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三国戦争編18

長くなったので分けます。


続きは小説です。



「お、おじさん!あいつら登って来る気だよ!?」


崖を登るタイタンとマツリの眼下から、ジュピロスから放たれた古代兵器、ヴェナートとディミック達の行進が広がる。

脚部のパーツを岩盤に付け、そのままの速度で絶壁を登ってくるのだった。


「あぁ、わかってる!」


ゴォッ!


タイタンは言い、右手に炎を燈らせた。

弓を扱うマツリを両手を使わなければ攻撃ができない。
崖に捕まった状態ではそれを放つことすらままならないからだ。


「しっかり捕まってろよ!マツリ!」


タイタンは火球を下の機械達に向け放った。


ササッ!


しかし、前線のヴェナート達はそれを容易に回避する。


「よ、避けられた…!?」


俊敏なその動きには驚かされる。

このままでは追い付かれるのも時間の問題だろう。



「その炎、"曲がるぜ"」


クンッ!


タイタンがそう言った瞬間、火球は急速に向きを変え、ヴェナートの大群に突撃した。


ダダダダンッ!!


更に、崖を揺らすような爆音と共に、直撃した地点から周辺にいる機械達まで一掃する。


「炎が…曲がった…?」


「ただ曲がるだけじゃねえぜ。あれは"クリムゾンロック"。相手を"何処までも追い掛ける"素敵仕様だ」


タイタンは自身あり気に笑った。


クリムゾンロックは三次職"ウォーロック"の得意とする魔法である。
恐らくタイタンはそれを己のスキルで"盗作"したのだろう。


「おじさん、一体いくつの魔法を使えるの…?」


タイタンは既にストームガスト、クリムゾンロック。
そして過去にはロードオブヴァーミリオンを使用したことがある。

マツリが不思議に感じてもおかしくはない。



「……俺の二つ名を教えてやるよ」


彼の二つ名。
それはマツリすら知らない。


この上なく不敵な笑みを浮かべ、タイタンは口を開いた。



「"完全掌握/インフィニットスティール"。それが俺の二つ名だ。これで分かったろ?」



そう、マツリは知る。

タイタンの盗作に、限界はないのだと。




















未だ闘争の渦にのまれる戦場に、微かな変化がもたらされようとしていた。


「ユノン様、どうしてこちらへ…?」


ダズは地に這い、動かぬ体で顔だけを上に、プロンテラの王女を見た。


「タイタンからの報を聞きました。この戦争は"仕組まれたもの"であると。それ故に、私はこの闘いを"終わらせるために参りました"」


ユノンは凜とした表情でそれに答え、ダズの前で片膝をつく。


「戦争を…終わらせる…?」


「今しばらくお待ちください。すぐに事態は変化するでしょう」


ユノンの言葉が終わるや否や、直ぐさま"それ"は現れた。


ドドドドドドッ!


