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三国戦争編7

近いうち8もアップするかも。

でもするする詐欺にならないようにせねば。


続きは小説です。



「どうした。アタシがここにいることがそんなに不思議か?」


崖の上からマツリを見下ろすアリル。

考えれば当然のことだ。
アリルはプロフェッサーの上位職、ソーサラーである。

それはつまり、セージキャッスルのあるシュバルツバルド共和国、ジュノーに所属しているということだ。


マツリは表情を真剣なものにし、アリルを睨み付けた。


「どうして……私達は仲間じゃなかったんですか!?氷の洞窟でも、トール火山でも、首都防衛戦の時だってあなたは…!」


「ただの利害の一致だ」


マツリの言葉を、アリルは一蹴する。


「氷の洞窟とトール火山の異変は上からの命令。首都防衛戦に至っては"たまたま"だ」


「たまたま……でも、あんなに傷付いてまで街を…!」


更に声を荒げるマツリに対し、アリルは目付きを変える。


「口説いぞ、マツリ」


「…っ!」


シャンッ!


アリルは己の武器、カウンターダガーを"二本"取り出した。


「これは戦争だ。一々情に訴えるのはやめな。でないと…」


その瞬間、マツリはアリルが本気なのを理解する。

そして、自分も弓を構えた。




「死ぬよ」


ダンッ!


アリルは勢いよく地を蹴り、崖を下り降りてくる。


「くそぅ!」


自分はここで死ぬ訳にはいかない。
本隊に伝えなくてはならないことがある。

ウォーグを使えばアリルを振り切れるかもしれないと考えたが、あの竜巻がある以上その可能性は低い。


「戦うしか…ないのか!」


マツリは覚悟を決め、矢を引き抜いた。




















「さあ、僕は名乗った。君にも是非名乗って欲しいね、美しいお嬢さん」


大斧の男、"瀬戸 誠(せと まこと)"と名乗った男は、余裕に満ち溢れた表情で菫吏を見た。


「……ルーンミッドガッツ王国軍所属、"斐春 菫吏(あやはる とうり)"……」


恐らく、言わずとも自分がどこの所属かは、部隊構成を見られた時点で気付かれていただろう。


「へえ、いい名前だね。もしかして出身はアマツかな?」


「……………」


菫吏も、その名前を聞いた時気付いてた。

同じ出身地の者と戦うことになるとは、と。


「なんだ、つれないなぁ。一緒の生まれだったら面白かったのに」


「……一つお聞きします」


菫吏は質問には答えず、逆にこちらから問い掛ける。


「あなたが……この本隊の隊長ですね?」


これほどの力を持つ者なら、恐らく隊長クラスなのだろう。

菫吏の推測にほぼ間違いはなかった。


「惜しいね、僕は"副隊長"だ」


「……その強さで副隊長ですか。隊長になるとどうなるんでしょうね」


その言葉を聞き、誠は笑った。

笑いながら、答えた。


「あぁ、さっきまでここにいたんだけど、もう"行ってしまった"よ」


「行って……しまった…?」


嫌な予感が脳裏を過ぎった。


次の誠の言葉で、その予感が適中していると知る。




「うん、"君の横にいた狼に乗った女の子を追ってね"」


「っ!!」



そう、最初から歯車は狂っていた。

無事に自分達が生き延びることは、難しいとでも言うように。



「マ、マツリさ…!」


「余所見はよくないな」


ゴォッ!


自分から気を逸らされた事に、誠は苛立ちを覚えるかのように、菫吏に向かい突進を仕掛ける。



(……それでも…止めるしかない!)


菫吏は手にした鞭に力を込めた。
















ズザザザザッ!


崖を滑るように降りてくるアリル目掛け、マツリは矢を放つ。


「ハァッ!!」


シャッ!シャッ!


放たれた矢は、アリルの下降速度に合わせ、的確に彼女を射ぬかんとする。


「フッ」


アリルは唇を軽く吊り上げ、崖の側面に静かに触れた。


ゴゴゴッ!


