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コンロン地下闘技場編5

ケビンvsマサオの始まり始まり。


続きは小説です。




『一回戦から凄まじい試合を繰り広げる今大会!次は二回戦!"凄腕の女修羅(自称)"マサオvs"あだ名はコロスケ"ケビン=コスギだーッ!!』


オオオオオオォォッ!!


一回戦が終わり、観客は更にヒートアップし始めた。


『どうですかアヘンさん!この二人の試合も見物だと思いますが!』


『そうですね。マサオ選手は言わずもがな、強力な必殺技をどう決めていくかでしょう。しかし、ケビン選手はどうやらその体に"秘密"があるようです』


『"秘密"、ですか?声のことじゃなくて?』


『はい。声も確かに特徴的ですが、予選で見せたトリッキーな動きのほうです』


アヘンの語るケビンの秘密。

それは戦いの中で明かされていくことだろう。


『アヘンさん、ありがとうございます。ケビン選手の秘密というのも気になりますが、どうやら二人の準備が整ったようです!』


神咲は闘技場の真ん中に立つ二人を見、更に開始の合図を鳴らすドラの前にも係員が待機したことを確認した。




「マサオ氏!ワシ負けないからなぁ!」


ケビンは手にした剣を振り回し、対峙するマサオに語りかけた。


「フッ……相手がお前みたいな奴でよかったよ。でも、私だって負けないさ」


「おぉ!どっちが勝っても恨みっこ無しだぁ!」


二人はあくまでも陽気に、純粋に戦いを楽しむ気持ちで挑んでいるのだろう。

それだけに、対戦には期待が持てると言っても良い。




『それでは二回戦……始めええぇッ!!』


ジャアアァンッ!


合図となるドラが叩かれ、戦いが開始される。



バッ!


先に動き出したのはマサオのほうだった。


「一撃でダウンなんてのは…やめてくれよな!!」


ブオッ!


一瞬にして距離を縮めたマサオは、掌を前に突き出し、ケビンの顔面下部を狙った。


近接戦闘を得意とする修羅の常套手段と言えよう。


だが、


ヒュンッ!


「なっ…!」


彼女の拳は虚しくも空振りに終わる。

それだけではない。
ケビンはマサオの視界から居なくなるように姿を消した。


「こっちだよぉ!」


バッ!


「うおっ!?」


声がしたのは、マサオのほぼ足元に近い場所からである。

そこから、サッカーで例えるならまるでオーバーヘッドキックでもするように、蹴り上げる足がマサオの顔面へと迫った。


ダンッ!


マサオは直ぐさま後方へ跳び、その蹴りを避ける。


「おいおい…体柔らかいんだなぁ。ビックリしたぞ」


ケビンはその一撃目を、上半身を後ろにそり、頭を地につけるほどまで下げ、ブリッジをするような体勢からバック転をし、カウンターの蹴りを狙ったのだ。


最初から顔面を狙っていたマサオの視界から消えたように見えたのはそのためである。


「ワハハ、柔らかさには自信があるぞぉ」


「面白いな…ならこれはどうだ!」


バッ!


マサオは再び地を蹴り、次は足元を狙い、低い体勢からの足払いを繰り出した。


「ほっ!」


ケビンはそれを宙に跳ぶことで回避した。

それを見、マサオは不敵に笑う。


「空中なら…その柔らかさは活かせないよなぁ!!」


ズオォッ!


宙にいる相手に、マサオは中腰から正拳を放つ。


「ひぃっ!」


ガキィンッ!


ケビンは叫び、剣を横に構えて拳を防御する。
鋼で出来た剣が、まるで金属をぶつけ合うかのように、マサオの拳と衝突する。


「オオオラアアァッ!!」


ドゴォッ!


マサオは気合いと共に拳を振り抜き、ケビンの体を吹き飛ばした。


その凄まじい勢いは、先程のファルシオンと春の戦いの中で見られたノックバックに、勝るとも劣らない。


しかし、



クルンッ!


ケビンは違った。

空中で吹き飛びながらも体を回転させ、更に、



「スパイラル…!」


ダンッ!


