原で、一人の女が腰に手をあて、大きく息を吐いた。


その周囲は、不釣り合いな量の包帯男"マミー"達の死体で埋め尽くされていた。

数十の単位ではない。
数百体という単位の死体である。


『お疲れ様です、サツキ』


脳に直接語りかけるような、フレイヤの声が聞こえる。


『これでこの南門は制圧できましたね。恐らく、他の門の防衛も終わっている頃でしょう』


「あぁ、そうだろうな。しかし……」


サツキは振り返り、プロンテラ城を見た。

そこにはヒナノの発動したエピクレシスが緑の輝きを放っている。


「とんでもねえ切り札を用意していたもんだな」


全身の傷みがみるみる和らいでいく感覚が、城から遥か遠く離れたこの場所でも実感できる。

そんな二人に、後ろからスルトが歩み寄った。


「だが、これでプロンテラは"次への対抗手段"がない」


「……あぁ、その通りだ」


スルトの言葉に、サツキは一瞬の溜めの後に同意した。


数秒の沈黙が流れる。
表情を険しくする二人に気を遣うように、フレイヤは口を開いた。


『ですが、これで魔王モロクもしばらくは動けないはず……不安要素は少ないのでは…?』


「「……………」」


その言葉に、二人は同意しない。


フレイヤの読みはおおよそ間違いではないだろう。

魔王モロクは、今回の襲撃に元々自らの下に直接ついていないモンスター達も従えていた。
同様の襲撃をするにしても、恐らく相当な時間を要するものである。

プロンテラ王国が反撃の準備を整える時間は十分稼げるはずだった。


「そうだな……フレイヤの予想は間違ってはおらぬ」


スルトは否定しなかった。

サツキもスルトと同じ表情をしている。


『どういうことですか…?スルト、サツキ』


フレイヤにはその理由が判らなかった。


サツキは一瞬の間を置き、ゆっくりと口を開く。




「……襲ってくる敵が、"魔物達だけなら"、な……」


『……え…?』


まるで知らせたくなかった事実を告げるように。
小さく、細い声で、ただ静かに。










プロンテラの街を襲った魔物達と、からくもそれを凌ぎきった人間達との戦い。

後に"首都防衛戦"と呼ばれるこの戦いで深刻な被害を受けたが、騎士団や大聖堂、そして個人のギルドのマスターと、それに所属するメンバー達など、数多くの人々の協力により、復興は早いうちに行われるだろう。


今回の戦いで大きな戦果をあげたタイタン達"WaterCarnival"ギルドのメンバーは、その功績を讃えられ、後にその名を世界中に轟かせることとなった。




次元の狭間ではひそかな異変が起きていた。
それを知る者は、スルトとサツキ以外に国の上層部だけだろう。

魔王モロクが追い込まれ、逃げ込んだその中心部に開いた時空の切れ目。
それはどこに通じているのかはわからない。"今はまだ"誰も知り得ない。




同時に、ルーンミッドガッツ王国の周辺に位置する、シュバルツバルド共和国とアルナベルツ共和国で、小さな動きが見られ始めていた。


およそ半年後、それは実行に移される。




プロンテラの北に位置する、"国境都市アルデバラン"。

ルーンミッドガッツ王国の最北部に位置し、二つの国の中継、所謂中立の立場にあるこの地が、シュバルツバルド共和国の都市"ジュノー"からの"攻撃を受けた"。

シュバルツバルド共和国は、これを機にルーンミッドガッツ王国への"宣戦布告"をした。



突然の"人間からの襲撃"に、プロンテラは驚きを隠せなかった。



















次回から新章"三国戦争編"に入りたいと思います。
長いこと読んでくれてる皆さんには感謝です…。
コメント

No title

うおおおおお久々に見たら更新されている!!!!!!!!!!
どきどきしてた反動は、ひなのさんの普段の生活を表しているかのような反動だった まる

三国戦争・・・!わくてかしてまってまーす!!!(っ´∀`c)キュンキューン

コメありがとう!なんかアルデバランはルーンミッドガッツ領じゃないってすごい指摘されたので、シュバルツバルド共和国がアルデバランを拠点に戦争の体制に入ったってことにしますw

また新キャラ出すかな!
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