コンロン地下闘技場編1
新シリーズ始まるよ。
庭面子中心。
続きは小説です。
庭面子中心。
続きは小説です。
コンロン闘技場。
表向きにはモンスターを疑似的に召喚する装置を使った、冒険者達の腕試しの場として使われている。
しかし、あくまでそれは表の顔。
裏と呼ばれる場所は、その地下に存在していた。
コンロン地下闘技場。
そこは権力者達の娯楽の場として設けられた、"人と人"を戦わせる影の舞台である。
優勝者には、裏世界に通じる名誉と、莫大な賞金が与えられる。
また、出場者の順位を予想する、言わば賭けの場としても利用されており、多くのならず者達が一獲千金を求め集まっていた。
闘技のルールは簡単。
相手を殺す以外なら何をしてもよく、先に"参った"と言わせるか、審判によるストップがかかるまで戦い続けるのだ。
今宵もその名誉と賞金を求め、挑戦者達がこの場に集結していた。
コンロン地下闘技場編の開幕である!
『さあ!今年もやってまいりました!コンロン地下闘技大会!!優勝を掴み、名誉と賞金を手に入れるのは一体誰なのかァッ!?』
ワアアアアアアアアアアァァッ!!
マイクを持つ男が、観客席から一段上に設置された実況席より叫ぶ。
集まった者達は今か今かと始まるのを心待ちにしており、場は燃えるような熱気に包まれている。
『今回予選を勝ち抜いた選手紹介の前に、実況は私"神咲北斗"と、解説には"動かない石像"ことアヘンさんに来ていただいております!』
実況の神咲と名乗る人物は、横に座る男へ目を向けた。
『アヘンさん、よろしくお願いします』
『よろしくお願いします』
『どうですか?今回の選手達は?』
『いやぁ、今回もかなりの強者揃いですね。誰が勝つのか、今はまだ全く予想がつきません。私も早く試合が見たくてウズウズしてますよ!』
『そうですか、ありがとうございます。では、今回の開催は"竹屋商会"の提供でお送りします。カメラさーん!』
紹介を終え、カメラは観客席の後ろに設置された大きな看板へと向けられた。
「みんなああぁ!竹屋商会をよろしくなぁー!」
そこには"世界の竹屋商会"という文字の真ん中に立つ男が映されており、大きく両手を振る姿が確認できた。
そう、彼こそが竹屋商会のトップに立つ男、"竹社長"本人であった。
神咲は再びマイクを握り、大きく口を開いた。
『では、皆さんお待ちかねの選手にご登場いただきましょう!!』
オオオオオオオォォッ!!
観客は更にヒートアップする。
すると観客席の下にある、闘技場の真ん中へと繋がる扉が開き、選手達が入場を始めた。
『まず一番手!今回の大本命です!数々の依頼をこなし、裏世界にその名を轟かせる男!"便利屋"ファルシオオォォンッ!!』
「ファールシオンッ!ファールシオンッ!」
観客からのコールを浴びて登場したのは、"便利屋"として名高い"ファルシオン"だった。
大柄の男だが、軽装で、武器らしきものは装備していない。
男は無表情のまま前へと歩み出た。
『次は大会初の魔法職として予選を突破しました!どんな戦い方を見せるのか!?ゲフェンタワーの美しき女教師!東雲春ウウゥゥッ!!』
「頑張る…頑張ったるで…!うちには子供達が待ってるんや…!」
訛りのある言葉で、一人呟きながら前に出た女。
彼女はウォーロック、名を"東雲春(しののめ はる)"。
緊張のためか、足取りは覚束ない。
『そして、自称"竹屋商会社長の兄貴分"!名を伏せての登場だ!実はとてつもない大物か!?流浪の騎士!アァァニキイィィッ!!』
「兄貴ー!頑張ってくれぇー!!」
先程登場した竹社長が、出て来た男にエールを送る。
どうやら自称ではなく、事実なのかもしれない。
「ウィー、何だ何だぁ?歓声がちっちぇぞ?」
男は身なりこそ騎士だが、手には酒が入っていると思われる瓢箪(ひょうたん)を持ち、既に酔っ払っているため、風格に似つかわしくない。
『今回の女性参加者がもう一人!得意技は爆気散弾と言っているが、予選の相手は全て羅刹破凰撃で倒している!凄腕の女修羅!マァァサオオォッ!!』
ヒュンッ!
