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コンロン地下闘技場編6

マサオさんの二つ名がちょっと適当に。
まあいいか!


続きは小説です。



マサオは考えた。

炎を纏うケビンの剣に触れることは、恐らく自殺行為であろうと。


ならば、得意とする近接攻撃は行えない。
普通の修羅ならば、それは詰みと言える状況である。



ドンッ!


マサオは前足を一本大きく前に出し、構えを取った。


「近付けないなら…この技で決める!!」


「っ!?」


ケビンはマサオの拳が光に包まれたことに畏怖の念を感じ、武器を構えた。



「羅刹破凰撃ッ!!」


ドドドドドドッ!!


次の瞬間、マサオの突き出した拳から、大量の波動が飛び出した。


それは予選でマサオが見せた、強力な"遠距離攻撃"である。



ズガガガガガガンッ!!


羅刹破凰撃は全弾命中し、ケビンは後方へ吹き飛ぶ。



「なっ…!?」


はずだった。


しかし、彼女はそれを受けても尚、数歩程度しか後退していない。


「へへっ…!結構効いたぞぉ」


確かに打撃音は聞き取れた。

しかし、"手応えがない"。



『ど、どういうことでしょう…!マサオ選手の必殺の一撃を受けながらも、ケビン選手はさほどダメージを負っていないように見えます!』


『……恐らく、それもあの柔軟性の高い体で防いだのでしょう。それにしても驚きです。神咲さんはあの連打、何発に見えましたか?』


『そうですね……私の目が確かなら、7、8発の攻撃だと思いますが』


『その通りです。ケビン選手はそれを"全ていなした"ということになります』


神咲も実況を務める立場上、かなりの実力者ではあるが、アヘンの言う通り、ケビンはその連打を全て防いだということが伺えた。

一瞬の間の出来事であるため、真意は二人にしかわからないだろう。



「なるほど……衝撃を全部"受け流し"やがったな…?」


そう、マサオはその手応えから理解できた。


ケビンは拳の当たる直前に、体を引くことで衝撃を和らげ、ダメージを最小限に抑えたのである。

それも、放たれた連打を全て。



「今度はこっちの番だぞ!」


ダンッ!


ケビンはその言葉と同時に地を蹴り、後方へと跳んだ。

そして壁に足を付け、体のバネを活かし、マサオに向けて再び滑空する。


マサオは一度その技を見ている。
しかし、ケビンがあの剣を持つ以上、同じように白刃取りで防げるような代物ではないだろう。


「くっ!」


マサオは避ける事を選択した。


だが、ケビンもそれは予想の範疇だろう。


ダンッ!


ケビンは空中で体の向きを変え、反対側の壁を蹴り、再びマサオに向けて突進する。


「クソッ!連続だと!?」


それを避け、体勢を立て直しても尚、ケビンの攻撃は止まない。


ダンッ!ダンッ!ダンッ!


立て続けに壁という壁を蹴り、四方八方からの攻撃を仕掛ける。

これがケビンが"龍"と呼称される由縁なのだろう。
まさに宙を舞うドラゴンのように、突撃の嵐がマサオの体を襲う。


ザシュッ!


「うっ…!」


しかも、厄介なことに、ケビンは壁を蹴る度に"加速"しているのだ。






「あんな動き、私でも出来ませんよ……」


ダズは半ば呆れながら、その様子を見る。


「だろうな。あんな芸当を真似できる者なんぞ、そうそういないだろう。だが……」


「……そうですね」


ジルは言葉を切り、ダズはすぐにその意味を理解し、言葉を返した。



「あれでは、"スキだらけ"だ」







突進はまるで壁にぶつけられたスーパーボールのように、目で追える速さを越えつつある。



「くっそがあああぁッ!!」


ヒュイイィンッ!


マサオは怒声をあげ、己の周囲に気弾を召喚した。

その数、10以上。



「見えなくたってなぁ……当てる術ぐらいあんだよぉッ!!」


喋る間も、ケビンの攻撃は次々にマサオの体を傷付けていく。

それを致命傷とならない程度に避けつつ、攻撃へと移る。



「爆気散弾ッ!!」


ドガガガガガアァンッ!!


気弾一つ一つが、仕掛けられた爆弾のように破裂し、闘技場全体を巻き込むような爆発が轟いた。



『で、出たぁー!マサオ選手の得意技"爆気散弾"!!あのスピードではケビン選手は爆発に巻き込まれてしまったかぁッ!?』


神咲の声が響く中、闘技場は爆発による土煙に包まれていた。



「ハァッ!ハァッ…!」


マサオは肩で息をし、気配のするほうへと向き直った。


ザッ!


「ケホッ……くぅ!範囲攻撃があるなんて知らなかったぞぉ…!」


土煙の中から、全身に焦げあとを残すケビンが姿を現した。

あのスピードでは逃げ場など無かったのだろう。


「生憎だなぁ…!そこらの修羅と一緒にしてもらっちゃ困る!」


マサオは不敵な笑みを浮かべ、ケビンを睨み付けた。







「へえ、やっぱり気付きましたか」


ダズは頬杖をつきながらも、関心するような視線を向けた。


「ジルさんなら、間違いなく"イグニッションブレイク"で焼き払いますよね」


同意を求めるように、横にいるジルへと問い掛ける。


「……そうだろうな。あれはスピードと攻撃を兼ね備えているが、防御に関しての力を捨てた、言わば"もろ刃の剣"。少し考えれば気付くことなんだが……」


ジルは小さくため息をつき、目を細めた。


「あれが自分のスタイルだと言って聞かないからな、アイツは……だからこそお前に意見を求めようと思ったのだが…」


「いや、この戦闘中には気付かないでしょうねえ。それに……」


ダズは闘技場にいる二人を交互に見、再び口を開いた。



「相手のほうが、何か仕掛けるみたいですよ」


「何…?」









ケビンは目の前の状況に、目を見開いた。


「マ、マサオ氏…?」


驚くのも無理はない。

その"構え"は、およそ人間が取るものとは大きく掛け離れていたのだから。



『…ど、どういうことでしょう?マサオ選手、あれはまるで獲物を見つけた"獣の構え"ではないでしょうか!?』


『……龍と対峙する…?まさか……』


『え?アヘンさん何か知っているんですか?』


アヘンはマサオの構えから何かを感じ取り、それを凝視した。



「おい、ケビン。私にも二つ名ってやつがあるんだよ」


「へぇ…!ワシのよりはかっこよくないよな!」


あくまでも陽気に、マサオの言葉に返すケビン。


「お前が龍なら……」



マサオは"両手と両足を地に付け"、四つん這いの体勢を取っていた。



「私は……"虎"だ」


「……っ!」



海を隔てた遠い国に伝わる伝説に、4つの神を象徴するものがある。


朱雀、白虎、玄武、青龍。


マサオは、ケビンを青龍として例えたのだろう。


それと相対する関係を持つ神。



「"流星白虎/スターダストリベリオン"。虎は……"龍を狩る"。この戦いにお誂え向きだと思わないか?」


マサオは笑った。
この上ない程、不敵に。


「……おもしろい…本当に楽しいぞマサオ氏…!


ブルッ!


ケビンはそれに答え、体から沸き上がる武者震いを隠せずにいた。



ダンッ!


そして龍に向け、"虎"は地を蹴り、襲い掛かった。
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