戦場の西から、土煙と共に数十の軍勢が出現する。

そこには"アルナベルツ教国の国旗"が掲げられていた。


「来ましたね……」


「あれは…ラヘルの…?」


そして、その馬車の中から一人の少女が姿を現す。

白い装束に身を包み、金の杖を片手に、"オッドアイの少女"が。


少女は大きな声を戦場に轟かせた。



「アルナベルツ教国軍!並びにルーンミッドガッツ王国軍よ!直ちに戦闘を止めい!!」



少女の声に気付いた者達が、次々と武器を下ろし、戦闘を中断する。


「あ、あれは教皇様…!?」


ザワザワ


教国軍の兵士達はざわめき、少女の姿に驚きを隠せずにいる。



「ルーンミッドガッツ王国軍よ!私は第十三王女ユノン=N=ローウェル!彼女の言葉に従いなさい!!」


ユノンがそれに続き、王国軍へと呼び掛けた。

二国のトップが現れた戦場は、突如として混乱に包まれる。


ザッザッ


ユノン、そして教皇の二人は、戦場の真ん中で歩み寄った。




「……久しぶりじゃな、"姉上"」


「ええ……貴女もお元気そうで何よりです」


教皇が言った言葉を聞き、ダズは耳を疑った。


「あ……姉…!?」


そう、オッドアイの瞳を持つ二人。
見れば見るほど、姉妹という言葉に疑いを持てなくなる。


驚く間も短く、教皇は両軍の兵士達に向かい、向き直る。


「此度の戦いは、我々アルナベルツ教国ラヘルの神官達が暗躍していた、"仕組まれた戦争"である!」


教皇の言葉を聞き、両軍は更にざわめきを大きくする。



「何だって…!?神官様達が…!」


「どういうことだ!俺達はまんまと乗せられたのか…!?」


口々に語る兵士達を余所に、教皇は続けた。


「奴らは戦争による負のエネルギーを集め、この地に眠る古代兵器を蘇らせ、我が物にしようとしていた!」


地下遺跡"ジュピロス"に眠る古代兵器。
それを手に入れたものは瞬く間に世界を征圧できる力を得ると言われている。

その欲に目が眩んだ神官達が、異世界の資源を巡るこの戦いに対し、良からぬ噂を流したのだろう。


人の思惑とは簡単なものだ。

例えば、"どこかの国が隠された資源を独り占めしようとしている"、という噂を流すだけで疑念が生まれ、それが発展し憎しみとなる。

誰にでも欲があり、人はその赴くまま行動する。
それを逆手に取ったのが、この戦争の真実だった。



「ジュピロスの古代兵器は目覚めさせてはならん!そのためにこの戦争を終結させる!双方が理解し合える道を、我らは探していくべきじゃ!」


教皇の言葉に、兵士達は次々に頷いていった。



本当は戦争などしたくないのだ。

それは誰にでもある。
人には、帰るべき場所があるのだから。




その時、



ドドドドドドッ!


再び北の方角から土煙があがり始めた。


「彼等も来ましたか」


「そのようじゃの…」


ユノンと教皇は、それが何者なのか知っているのだろう。


掲げられているのは、"シュバルツバルド共和国の国旗"。


ダズは目を凝らしてそれを見た。
妙な胸騒ぎが、彼女の中でしたからだ。



「……ま、まさか…!?」


そう、先頭を走る男の姿に、ダズは見覚えがあった。

忘れるわけがない。
というより、あまりにインパクトが強すぎて忘れられない存在。



「リ……リィン、さん……」


ダダッ!


先陣を切り、大きな赤い帽子を被った男が、ユノン達の前で止まった。


「またお会いできましたね。ユノン=N=ローウェル、そしてラヘルの教皇よ」


男の名は"リィン=R=セレスティア"。
シュバルツバルド共和国の王位継承者、つまり王子である。


彼は以前プロンテラで起きたある騒動を解決した経歴を持っている。
その時(身分を隠しながら)ダズと行動を共にしたのだ。


「"父王"とのお話は上手くいきましたか?」


ユノンの言葉に、リィンは小さく微笑んだ。


「はい、ラヘルからの使者により、この戦争の真実が告げられました。共和国軍も此度の戦争から身を引くため、体の弱い父に代わり、私が伝令役に参りました」


王国、教国両軍にとって、三国目のトップが現れたことにより、これ以上に信頼し得るものはないだろう。



ユノンは小さく息を吸い、二人、そして両軍の兵達へ向け、口を開いた。



「ではお話の通り、この三国戦争はこれにて終結とさせていただきます。そして、我等は誓います」


三国のトップ達は、互いに見つめ合った。




「ここに"三国同盟"を結成することを」




そう、戦争は終わった。

そして、彼等は"同盟"を結び、これ以上の戦争行為の根絶をここに誓った。


皆が願う、"平和"への一歩進み始めるために。




ワアアアアアアアアアァァァッ!!



次の瞬間、兵士達は己が武器をそれぞれの頭上に掲げ、次々に雄叫びをあげた。


「三国同盟万歳!!三国同盟万歳!!!」


中には武器を落とし、泣き崩れ、抱き合う兵士達もいる。

もう戦い、殺し合う必要など無い。
それだけで救われ、報われる命達の心が、そうさせていた。
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