突如、モンクのスキル"残影"を使い、闘技場に踊り出る。観客はそのパフォーマンスに沸いた。
「これだけ目立ちゃ十分かな…」
女の名は"マサオ"。
男のような名前だが、れっきとした女性である。
金髪の短い髪と、周囲に燈した気弾が非常に目立っている。
『またまた女性参加者!予選で見せたトリッキーな動きから繰り出される技は全く予想がつかない!声までおかしいし!彼女は本当に人間なのかぁ!?あだ名は"コロスケ"!ケビン=コスギイイィッ!!』
「おおぉ…すごい人だ。ワシ燃えてきたぞ!」
場に似つかわしくないほど陽気な、というより騎士の格好を除けば普通の女の子にしか見えない。
しかし、まるで機械音声のように発せられる特徴的なまでに甲高い声が響いている。
もちろん本人の口から、普通に。
「あ、ジルさん、いたいた」
観客席の後ろのほうの列で、ダズはジルの姿を見つけた。
特徴的な真紅の長髪のおかげで、見つけるのにはそうそう時間はかからなかった。
「久しぶりだな、ダズ。だが遅いぞ」
「はは…すいません」
しかし、いかんせん会場が広すぎるため、迷ってしまったようだ。
ダズはジルの横に座り、選手紹介の続く舞台を見た。
「……この中にいるんですね…?」
「あぁ、いる。だが、まだ教えるまでもないな。自身の目で確かめるといい」
「案外意地悪ですね、ジルさんって。前からやらしい性格してると思いましたが…」
「………お前、リィンに何かされたか?そんなこと言うキャラだったっけ……」
三国戦争の後、ジルとダズは久しぶりにこの闘技場で会う約束をした。
どうやらジルの所属するプロンテラ騎士団に、彗星のごとく現れた期待の新人がいるのだという。
ジルはその戦い方をダズにも見てもらい、アドバイスをもらうことで今後の育成にも活かしたいと考えたのだ。
「まあ…流石に私達並の強さとはいかないんでしょうけどねえ。そこらへんどういう位置付けなんですか?」
頬に手をつけ、けだるそうに目を細めて口を開くダズ。
「別人じゃないのかこれ……とにかく、これは戦争後、1年ぐらいが経過した話とするらしい」
「やけに説明的ですね……出番がなくなるかもって焦ってません?」
「ホント誰だよお前。新キャラ使ったほうがよかったんじゃないかこの枠。……まあ、そろそろ選手紹介が終わるぞ」
「あ、本当だ。これ以上登場キャラの説明を書くのが面倒臭くなった作者の気持ちが伺えるぞぉ」
「……………」
実況の神咲が選手紹介を終え、場には数十人の戦士達で溢れていた。
『さあ!ではトーナメント表の発表だぁッ!』
ドンッ!
中央に設置された巨大モニターに、トーナメント表が映し出された。
ファルシオン vs 東雲 春
ケビン=コスギ vs マサオ
「う、うちの相手は……アイツかっ…!」
春はファルシオンを凝視した。
「……………」
対するファルシオンはトーナメント表すら見ていない。
それが余裕なのか否なのか、他者から伺うことはできない。
「おぉーお前がワシの対戦相手か!よろしく頼むよマサオ氏!」
「あぁ、こちらこそよろしく。ケビン」
打って変わって、こちらの二人は友好的な握手を交わしていた。
『では…コンロン地下闘技場トーナメントの始まりだああぁぁッ!!』
神咲は再びマイクを持つ手に力を込め、強く叫んだ。
それに呼応するように観客は更に熱気を高めていった。
「あぁん?俺はどこにいんだよ!」
ただ一人、アニキだけが未だに対戦相手を確認できずにいた。
酒がまわっているせいなのかどうか。
だが、予選を突破した以上、彼も相当な実力者であることに間違いはないのだろう。
恐らく気付く者は気付いているのかもしれない。
その強さの秘密が、手にした瓢箪の中にあることを。
表向きにはモンスターを疑似的に召喚する装置を使った、冒険者達の腕試しの場として使われている。
しかし、あくまでそれは表の顔。
裏と呼ばれる場所は、その地下に存在していた。
コンロン地下闘技場。
そこは権力者達の娯楽の場として設けられた、"人と人"を戦わせる影の舞台である。
優勝者には、裏世界に通じる名誉と、莫大な賞金が与えられる。
また、出場者の順位を予想する、言わば賭けの場としても利用されており、多くのならず者達が一獲千金を求め集まっていた。
闘技のルールは簡単。
相手を殺す以外なら何をしてもよく、先に"参った"と言わせるか、審判によるストップがかかるまで戦い続けるのだ。
今宵もその名誉と賞金を求め、挑戦者達がこの場に集結していた。
コンロン地下闘技場編の開幕である!