「え!?」


するとマツリがアリルを狙った地点に、崖から腕を出すように岩盤が飛び出した。


キンキンッ!


矢は飛び出した岩盤に弾かれる。


それどころか、



ダンッ!


その岩盤を足場にしてジャンプしたアリルは、マツリに向かい空から奇襲をかける。



「クッ…!」


太陽と重なるように落ちてくるアリルに、マツリは目を眩ませられる。

マツリは直ぐさま後方にジャンプした。


ズドンッ!


身をかわした地面にアリルが着地と同時に攻撃を放ち、地面に亀裂が入る。


「よく避けたな!だが!」


ズオォッ!


「なっ!炎…!」


亀裂はマツリが飛んだ先にまで伸び、そこから炎が噴き出した。


アリルは武器に火属性を付与しており、その追加効果が表れたのだろう。

だが、彼女の能力を知っていたマツリも、対策を用意していた。



「炎には…氷で!」


カチッ


マツリは足元にトラップを仕掛けた。


パキィッ!


それはすぐに起爆し、周囲の炎を瞬時に凍結させた。

レンジャーが得意とするスキル"アイスバウンドトラップ"である。


「アタシに届かなきゃ、意味がないよ!」


ゴオッ!


アリルは氷を避けるように地を蹴り、一気にマツリとの距離を詰める。


近距離戦闘に滅法弱い弓手の弱点をつく、的確な判断である。




「アリルさんは、正しい」



一方マツリは弓すら構えない。
アリルは既に数メートル先にいるというのに。



「そう。それは私が"一人"なら、ね」


「!!」


ドゴォッ!!


マツリがそう呟いた瞬間、アリルの横に現れた"ウォーグ"が強烈な体当たりをお見舞いした。


咄嗟に両腕で防御体勢を取るアリルだったが、不意をつかれたことで大きく横に吹き飛ぶ。


ズザァッ!


空中で体勢を立て直し、地に手をつき減速する。


「チッ、厄介な獣だな……」


不意をついた一撃でも、アリルはさほどダメージを負っていないように見えた。


「まだまだ!」


マツリは相手に休ませる間を与えず、弓を大きく引き絞り、ダブルストレイフィングを放った。

だが、その瞬間アリルは悟った。



「そうか……"お前は囮か"」


「…っ!?」


アリルの言葉に、マツリは表情を歪める。


ユラッ


言葉と同時に、アリルは手にしたカウンターダガーを逆手に持ち替え、体勢を低くした。


(まずい!バレてる!!)


マツリは己のほうに"気を引かせるために矢を放った"に過ぎない。



本命は、アリルの後ろから迫っていた。



「逃げて!!紫ッ!!」



キィンッ!


アリルは一度たりとも振り向いてはいない。

だが、後方頭上から迫るマツリのファルコン、"紫(ゆかり)"に向かって放ったのは、己の攻撃ではない。


「キュイィッ!!」


ファルコンに向かって飛ばされたのは、マツリ自身が放った矢である。

アリルはカウンターダガーでいなすように矢の軌道を変え、後方の敵を狙い撃った。


バサァッ!


ファルコンは寸前で体を回転させることでそれを回避したが、当然アリルへ向かうはずの"ファルコンアサルト"は失敗に終わる。



「……聞いていた通りだったな」


アリルは関心するように笑みを浮かべた。


バサッ!


ダダッ!


ファルコンとウォーグが、マツリの元へ還っていく。


「本来レンジャーは、ファルコンかウォーグの"どちらかしか使役することができない"」


アリルは更に饒舌に語る。

まるで、今までにない好敵手の登場に、喜びを感じているかのように。


「噂は本物だったか……楽しくなってきたよ、マツリ」





世界で唯一、"鷹と狼を同時に従える女"。



"鷹狼狂宴/ビーストオーダー"



それが、マツリがこの一年で得た通り名だった。
コメント

No title

まつりさまめっちゃかっこいい通り名ついた!!!!!!!!!!!!!

No title

なんかびっくりするくらいかっこよかった!
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