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三国戦争編19

次じゃ終わらんなこれ。


続きは小説です。



兵達をすり抜けるように、リィンはダズの前へ歩み出た。


「おぉ、我が妻よ……どうしたのですか?床に這いつくばってしまって。私達の間に遠慮などいらないのですよ?」


「い、いや……遠慮じゃなくて……立てないんです」


負った傷と、肩の荷が降りた感覚から、ダズは全身の痛みを訴えた。


「そうでしたか……あなたも傷付き、戦ったのですね。少々お待ちください、今治癒魔法の使い手をお呼びします」


「そ、それよりもリィンさん……」


何よりも、ダズは気になっていることがあった。

登場時より、"リィンが跨がっていたもの"が。


「それ……何ですか…?」


「クエッ」


小さな鳴き声をあげ、その"動物"は丸い瞳を輝かせた。


「あぁ、これですね。フフッ、約束したではありませんか。"白馬"に乗ってあなたを迎えに来ると」


「……いや、それ…どう見ても"鳥"じゃ……」


そう、リィンが跨がっていたのは"ダチョウ"。

走行に特化した足と、小さな翼、そして長い首は、明らかに白馬とは程遠い存在だった。


「ダチョウはシュバルツバルドでは神聖な生き物として扱われています。言ってしまえば、白馬より素晴らしいものですよ?」


「……そ、そうですか……」


ある意味期待を裏切らない、いや期待をしていた訳ではないが、満面の笑みを浮かべるリィンに、ダズは返す言葉が浮かばなかった。



「おーーい!ダズさあぁーーん!」


遠くから、ダズの名を呼び、駆け寄る女性の姿があった。


「チ、チェムさん…!?」


赤い修道服のスカートを翻させ現れたのは、"治癒息吹/ホーリーブレス"として名高い治癒魔法の使い手、"チェムリット=シュガーポップ"だった。


「傷付いた皆の体を癒すため、チェムリットただ今参上!なんちゃって!」


「手酷くやられたようだな」


ポーズを決めるチェムと、その横に悠然と立つ"喋る柴犬"がいた。


「タローさんまで…?」


名を"タロー=アイコニクス"。

かつて"砂漠の猟犬/デザーティア=ハウンドドッグ"と呼ばれた集団の長であり、遠い昔"賢狼"として崇められた伝説の生き物である。



「彼女の治癒魔法、今使わなくて、いつ使うというのですか?」


リィンは目を細め、微笑んだ。

それに答えたチェムは瞳を閉じ、両手を胸の前で組み、祈り始めた。




「コルセオヒール」



パアアアアァァッ!


言葉と同時に、王国軍、教国軍を含む全ての者達の足元から、緑に光り輝く"治癒の光"が溢れ出した。
その範囲は、ヒナノが過去に使ったプロンテラの"祭壇"に匹敵するとも言える。

神が大地にその息吹を吹き掛けるかの如く、癒しの風を巻き起こす。

それがチェムリットに与えられた"治癒息吹"の力であった。



みるみるうちに怪我が癒され、身の自由を取り戻したダズは立ち上がり、二人(と一匹)を見た。


「ありがとうございます。皆さんのお陰で無事…にっ!?」


そのダズの体を、白馬、もといダチョウから降りたリィンが強く抱きしめた。


「あなたが生きていてよかった……ルーンナイトへと転職を果たし、もう十分に一人前の騎士となりました。さあ、私の求婚を、受けてくれますね…?」


「なっ……あ…えっと……」


突然の抱擁に、返す言葉も見つからない。

そんな様子を見ながら、チェムは「キャー」と小さな声で叫びながら、タローを両腕で抱きしめている。

だが、いかんせんタローのほうは苦しそうである。


「い、いきなりそんな…でも、あの……」


口ごもり、赤面し、返す言葉が見つからない。

確かに、リィンは過去に言った。
「一人前の騎士となった時に迎えに来る」と。

その通り、ダズは王国二人目のルーンナイトへと転職を果たし、十分に誇れる地位と強さを手に入れた。


「ま、まだ私には…早いかなって、言うか……その……」


まともな言葉は一つも出てこない。

不思議な目をするリィンと視線が逢った。
どこまでも綺麗で、純粋な輝きを放つその瞳と。




その時、



「な、なんだあれは!?」


兵士の一人が叫んだ。

遥か遠くから、土煙をあげてこちらに向かう大群が見える。


その先頭を走るのは、



「タイタン…!?マツリまで!?」


ダズのよく知る二人だった。

何かを引き連れてきたのだろうか、いや、それにしては数が多過ぎる。

というより、二人の表情は相当なまでに必死であり、何かに追われているようにしか見えない。



「ダアアアァァズッ!!逃げろおおおぉ!!」


「お姉ちゃん逃げてええぇっ!!」


「!?」


走るタイタンとマツリが叫んだ。

最初は意味がわからなかった。
だが、徐々に煙が晴れ、それを見た瞬間全てを理解する。



「あ、あれは…!?」


わざとオーバーなリアクションをとり、ダズは無理矢理リィンから離れた。


「遅かった!?」


「復活してしまったじゃと…!?」


ユノンも教皇も、肉眼でそれを確認した。



雪崩のように押し寄せる、ジュピロスから目覚めた古代兵器、ヴェナートとディミックの大群と、それを統率するように現れた巨大なモンスター、かつて古代都市の"所長"と呼ばれた"ヴェスパー"だった。



ユノンは直ぐさま前へ踊り出、大きく叫んだ。



「皆の者!よく聞きなさい!」


凛とした表情で、瞳は真っ直ぐ前を見据えていた。


「誰も過去を変えることはできません!ですが人は未来を創ることができます!この戦争を乗り越え、明日への道を切り開くのです!!」


手にしたグランドクロスを前に、ユノンは命じた。


「対するはジュピロスの古代兵器!!三国同盟はこれを殲滅せよ!!」





オオオオオオオオオオオオオッッ!!!


兵達が雄叫びをあげ、全軍が突撃を開始した。


三国が一つとなった最終決戦の幕が上がる。
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