『さあ!今年もやってまいりました!コンロン地下闘技大会!!優勝を掴み、名誉と賞金を手に入れるのは一体誰なのかァッ!?』
ワアアアアアアアアアアァァッ!!
マイクを持つ男が、観客席から一段上に設置された実況席より叫ぶ。
集まった者達は今か今かと始まるのを心待ちにしており、場は燃えるような熱気に包まれている。
『今回予選を勝ち抜いた選手紹介の前に、実況は私"神咲北斗"と、解説には"動かない石像"ことアヘンさんに来ていただいております!』
実況の神咲と名乗る人物は、横に座る男へ目を向けた。
『アヘンさん、よろしくお願いします』
『よろしくお願いします』
『どうですか?今回の選手達は?』
『いやぁ、今回もかなりの強者揃いですね。誰が勝つのか、今はまだ全く予想がつきません。私も早く試合が見たくてウズウズしてますよ!』
『そうですか、ありがとうございます。では、今回の開催は"竹屋商会"の提供でお送りします。カメラさーん!』
紹介を終え、カメラは観客席の後ろに設置された大きな看板へと向けられた。
「みんなああぁ!竹屋商会をよろしくなぁー!」
そこには"世界の竹屋商会"という文字の真ん中に立つ男が映されており、大きく両手を振る姿が確認できた。
そう、彼こそが竹屋商会のトップに立つ男、"竹社長"本人であった。
神咲は再びマイクを握り、大きく口を開いた。
『では、皆さんお待ちかねの選手にご登場いただきましょう!!』
オオオオオオオォォッ!!
観客は更にヒートアップする。
すると観客席の下にある、闘技場の真ん中へと繋がる扉が開き、選手達が入場を始めた。
『まず一番手!今回の大本命です!数々の依頼をこなし、裏世界にその名を轟かせる男!"便利屋"ファルシオオォォンッ!!』
「ファールシオンッ!ファールシオンッ!」
観客からのコールを浴びて登場したのは、"便利屋"として名高い"ファルシオン"だった。
大柄の男だが、軽装で、武器らしきものは装備していない。
男は無表情のまま前へと歩み出た。
『次は大会初の魔法職として予選を突破しました!どんな戦い方を見せるのか!?ゲフェンタワーの美しき女教師!東雲春ウウゥゥッ!!』
「頑張る…頑張ったるで…!うちには子供達が待ってるんや…!」
訛りのある言葉で、一人呟きながら前に出た女。
彼女はウォーロック、名を"東雲春(しののめ はる)"。
緊張のためか、足取りは覚束ない。
『そして、自称"竹屋商会社長の兄貴分"!名を伏せての登場だ!実はとてつもない大物か!?流浪の騎士!アァァニキイィィッ!!』
「兄貴ー!頑張ってくれぇー!!」
先程登場した竹社長が、出て来た男にエールを送る。
どうやら自称ではなく、事実なのかもしれない。
「ウィー、何だ何だぁ?歓声がちっちぇぞ?」
男は身なりこそ騎士だが、手には酒が入っていると思われる瓢箪(ひょうたん)を持ち、既に酔っ払っているため、風格に似つかわしくない。
『今回の女性参加者がもう一人!得意技は爆気散弾と言っているが、予選の相手は全て羅刹破凰撃で倒している!凄腕の女修羅!マァァサオオォッ!!』
ヒュンッ!
