スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

三国戦争編3

次はどこから書くかなー。
新キャラ二人目!


続きは小説です。


アルデバランの北西、赤銅色の土に覆われたこの地はシュバルツバルド領である。


ここら一帯は非常に凹凸の激しい地形となっている。
そのため、シュバルツバルド本隊のように千を越える軍勢となると、必然的に左右を崖で挟まれるような道を選ぶしかなくなってしまう。
高い崖の上の進行は危険が伴うからだ。


しかし、崖の上にいる敵に襲われると非常に不利な状況に陥ってしまう。
戦闘において上を取ることの優位性は図り知れない。


だからこそ、シュバルツバルド軍も早くこの地を抜けたいと考えていたのだろう。



「見えた…!」


マツリは崖の上からそっと顔を出した。
眼下にはシュバルツバルド共和国本隊の大行進が見える。


マツリ率いる陽動部隊は、この有利な状況を活かすべく先回りをしていた。


「すごい数ですね……プロンテラの本隊とさして変わりがないように見えます」


菫吏も顔を出し、その様子を見た。


陽動部隊はその名の通り、敵をある程度引き付けるぐらいの戦力しか持っていない。

相手が千を越える軍勢に対し、こちらはたったの百前後である。


「まずはここから挑発程度の攻撃で注意を引いて、おびき寄せた先で罠にかける。とかかな……」


マツリの策に、菫吏は頷いた。


「罠の配置はマツリさんが適任ですね。では、私が注意を引き付けます」


レンジャーはハンター系の上位職。
強力な罠を使い、その扱いもおてのものである。


「わかった。じゃあ私はペコペコ隊に指示を出したら、後方に一度下がるね。"クラスター地獄"をお見舞いしてやるから!」


マツリはそう言うと再び狼に跨がり、兵達に指示を出しにいった。

その後ろ姿を見送り、菫吏は再びシュバルツバルド本隊を見、考える。


(セージ、プロフェッサー、グランペコ隊………バランスの良い構成だ)


攻撃魔法や補助魔法に長けるセージ、プロフェッサー。
そして防御力、攻撃力に優れるグランペコに跨がるクルセイダー達。

非常に厄介な相手であることに間違いはない。


(ゲフェンから派遣されたウィザード隊を連れてきてよかった。それに、こっちにもペコペコ隊がいる……)


菫吏の思惑が何を表しているかは、まだわかる者もいないだろう。


その時、


(ん…?あれは……)


菫吏の視線を一際引く者がいた。

身に纏う装備が他の者とは明らかに違い、その中でも特に目を引くのは、大の大人およそ三人分はあろうかという"巨大な斧"である。


"その男"は巨大な斧を軽々と肩に担いでおり、全く辛さを感じさせない表情をしている。
鋭い眼光は、まるで復讐か何かに燃えているようにさえ見える。


(斧を扱うということは……ブラックスミス…?いや、それにしては見たことがない服装、だ………ッ!?)



ゾッ!



その瞬間、菫吏の全身に悪寒が走った。



(あいつ…!)



そう、菫吏が見たその男は、


(気付いているのか…!?)


バッ!


崖の上で気配を消しながら下を覗き見ていた菫吏と、的確に視線を逢わせたのだ。


菫吏は咄嗟に立ち上がり、背負った弓を構えた。

もちろん、下にいる男もそれを黙って見ているわけがない。


「崖の上に不審な奴がいるぞ!!捕まえろ!!」


男がそう叫ぶとグランペコ隊がすぐに反応し、緩やかな崖を見つけて駆け上がってきた。

更に、崖を昇るグランペコ隊に付け加えるように口を開いた。


「敵の罠かもしれんぞ!慎重にかかれ!」


(ちっ!やっぱり気付いている…!)


菫吏はそう心の中で舌打ちをした。
相手も相当な実力者であると推測できる。


「とーりん!?」


罠の配置を終えたであろうマツリが、部隊を引き連れて戻ってきた。


「マツリさん、陽動は失敗です!相手に気付かれています!」


「そ、そんな…!?」


ドドドドッ!!


