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三国戦争編8

さあ、折り返し地点だ。

まだまだ続くよ!



続きは小説です。



「がっ…!」


ドシャッ!


菫吏が吹き飛ばされ、地面を転がる。

相手は共和国軍副隊長、メカニックの"瀬戸 誠"。


「攻撃が…届かない…!」


原因は誠の手にする"斧"にあった。

嵐斧と呼ばれるこの"ハリケーンフューリー"は、たった一振りで強い風を起こし、菫吏が放った矢を全て無効化していた。


「僕は女性をいたぶる趣味はない。ここは退いてくれないか?今なら見ないフリをしてあげるよ」


その圧倒的な実力差に、誠は降伏を促した。

だが、それは同時に"味方を見捨てる"ことになる。
菫吏には絶対に取れない行動である。


「…ッ!」


手にした武器に力を込め、誠を睨み付ける菫吏。

止めることは出来なくとも、時間稼ぎぐらいはしたいという悪あがきでもある。


「まだ向かって来る気か……何度やっても無駄な…っ!?」


ドドドッ!!


「デヤアアアァァッ!!」


その時、誠の横からペコペコ隊が突撃を仕掛けた。

先程の隕石を避け、後方に下がらせたはずの陽動部隊である。



「菫吏様!お逃げください!!」


「あ、あなた達…!」


ペコペコに乗った騎士の一人が、菫吏に叫んだ。


「菫吏様がいれば、また部隊が再編成できます!」


「で、でも…私は……」



ドゴォッ!


「ウワアアアァッ!」


この間にも、ロードナイト達は次々に誠に薙ぎ倒されていく。


菫吏は動けなかった。

味方を見捨てることが出来ず、プライドや意地が邪魔をする。



やがて誠は全てのペコペコ隊を蹴散らし、一息をつく。


「……予想外に時間を取られたな」


誠は舌打ちし、振り返った。


「全軍!そのまま直進せよ!疲弊した王国軍と教国軍を討ち取る!!漁夫の利を得るぞ!!」


崖の上から、下にいるシュバルツバルド軍本隊へと指示を出す。


これだけでも、十分な効果があったのかもしれない。
だが、目の前に広がる騎士達の変わり果てた姿を見、菫吏は再び弓を構えた。


「…う……くっ…!」


「………やめなよ、手が震えてる」


菫吏はそこで初めて気付いた。

自分が心のどこかで死を恐れていたことに。


「向かってくるなら、やるしかないんだが……」


誠は至極残念だというように斧を構えた。


「……じゃあ、悪く思わないでくれよ」


ダンッ!


誠は地を蹴り、一瞬で菫吏との差を詰めた。

菫吏は弓を引き絞る力さえ残っていない。



(…タイタンさん、ダズさん、ネオさん、ユノンさん、ヒナノさん……)


彼女の脳裏に、彼等の顔が走馬灯のように浮かんだ。


(……マツリさん……ごめんなさい……私、は………)


無念。

菫吏は己の取った行動の愚かさと、兵士達を守れなかった後悔から、瞳から涙を流した。



「約束……守れ、な…か……」



ドォンッ!!


誠の斧が振り下ろされ、轟音と共に砂煙をあげる。


やがて煙が晴れると、そこには無惨にえぐられた地面が見えた。






だが、誠は気付く。


「……避けられた…?」


菫吏にはもう動く力すら残っていなかったはずである。

しかし、感触が残っていない。


確実に"避けられている"。






「おいぃ、まこぉ。お前いつからそんな奴になっちまったんだぁ?」


「…お前は…!」


遥か後方に菫吏を抱きかかえ、非常に"訛り"のある言葉を発する男が立っていた。


菫吏も知っている顔だった。




「は……春通…さん……?」



過去にチャンピオンとして、仲間として共に戦った男が、今姿を変え、上位職"修羅"としてこの場に現れた。


菫吏は春通にすがるように口を開いた。



「止めて…止めてください…!私より……シュバルツバルド軍を…!」


一人の力に頼るには、余りにも数が多すぎるだろう。

しかし、彼女には今、頼ることしかできない。


そんな疲弊した彼女に、春通は優しく微笑みかける。




「大丈夫だぁ。オイラ"達"が必ず止めてみせる」



「……"達"…?」



菫吏は一瞬の疑問を抱いた。

しかし、それは希望となり、彼女が望む姿をこの場に顕現させる。





未来を切り開く、彼女の中の"救世主"として。




















前進するシュバルツバルド軍本隊が、視界の先に"一人"の人間をとらえた。

だが、千を越える軍隊の前に立つなど死にたがりもいいところである。

彼等は歩みを止めなかった。





『相手の数はおよそ1500。プロンテラの時とは違います。足止めは少し難しいかもしれませんね……』


フードのついたマントを羽織り、顔は見えない。

だが、声は何処からともなく聞こえてくる。
まるで頭の中に直接語りかけるように。


「足止め…?」


マントの人物は言葉を返す。
そしてゆっくりと絶壁となる崖に歩み寄る。



ドガァンッ!!


次の瞬間、その人物の拳が壁に減り込んだ。


ガラガラッ!!


すると、崖を構成していた岩が流れるように地に降り注ぐ。

シュバルツバルド軍の"行く手を阻むように"。



「足止めなんざこれで十分だ」


その通りに、本隊は進行を止め、ざわつき始める。



フードの中で、不気味なほど不敵な笑みが見え隠れする。



『……貴女は目茶苦茶です………』



















「ハ、ハハ……」


崖の上からその姿を視認し、誠は笑いを浮かべる。

しかし、表情を徐々に歪んでいく。



「ハッハッハッハッハッハッ!!!」


誠は高笑いした。

もはや、彼の目には一人しか映っていない。




「会いたかったぞ!!サツキイイイィィィッ!!!」



「よう……元気そうだな、まこ」


バサッ!


マントを放り投げ、姿を顕にした。
風に揺れて靡く長い髪は、後ろで一本に結ばれている。



世界が誇る、唯一の"オーバージェネティック"。


"サツキ"に他ならなかった。






崖の上からその姿を見た菫吏は、力を振り絞り、叫ぶ。



「サツキさぁーーんッ!!!」


僅かだが、サツキが菫吏を見た。


「お願いします!!シュバルツバルド軍を……止めてください!!!」


瞳から大粒の涙を零し、彼女は己の救世主に、


「私には出来なかった…!!約束を、守れなかった!!でもアナタなら!!!」



使命を託した。

















「マァカセロオオォォーッ!!!」


ゴオッ!!


凄まじい土煙をあげ、サツキがシュバルツバルド軍に襲い掛かった。



「鳴らしてやるよ…!お前らの鎮魂歌を!!」




1対1500の、壮大な"強い者イジメ"が始まった。









彼女が戦う姿を見た者は、まるで"無邪気に踊るようであった"と語っていた。


そして、世界から畏怖の念を込め、こう呼ばれる。





"女神遊戯/ヴィーナスレクイエム"、と。
コメント

No title

ついに出てきてしまったのだぁ・・・\(^o^)/

どうなってしまうのか。。。
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