突如、モンクのスキル"残影"を使い、闘技場に踊り出る。観客はそのパフォーマンスに沸いた。
「これだけ目立ちゃ十分かな…」
女の名は"マサオ"。
男のような名前だが、れっきとした女性である。
金髪の短い髪と、周囲に燈した気弾が非常に目立っている。
『またまた女性参加者!予選で見せたトリッキーな動きから繰り出される技は全く予想がつかない!声までおかしいし!彼女は本当に人間なのかぁ!?あだ名は"コロスケ"!ケビン=コスギイイィッ!!』
「おおぉ…すごい人だ。ワシ燃えてきたぞ!」
場に似つかわしくないほど陽気な、というより騎士の格好を除けば普通の女の子にしか見えない。
しかし、まるで機械音声のように発せられる特徴的なまでに甲高い声が響いている。
もちろん本人の口から、普通に。
「あ、ジルさん、いたいた」
観客席の後ろのほうの列で、ダズはジルの姿を見つけた。
特徴的な真紅の長髪のおかげで、見つけるのにはそうそう時間はかからなかった。
「久しぶりだな、ダズ。だが遅いぞ」
「はは…すいません」
しかし、いかんせん会場が広すぎるため、迷ってしまったようだ。
ダズはジルの横に座り、選手紹介の続く舞台を見た。
「……この中にいるんですね…?」
「あぁ、いる。だが、まだ教えるまでもないな。自身の目で確かめるといい」
「案外意地悪ですね、ジルさんって。前からやらしい性格してると思いましたが…」
「………お前、リィンに何かされたか?そんなこと言うキャラだったっけ……」
三国戦争の後、ジルとダズは久しぶりにこの闘技場で会う約束をした。
どうやらジルの所属するプロンテラ騎士団に、彗星のごとく現れた期待の新人がいるのだという。
ジルはその戦い方をダズにも見てもらい、アドバイスをもらうことで今後の育成にも活かしたいと考えたのだ。
「まあ…流石に私達並の強さとはいかないんでしょうけどねえ。そこらへんどういう位置付けなんですか?」
頬に手をつけ、けだるそうに目を細めて口を開くダズ。
「別人じゃないのかこれ……とにかく、これは戦争後、1年ぐらいが経過した話とするらしい」
「やけに説明的ですね……出番がなくなるかもって焦ってません?」
「ホント誰だよお前。新キャラ使ったほうがよかったんじゃないかこの枠。……まあ、そろそろ選手紹介が終わるぞ」
「あ、本当だ。これ以上登場キャラの説明を書くのが面倒臭くなった作者の気持ちが伺えるぞぉ」
「……………」
実況の神咲が選手紹介を終え、場には数十人の戦士達で溢れていた。
『さあ!ではトーナメント表の発表だぁッ!』
ドンッ!
中央に設置された巨大モニターに、トーナメント表が映し出された。
ファルシオン vs 東雲 春
ケビン=コスギ vs マサオ
「う、うちの相手は……アイツかっ…!」
春はファルシオンを凝視した。
「……………」
対するファルシオンはトーナメント表すら見ていない。
それが余裕なのか否なのか、他者から伺うことはできない。
「おぉーお前がワシの対戦相手か!よろしく頼むよマサオ氏!」
「あぁ、こちらこそよろしく。ケビン」
打って変わって、こちらの二人は友好的な握手を交わしていた。
『では…コンロン地下闘技場トーナメントの始まりだああぁぁッ!!』
神咲は再びマイクを持つ手に力を込め、強く叫んだ。
それに呼応するように観客は更に熱気を高めていった。
「あぁん?俺はどこにいんだよ!」
ただ一人、アニキだけが未だに対戦相手を確認できずにいた。
酒がまわっているせいなのかどうか。
だが、予選を突破した以上、彼も相当な実力者であることに間違いはないのだろう。
恐らく気付く者は気付いているのかもしれない。
その強さの秘密が、手にした瓢箪の中にあることを。
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でも楽しみやな~。
結局タイガースにならんかったんかw
続きに期待!