相手のグランペコ隊が崖の中腹まで登りつめている。
もはや逃げても追い付かれるのは時間の問題だろう。


菫吏は覚悟を決め、口を開いた。


「……マツリさん、あなたはこの事を本隊に伝えてください。ここは私が押さえます」


「ダ、ダメだよ!一緒に逃げよう!?」


マツリの言葉に、菫吏は顔を強張らせた。


「誰かが知らせなくてはいけないんです!このままでは本隊が挟み打ちにされてしまう!」


シュバルツバルド本隊も、こちらの陽動部隊程度に全ての戦力を割かないだろう。

もしこのまま本隊がぶつかり合えば、既に進軍を開始しているアルナベルツ教国軍本隊とも衝突しかねない。

それだけは何としても避けなければならないからだ。


「あなたがこの部隊の隊長です。それに、マツリさんのウォーグがいれば、最も早く本隊の場所まで向かえますから」


ウォーグの最高速度はペコペコを越えると言われている。
その利点を活かさない手はない。

マツリは数秒考え、再び菫吏に向き直った。



「絶対……絶対生き残ってね!死んだら…承知しないから!!」


「はい、必ずまた後で会いましょう。マツリさん」


マツリはウォーグに合図をし、勢いよく地を蹴り、駆け出した。

菫吏はその姿が見えなくなるまで、笑顔を絶やさなかった。



「菫吏様、宜しいのですか?」


後ろにいたペコペコ隊の騎士が、菫吏に確認する。

既に彼女からは笑みが消えていた。


「大丈夫です。まずはこちらの被害を最小限に押さえつつ、少しでも多くの敵を引き付けます」


現在追ってきているグランペコ隊以外に、どれぐらいの数が誘えるかは判らない。

だが、菫吏も覚悟は決めていた。


「各員!私を先頭に陣形を組んでください!合図すると同時に攻撃を開始します!」


「「はっ!!」」




ルーンミッドガッツ王国陽動部隊隊長補佐、菫吏。
彼女はこの戦いで、もう一つの通り名を得ることとなる。




"戦場の戦乙女/ブレイブヴァルキュリア"



菫吏は手にした弓に強く力を込める。

戦いの火蓋が、切って落とされた。



















ダダッダダッ


赤銅色の大地を、ウォーグが翔ける。

シュバルツバルド共和国とルーンミッドガッツ王国を分ける大きな川。
マツリはその河川沿いを、国境都市アルデバランに向けて走っていた。


「お願い…急いで…!」


一刻も早くこの状況をダズとネオに伝えなくては、菫吏の行動が無駄に終わってしまう。


そして、自分も彼女の援護に向かうために。





(……アイツがここにいるとはな)


ウォーグに跨がり、平原を翔けるその姿を見つめる人物がいた。

それは複雑な表情なのかもしれない。
だが、心の内から滲み出る感情は隠せない。


好奇心はやがて武者震いに変わり、"彼女"は崖の上で立ち上がった。



「バキュームエクストリーム」


ゴォッ!!


彼女が手を前に出し、そう呟くと同時に、マツリとウォーグを囲むように、巨大な竜巻が出現した。


「こ、これは!」


マツリはウォーグを急停止させる。そうせざるを得ない。


「追っ手…!?相手を竜巻に拘束する魔法……それなら!」


バサッ!


マツリは背負っていた弓を構えた。
弓から翼が広がり、攻撃体勢に入る"イクシオンの羽"である。


「アローストームッ!!」


バシュンッ!


マツリは複数の矢を、真上に同時に撃ち放った。


「弾けろ!!」


パァンッ!


その声を合図に、矢は四方八方に広がるように竜巻を貫いた。

竜巻をものともせず、矢は飛散すると同時に、風の勢いを殺していく。

やがてマツリを囲んでいたバキュームエクストリームは効力を失い、再び視界が開けた。


マツリはウォーグからおり、周囲を警戒した。


(追っ手が来るにしては早過ぎる……こちらの動きを読まれていたとしか思えない)


「グルルルル……」


マツリのウォーグが崖の上を睨み、唸っている。
鼻のきく狼からは逃れられないのだろう。


「あそこにいるんだね」


それを察してか、相手も気配を殺すのをやめたらしい。
マツリにも容易に感知できるほどだ。

間違いなく、先程の竜巻の術者だろう。



「出てきなさい!邪魔をするなら撃ちます!」


マツリは再び弓を構え、崖上へ向かい矢を放つ体勢に入った。


数秒後、女はゆっくりと姿を現した。

その容姿は今までに見たことがない。



だが、知っている。


「……え…?」


忘れもしない、その顔だけは。


マツリは構えていた弓を緩やかに下げていった。

そして、考えたくもない思考が頭を過ぎり、瞬きすらも忘れる。






「……アリル……さん……」



「よう、久しぶりだな」




その胸には、シュバルツバルド軍の所属を示すバッヂが付けられていた。


かつて共に時を過ごし、共に戦った仲間と呼べる存在が、自分の目の前に立ちはだかった事を知り、マツリは絶望した。



そして、改めて彼女は理解する。



"これは、戦争なんだ"と。
コメント

まずとーりん二つ名が!
そしてありるんが!ありるんと一騎討ちですか・・・・
気になる展開だ
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。