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三国戦争偏14

サツキさん&春通vsまこちゃん、決着です。


続きは小説です。
ワアアアアアアアアァァァァッッ!!


砂煙り舞う戦場で、己が力をぶつけ合う者達が雄叫びをあげる。


ザシュッ!


「グアァッ!」


そして一つ、また一つ、命が途絶える断末魔も響く。


その戦場の真ん中で、二人の騎士が対峙する。

一人は真紅の髪を兜から流し、ドラゴンに跨がる騎士。
"真紅の龍騎士/スカーレットリンドブルム"と恐れられる者。

名を"ジル=フィザット"。


もう一人は、死神のような大きな鎌"クレセントサイダー"を手にする騎士。
それを象徴とする二つ名、"魔眼の死神/イービルアイ=デスサイズ"を持ち、魔族の上位に君臨する"魔王バフォメット"と契約せし者。

名を"ダズリング=ゴールドリップ"。


二人は見合い、己が武器を持つ腕に力を込める。

先に口を開いたのはジルだった。


「その瞳、その鎌……そして纏いしそのオーラは、まさにバフォメットそのものだな」


その変容を見、恐れよりも武者震いが起こるのを隠せない。

対するダズはゆっくりと口を開いた。


「……私はこの力を持って、世界を正しい方へと導くと誓った」


フォンッ!


大鎌を振り、切っ先をジルへと向ける。


「人間も魔族も……あるべき姿のままでいられる世界を」


その表情に力を混め、ジルを睨み付ける。


「あなたは……今があるべき姿ではない。あなたの間違いを……私は正す」


その言葉に、ジルは小さく息を吐き、笑った。


「あるべき姿ではない、だと…?笑わせるな」


それは心の底から出た嘲笑なのだろう。
彼女は更に言葉を続けた。


「王国への復讐を果たすことが今の私の使命だ。それ以外の私など……」


そして、剣を握る腕が小さく動いた。
ダズもそれを察知し、身構える。


「在りはしない!!」


ズオッ!


ジルの振り抜いた剣先から真空波が巻き起こり、ダズへと襲い掛かる。
ルーンナイトの得意とするスキル"ソニックウェーブ"である。


フッ!


ダズはそれを目にも止まらぬスピードで回避した。


「超スピードでごまかす気か…そんなもの!」


ジルは動いた軌跡を先読みし、斜め後方へと体を捩る。


キィンッ!


「クッ…!」


背後に回ったダズの大鎌による一撃を、ジルは難無く受け止めた。

ドラゴンに騎乗している以上、小回りがきかないことは容易に想像できる。
更に、先程ネオへと放ったドラゴンのスキル"デスバウンド"は、正面にいる敵にしか効果がない。

それを考慮した上での一撃を止める、ジルの身体能力の高さが伺える。


「魔族と契約したとて、その程度では片腹痛いわ!!」


ゴォッ!


ドラゴンの周囲が、炎のような赤いオーラに包まれる。


「ッ!!」


バッ!


ダズは咄嗟に後方へと跳ぶ。


「イグニッションブレイクッ!!」


ドオンッ!!


ジルの周囲に、燃え盛る炎の攻撃が吹き荒れる。
一瞬で取った程度の距離ではごまかせないほどに。


フォンッ!


ダズは大鎌を回転させ、迫り来る炎へと構えを取った。


「ハアァッ!!」


ズオォッ!


そして鎌を一振りし、炎を真っ二つに切り裂いた。


「やるな…そうでなくては面白くない!」


ジルは再び剣を構え、ドラゴンをダズへと突進させる。




シュバルツバルド領の赤銅色の大地で、互いの意地を賭けたぶつかり合いの火ぶたが切って落とされた。




















「は、春通…!春通ッ!!」


サツキは誠のセルフディストラクションによって吹き飛ばされた傷を庇いながら、縺れる足でパートナーを探していた。

鍛練をサボっていたとはいえ、春通は三次職。
爆発程度で粉々に吹き飛ばされるほど、脆い体つきはしていないはずである。


「どこだ…!?どこに………あっ!」


サツキは未だ止まない爆発の名残、砂煙の中で、壁に減り込むように吹き飛ばされた春通の姿を発見した。


「春通!!大丈夫か!?」


足早にその元へと駆け寄り、膝を着いた。

彼は意識が無く、全身に火傷を負い、体の至る所から血を流していた。
一目でそれが重傷であるとわかる。


「今、治してやるから…!」


サツキは震える手で試験管を取り出し、それを春通の全身に振り撒いた。

空中で飛散する薬品により、傷や火傷は少しずつ癒されていく。


しかし、


「…お、おい……春通…?」


彼は、目を覚まさない。


傷は癒され、塞がりつつあっても、"失ったものは戻らない"。

サツキがいかに優れたジェネティックであろうと関係のないこと。



命が失われ、魂がこの場に無いものを蘇らせることは出来ない。

それが人間というものである。



「冗談よせよ……いつもみたいに、名前呼んでみろよ……」


理解できないのではない。

理解したくはないのだ。


「俺はサツキだ……サヅキでも、サヅギでもない……」


受け入れたくは、ない。


「なあ……春、通……」


瞳から涙を流し、彼女は目を覚まさないパートナーを見続けていた。






ズシャッ!