吹き飛ぶ先にある壁に両足で"着地"し、重力に逆らい、まるでバネのように跳ね返ってきたのだ。


「は、はぁっ!?」


「ピアアアァーースッ!!」


マサオはまるで有り得ないものでも見たかのような声をあげる。

目の前には、螺旋のように武器を回転させながら、空中を疾走するケビンの姿があった。



「クッソォッ!」


マサオは自分の攻撃を先に行ったが故、それを避けるだけの余力を残さなかった。


つまり、受け止めるしかない。


「オオオオォォッ!!」


ズガガガガガガガガッ!!


寸前の所でその剣先を見切り、マサオは"白刃取り"で攻撃を受け止めた。

しかし、その突進の勢いを殺すことは出来ず、ケビンと共に後方の壁へと押し込まれていく。



「いぃ……これ止めるとかやるなぁ、マサオ氏」


マサオが壁に激突する寸前でその勢いは止まり、ケビンは地に足を着いた。


「……へへ…これぐらい、何とでもなるぜぇっ!!」


メキメキッ…!バキィンッ!


マサオは強靭な力でケビンの剣を挟み込み、そのままへし折った。


「そ、そんなぁ…!」


バッ!


ケビンは直ぐさま剣を手放し、後方に跳んだ。




『す、凄まじい攻防です!見る者を圧倒させる戦いだぁ!!』


『素晴らしいですねえ。しかし、ケビン選手武器を失って若干不利な状況に……ん…?』


アヘンは言葉の途中で、ケビンが腰から何かを引き抜くのを視認した。

武器に見えなくもない。
しかし、武器としては余りにも短く、剣で例えるなら"柄"の部分しかないような物である。





観客席にいたダズは、目を丸くした。


「ま、まさかあれは…!?」


珍しい物でも見るかというように、ケビンの手にしたものを凝視する。


「あぁ…これからだぞ。アイツの本気は」


ジルはそれを見、確信する。


「え?じゃあジルさんの言ってた期待の新人って…!」


「……間違いない。"ケビン=コスギ"。奴のことだ」









マサオは訝しげな顔をし、その短い棒のような物を見た。


「おいおいケビン。そんなのどうやって使うって言うんだ?」


「ふっふっふっ……」



ゴオオオォッ!!



「う、うおっ!?」


ケビンが笑ったその瞬間、棒の先から凄まじい勢いの炎が飛び出した。

その炎はやがて"剣の刃"のように形勢され、圧縮されていく。


「マサオ氏……こっからだぜえ、ワシの本気は」


「……フッ、おもしろいじゃないか…!」


マサオは汗をかいていた。

それは畏れからか、はたまたただの炎の熱によるものか。







「やっぱり……"紅炎のツインエッジ"か」


ダズの予想が的中した。

元は一本の剣であったが、闇夜の覇王"ナハトズィーガー"の力により二分されたという、"蒼炎"と"紅炎"の片割れである。


「……さっき、解説も言っていたな。ケビンの体には秘密がある、と」


ジルは目を細め、闘技場にいるケビンを見詰める。


「体が単純に柔らかいだけじゃない。あいつは例えるなら……"龍"だ」


「…"龍"、ですか……」


伝説の生物とされる龍。

倭の国に伝わる龍は、細く長い体をくねるように動かしながら、天を上昇していったという。



「ケビンには二つ名がある。まさに龍を象徴するかのようなものが、な……」


ジルは少しの間言葉をため、ゆっくりと口を開いた。





「"昇龍豪炎/ブレイズドラゴラム"。龍は炎を操り、天へと昇る。それがケビンに与えられた天性の才能だ」



その言葉にダズは息を飲んだ。


彼女だけではない。
この会場全ての人が、これから起こるであろう激闘へと、期待と緊張の眼差しを向けていることだろう。




ただ一人、笑っている者がいたとすれば、


「……フッ……ハッハッハッ……本当に面白いな…!なら……私も久々に本気といこうか!」


対峙する女修羅、マサオに他ならないだろう。
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