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三国戦争編16

このシリーズ20までに終わるかなぁ…。
微妙なとこ。


続きは小説です。




キィンッ!


ダズとジルは、互いに一歩も譲らない鍔ぜり合いを繰り返していた。


「フンッ!」


ゴオッ!


ダズは大鎌を回転させ、ジルの胴を目掛け、横薙ぎにそれを振る。


「甘い!ウィンドカッター!!」


ブオォッ!


ジルの周囲に暴風が巻き起こり、体は鎌ごと後方へ吹き飛ばされる。


ズザァッ!


着地すると同時に、ダズは次の攻撃を警戒する。


『おい、ダズリング』


その時、どこからともなく、ダズへ向けて声が発せられる。


それこそが大鎌の主、"魔王バフォメット"だった。


『奴は本当に人間か…?我も手加減しているつもりはないぞ。にわかには信じられん強さだな』


「………"人類最強を目指す"と、自分で言うだけのことはありますね」


釈然としない気持ちになりながらも、ダズはそれに答えた。


『ドラゴンに乗っている以上小回りはきかない。スピードと手数でじわじわといたぶるぞ』


「……なんか魔王のくせに考えることは小さいですね……」


アドバイスをかけるバフォメットに、ダズはぼそっと呟いた。

山羊の魔王は怪訝そうに続けた。


『……文句があるなら力を貸さんぞ』


「ふふっ、冗談ですよ」


口元を緩めながらも、眼差しは真剣なままに、鎌を上段に高く構え直す。


「ハァッ!」


フォンッ!フォンッ!


ダズは瞬時に真空刃"ソニックウェーブ"を二発繰り出した。

縦に描かれた刃が、同時にジルを襲う。


「真似事の攻撃でどうにかなるとでも……ぬっ!?」


ガガガガッ!


だが、刃は直接ジルを狙ってはおらず、ドラゴンの左右を通り抜けるように地面をえぐっていった。


そう。本命は、別にある。



「スパイラル…!!」


ダンッ!


ダズは腕を捩るように柄を持ち、真っ直ぐジルへ突進する。

ソニックウェーブはドラゴンの動きを封じるための囮に過ぎなかった。


動くのが一歩遅れ、ジルはそれを受けるしかなくなる。



「馬鹿め!デスバウンド!!」


しかし、正面から行けば相手の思う壷である。

ドラゴンは大きく息を吸い込み、反撃の体勢に入った。



「ダアアアァァッ!!」


ドゴォッ!


「何っ…!?」


ダズは咄嗟にスパイラルピアースの軌道を変え、ジルの手前の地面を殴りつけた。

土煙をあげ、ジルは視界を奪われる。


「煙幕とは…!ちょこざいな!!ハッ!?」


その時、ジルは頭上を通り抜ける者の気配を感じる。

勿論、それはダズ以外の何者でもない。


彼女は地面を殴り付けると同時に、己は空中を跳びながら前転し、ジルの裏へと回り込んだ。



「スパイラル…!!」


空で体勢を立て直し、地に頭を向ける逆さの形になりながらも大鎌を構える。


「くそっ…!」


ジルはそれを防ぐため、剣でガード体勢をとる。



「ピアアアァーースッ!!」


ゴオォッ!!


ダズの右手から、凄まじい勢いで螺旋の衝撃波が放たれる。


ガキイィンッ!!


「うおおぉっ!?」


(こ、この距離で防いだ…!?)


その至近距離で剣でガードするジルには驚かされたが、衝撃だけは抑え切れず、ドラゴンから投げ出されるように後方へ吹き飛ぶ。


ズザザザザザッ!


空中で体勢を立て直し、両の足と手でブレーキをかける。

そして、まるで何事もなかったように立ち上がるジルに、さすがのダズも顔をしかめる。


「……今のを防がれるとは思いませんでしたよ」


「確かに良い攻撃だった。ドラゴンから降ろすだけでもたいしたものだ。しかし……その程度で私の体には届かせんぞ」


ドッドッドッ!