「……馬鹿だよ……」


砂煙の中から、もう一人の人物が現れた。

同じく春通の手により、爆発を免れた瀬戸誠である。


彼は動かぬ元親友の姿を見、表情を暗く、そして強張らせる。


「春通は……大馬鹿野郎だ……」


誠とて、春通を殺すつもりはなかったのだろう。


罪悪感がないわけではない。
それよりも、己が決めた使命のほうが優先されただけのこと。


「俺やサツキは………」


サツキを、



「死ぬべきなんだ」



"殺す"という使命が。













ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!


『サ、サツキ…!?』


直後、サツキを中心に、大気を揺るがすような振動が起き始めた。

いち早くその変化に気付いたフレイヤは声を荒げる。



『やめなさい!それを使ったら貴女の体が!!』


女神は止めようとした。


己が宿主の、





「ウルセエエエエエェェーーッッ!!!」


ドゴォッ!!



"暴走"を。



「クッ!!」


凄まじい勢いで地を蹴り、サツキは誠に向かい、真っ直ぐに突進した。


ジャキッ!


誠は咄嗟に手にしたショットガンをサツキへと向ける。

相手は真っ直ぐにこちらへと向かってくる。


ドォンッ!


躊躇いなく引き金を引けば、確実に当たるであろう。


「なっ…!?」


確かに弾丸の雨はサツキを襲い、"その左腕を吹き飛ばした"。


だが、"止まらない"のだ。


そう、まるで"腕を最初から犠牲にするつもりだった"とでも言うように。


「アアアアアアアァァァッッ!!!」


ドガガガガガガガッ!!


サツキは残った右腕で誠の顔面を掴み、押し倒すように地面にたたき付け、そのまま数十メートル後方へ引きずっていった。


「がぁ…!!」


誠は頭部から、全身へと駆け巡る痛みに、飛びかける意識の中でサツキを見た。


「なっ……サツキ…お前…!」


だが、そこで誠は目にする。



「何だ……何なんだ"それ"は…!?」



バチッ!


サツキの吹き飛んだ腕の間接部。

そこには、まるでショートを起こした機械のように、電流を帯びた繋ぎ目が広がっていたのだ。




まるで、"機械人形"そのものだというように。



「ウウウウウアアアアアアァァッッ!!!」


ドゴオォッ!!


サツキは馬乗りになった状態で、右腕を大きく振りかぶり、それを誠の腹部に勢いよくたたき付けた。


「グァ!!ハッ…!」


周囲の地面を陥没させるほどの威力を持った拳が、体に減り込む。

誠は口から血を吐き、今度こそ完全に意識を失った。



だが、


「フウウゥッ!!」


サツキは止まらない。

更に右腕を振りかぶり、次は顔面へと、まるでそれを潰さんとする勢いで、



誠を、殺そうとしている。



ゴオッ!


拳は今まさに、元親友を手にかけようとしていた。



















「サ……ヅギ……さ…ん……」



フォッ!


その時、小さく、微かに、しかし確かに響くように、サツキに声が聞こえた。


振り下ろされた腕は、寸前のところで止まった。



「…やめて……くれ……」


そう、声の主は"春通"。

彼はサツキの薬の力により小さく息を吹き返し、持てる精一杯の力を使い、サツキを制止した。


「マコが……マコ、が……死んじま…う……」


「ウウ、ウウウウウウッ…!!」


その声を聞いても、サツキは止まらなかった。


もう一度腕を振り上げ、拳を叩き付けんとする。



「お願い…だぁ……マコを……殺さ、ないで……くれ…ぇ……」



春通は、最後の力を振り絞った。


「ウウウウウウウウウゥゥッッ!!!」


ドゴオオオォォンッ!!


虚しくも、拳は振り下ろされた。



だが、



「ハァッ!ハァッ!ハァッ…!」


サツキは、暴走を止めた。



拳は誠の顔面、すぐ横の"地面を殴り付けていた"。


『……サツキ………』


フレイヤは、正常な意識を取り戻した宿主を気遣い、それ以上は何も言わなかった。










親友同士を戦わせることになった戦争は、未だに終焉を向かえようとはしない。


しかし、修復されるべきものが生まれようとしてる。



ダズの言う"正しい世界"へと、導かれているとでも言うように。
コメント

はるつーさん・・

・・・・グスン;-;
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