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番外編「砂漠の猟犬」おまけ

その3の続き。
おまけです。


続きは小説です。




「本当にこの姿で良いのか…?」


ダズとリィン、そしてチェムの足元で、小さな"子犬"が訝しげに口を開いた。


「大丈夫ですよ。喋る犬を見たら、ユノン様もさすがに信じるしかないでしょう」


そう、タローは茶と白の混ざった毛をした"柴犬"へと姿を変え、事の顛末を報告するためにプロンテラへと来ていた。

何故柴犬なのかというと、狼では驚く者も少なくはないからだろう。


「それにしても可愛いですねぇ~可愛いですよぉ~」


「便利な能力というものです」


頭をワシャワシャと撫でるチェムと、相変わらずその能力に興味津々なリィンであった。




だが、謁見の間に入った瞬間、ユノンは犬がどうこう以前に表情を一変させる。


「あ、貴方は…!?」


「…?ユノン様?」


そう、ユノンの視線の先は、ダズの横に立つ者へと向けられていた。




「"リィン殿"ではありませんか……」


「……お久しぶりです、ユノン=N=ローウェル。相変わらずお美しい」


「………え?」


ユノンは"リィンを見て"、驚いていたのだ。


「お知り合いですか、ユノン様…?」


当然ダズは聞き返す。

ユノンは少しの間を置き、答える。


「……彼は、お隣りの国"シュバルツバルド共和国の正統王位継承者"、その第三王子"リィン=R=セレスティア"殿です」


「…………はい?」


一瞬何を言われたのか理解できず、ダズはリィンを見た。


そこにはニコニコと屈託のない表情を浮かべる"プリンス"の姿があった。



「えええぇーーーーーっ!!?」


ここが王室であることを忘れ、ダズはただただ驚くばかりであった。



















驚愕するダズを横目に、チェムがタローの仲介となり、事の顛末を説明した。

案の定ユノンは理解し、それを許してくれた。


誘拐された者達が記憶を無くしていたのは、短時間の記憶を忘却させる植物"メント"の作用によるもので、これは後遺症の残らない安全な薬であることがサツキからも報告されており、事無きを得た。




プロンテラ城から真っ直ぐ南へ歩いた先、ダズとリィンが初めて出会った場所を、二人は再び歩んでいた。

そんな二人を、物陰からタローを抱えたチェムが見ていた。



「ど、どうなると思いますか?"お犬様"」


「……その呼び方は何とかならんのか?まあ……堅苦しい騎士と緩い王族だ。そう上手くもいかんだろう」


お犬様とあだ名を付けられたタローは、率直な意見を述べた。


「もう、もっとロマンチックなこと言えないんですかぁ?」


「そんな事を言われてもだな……」


陰から見つめる二人を知ってか知らずか、リィンは口を開いた。


「ダズ殿、もう一度言います。私の妻として、共にジュノーへと渡ってくれませんか?」


「……………」


リィンの今までに見せなかった真っ直ぐな視線を受け、ダズはたじろぐ。


「あなたの生活、位も保証できます。騎士としての活動も続けていただいて構いません」


更に、リィンは畳み掛ける。

少しの間を置いて、ダズはゆっくりと口を開いた。


「……私は、まだ半人前です。とてもではありませんが、人の妻として、ましてや王子様に嫁ぐなんて……」


やんわりとそれを断るように、、言葉を繋ぐ。

リィンはそれを聞き、小さく微笑んだ。


「では、あなたが一人前の騎士になった時、必ず迎えにきます」


ゆっくりと体の向きを変え、その場を去らんとする。



「白馬の、王子として……」



半ば強引な返しをし、リィンは静かにその場を後にした。



プロンテラを騒がせた小さな事件は解決を向かえ、ダズの心に小さな思いを膨らませることとなった。
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