ドラゴンが地を蹴り、ジルの元へと帰っていく。
ジルは再びそれに跨がり、剣を構えた。


「さあ、続きといこうか」


尚も戦いを続けようとするジルに、ダズは鎌を下ろし、口を開いた。


「……何故そこまでして、王国に復讐しようとするのですか…?」


対峙するジルも、剣を下ろす。


「何故、だと…?尊敬する父を亡くし、母は蔑まれる言葉に病を悪化させ、命を落とした。もはや王国に"殺された"も同然だ。これを怨まずにいられると思うか…!?」


ジルの表情は険しく、剣を強く握りしめる。


「……違う。"殺された"何て言うのは、あなたの勝手な解釈だ」


ダズが返した言葉に、ジルは小さく反応する。


「……ほう、私に説教をたれようと言うのか…?」


「例え他の者が何と言おうとも、あなたは信じていたはずだ。ずっと背中を追い続けていた父親のことを…!」


ダズは更に言葉をかけ、説得を試みる。


「あなたの父親…お父さんは無駄死になんかじゃない!命を賭けて、"あの二人"を護ったんです!ならばあなたが"これからどうするか"も判るはずでしょう!?」


「………知った風な口をきくな。下らん同情などで、私をどうにかできると思うなよ」


ジルは再び剣を構え、行動でそれを示さんとする。


『無駄だ、ダズリング……』


その様子を見、バフォメットも理解したのだろう。

ダズは舌打ちし、同時に鎌を構えた。


「……何で、わからないんだ…!」


彼女、ジルの信念は変わらない。

深く根付いてしまった怨念という力によって、不動のものへと化してしまうかのように。




















「キャアアアアァァッ!!」


谷底を真っ逆さまに落ちるマツリ。

しかし、レンジャーのどんなスキルを用いたとて、この状況を打破する手段は見つからない。


「とーりんごめん…!私は…私は…!」


共に戦う仲間、そして時にお茶をし、楽しい時間を過ごした"友達"の顔が頭に浮かぶ。


「…お姉ちゃん……」


出発の前にダズは言った。

"気をつけてね"と。
己を気遣うように。


走馬灯のように浮かぶ家族達。


そして、正式に"親"となった男の顔が、最後に彼女に語りかける。


「……タイタン…おじさん………」


マツリの頭に浮かぶタイタンの顔は、いつまでも不敵な笑みを浮かべていた。


このままでは、それも最後となるのだろう。


マツリは死を覚悟した。














ダダダダダダダダッ!!


その時、凄まじい疾走音と共に、ほぼ垂直な谷の側面を"重力に逆らうように駆け降りる男"の姿がマツリの視界に入った。



「マツリイイイイイィィィーーッ!!」


男は力の限り叫んだ。


己の、"娘"の名を。




「おじさん…!タイタンおじさああぁぁんっ!!」


マツリは涙を浮かべる顔で、男の名を、親の名を叫んだ。


ダンッ!


タイタンはマツリに接近すると、崖を蹴り、空中を更に加速した。


「だから…!おじさんはやめろって言ってんだろ!!」


ガシッ!


マツリの手を握り、引き寄せ、体を強く抱きしめた。


「ごめんなさい…!私また無茶をして…」


「気にすんな!俺が来たからには…」


泣き叫ぶマツリを腕に、タイタンは詠唱を始めた。


「全部まとめて…助けてやるよ!!」


ゴオオオオオォォッ!


突如谷底に吹雪の魔法"ストームガスト"が巻き起こり、舞い散る雪の結晶達が地に降り積もっていった。


「チッ…!クッションにしちゃあ物足りねえな」


タイタンは更に詠唱を始め、次のスキルを地へと放った。


「マンホールッ!!」


ポワアァンッ


すると降り積もった雪の真ん中に、水のように青く、"大きな穴"が出現した。


「着地するぞ!歯ァ食いしばれ!!」


「うんっ…!」


マツリはタイタンに強くしがみつき、落下の衝撃を覚悟した。



ドポオオォンッ!


二人は衝撃を最小限に抑えたマンホールへと落下した。

そして数秒後、まるで水面に浮かぶように姿を現す。



「まっ、ざっとこんなもんだ…」


「ううぅ……ありがとう。でも、どうしてここへ…?」


そう、タイタンはラヘルへと向かっていたはずである。

彼女は率直な疑問を投げ掛けた。


「まあ、いろいろあってな……だが説明すると長くなる。とにかく今は"本隊に合流するぞ"」


「そ、そうだ!シュバルツバルド軍が王国軍を後ろから狙ってる!それを伝えなきゃ…」


マツリはそれを約束し、菫吏と別れたのだから。

しかし、タイタンは人差し指を立て、それを左右に振った。



「いいや、関係ねえ。俺らはこの戦争を"まとめて終わらしにいく"」


「え…?終わらせる?」


タイタンは自信に満ち溢れた顔で、不敵に笑みを浮かべた。

そして崖に向き直り、岩盤に手をかける。


「ま、待って!まだアリルさんが…!」


マツリはそれを止めた。

いくら敵とは言え、顔の知れた仲である。
放っておくわけにはいかないと思ったのだろう。


「あいつが谷に落ちたぐらいで死ぬタマかよ。大丈夫だ、放っておけ」


言い終えると、タイタンはせっせと崖を登り始めた。

マツリも慌ててその後を追った。





その時、




ゴゴゴゴゴゴゴッ!!



「キャッ!?」


大きな地鳴りと、"何かが大群で走るような"轟音が谷に響いた。


「クソッ!"もう来やがった"か…!」


恐らくタイタンはこの正体が分かるのだろう。
舌打ちし、既に数十メートルは離れた谷底を見る。


「い、一体何なの!?」


「いいから登れ!絶対に落ちるなよ!!」


タイタンが罵声を浴びせ、二人は再び崖を登っていった。




そこで二人は目にする。

谷底を埋め尽くすように行進する"銀色の機械達"を。



それは地下遺跡"ジュピロス"から目覚めた古代兵器、ヴェナートとディミックの大群であった。
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