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コンロン地下闘技場編9

今回はアニキvsつかささん。
もうちょっとだけ続くんじゃよ。



続きは小説です。


『長らくお待たせ致しました!二回戦を開始します!!』


神咲の実況に、会場は観客の声に埋め尽くされる。


『どうでしょうアヘンさん。この二人は今までの試合でとても特徴的な戦い方をしていたように見てとれますが』


『そうですね。神咲さんの言うとおり、アニキ選手は今まで相手を全て一撃で倒しており、ツカサ選手は全ての攻撃を受け続けて勝利しています』


『一般的に考えれば、先に力尽きるのはツカサ選手のように思われますが……そんな常識で測れる耐久力ではないということですね?』


『はい。極端な位置にいる二人ですが、勝利を得るためには攻撃が強ければいいのか?はたまた防御が硬ければいいのか?白黒ハッキリとつけられそうな良い試合になりそうですね』


『なるほど、アヘンさんありがとうございます。では、試合の準備が整ったようですので、開始のドラを叩いてもらいましょう!』


二人の解説が終わり、会場内の全ての者が、闘技場の真ん中に立つ選手に期待の眼差しを向けた。



片方は大柄で、身に付けた防具から、その男がロードナイトの上位職ルーンナイトであることが伺える。
手には異種族の力を借りて作られた対人最強武器と言われる"グロリアススピア"が握られていた。


「お前が俺の対戦相手かぁ?ひょろい体してっけど大丈夫かよぉ?」


その男、名をアニキは、なんと既に酒気をおびている。
戦いの前に酒を飲むことが彼の習慣となっているようだ。


「ああ、心配無用だ。全力で打ち込んでくれ」


対する男の名はツカサ。
彼はアニキと比べてしまうと小さめに見えてしまうが、引き締まった細目の体つきをしている。

身に付けた防具から、彼がパラディンの上位職ロイヤルガードであることが伺える。


しかし、驚くことに、彼は武器の類を一切持ち合わせていない。


「武器も持たねえで舐めてんのかぁ?でも手加減はしねえぜえ」


「もちろんだ。いい勝負にしよう」


二人が構えを取り、万全の体勢が整ったのを、実況席も確認したようだ。


神咲は大きく息を吸い込む。




『二回戦第一試合……始めえええええええッ!!』


ジャアアアァァンッ!!


その言葉と共に、試合開始の合図のドラが大きな音をあげた。


ザッ!


先に動いたのは、やはりアニキのほうである。


「今回も一撃で終わってくれんなよぉ!」


手には腰に下げていた瓢箪が握られている。

まさかそこには酒が詰められているのか。
誰もがそう思った瞬間、


バキィンッ!


アニキは瓢箪を地面に投げ付け、中身を飛び散らせた。

そこから出てきたものは、


「いくぜいくぜえ…!」


小さな白い石。そこにはルーン文字が彫られている。

それはルーンナイトが得意とし、彼等により製造されたルーンストーン。


刻まれている文字は、"ぺオース"。


バキィ!


アニキがその一つを拳で握り潰した瞬間、大気がうねりをあげ、波動がグロリアススピアへと集中する。

吹き荒れる風が会場全体を包み込み、アニキを中心として台風が起こるかのように見えた。



ザワッ!


並の修練を積んでいるものなら、それがいかに強力な一撃であるかは理解できるだろう。

観客席にいるダズやジルは勿論のことである。


「ま、まじですか…アレ……」


「まさかこれほどとは、な……下手をすると」


ダズは冷や汗を流し、ジルは真剣な面持ちで言葉を続けた。



「この会場自体を、吹き飛ばしかねん……」







ゴオオオオォォッ!


その凄まじさを前にして尚、ツカサは一歩も動かない。


「……すごいな。世界にはまだこんな使い手がいるのか。だけど…」


ザッ!


ツカサはそこで初めて腕を前にし、防御の体勢をとった。


「ここで倒れるわけには、いかない」


真っ向からそれを受けるつもりである。

常人ならば足がすくんで動けなくなるほどの畏怖を前に、揺るがず、真っ直ぐに。


『す、凄まじい闘気です!これをまともに受けられる人間がいるのかぁ!?』


『正直私なら願い下げですね。一目散に逃げ出すか、発動前に潰すしかない。しかし……それすら受け止める気ですね。ツカサ選手は…』


神咲やアヘンも、当然のことながらそれを感じ取っていた。


やがて全ての力がアニキの槍に集中し、まさにそれを振り下ろさんとしている。


「根性あるじゃねえか兄ちゃん…!望み通りいってやるぜえ!」


グオオォッ!


やがて、ぺオースルーンストーンの力を込めた"ストームブラスト"が、彼の手から放たれる。



「オオオオオラアアアアアァァッッ!!」


ドッゴオオオオオオォォォンッッ!!


一瞬の風が会場を通り過ぎ、遅れるように爆発が起きる。

それは真っ直ぐにツカサに向かい襲いかかる。


だが、地を揺らし、はたまた大気まで震え上がらせる衝撃と爆発の前に、ツカサの後方から試合を見ていた観客達はまるで蜘蛛の子を散らすように逃げ惑った。



スウウッ…


ツカサは大きく息を吸い込み、両腕を前で交差させる。



ズドオオオオオォォンッ!!


轟音と共に地がえぐられ、衝撃はツカサを飲み込み、後方の観客席をも吹き飛ばす。


『か、観客席が吹き飛ばされています!皆さん避難してくださあああい!!』


『信じ難い威力ですね……これは死人が出るんじゃないでしょうか?』


慌てる神咲と、まるで他人事のように落ち着くアヘン。


だが、止められるものは誰もいない。
本人だけがコントロールできる唯一の力である。




やがて衝撃と地の揺れが収まり、白に包まれた闘技場の煙が徐々に晴れて行く。

神咲は再びマイクを持ち直し、目の前の情景を疑った。


『これは……どういうことでしょう……』


『流石にここまでの威力だとは思いませんでしたね……』


誰もが思ったであろう。

人間一人の力がいくら強いとはいえ、それはにわかには信じ難い光景である。



「……ふ、吹き飛んでる……」


「規格外だな……」


それは、彼等とは対照の位置にいたダズやジルが声に出すほど豪快に、明らかなほど簡単に見てとれるほどに。


アニキを中心とした地面の陥没。
それを受けたツカサの後方の観客席は、無残にも吹き飛ばされ、砂利が敷き詰められたただの斜面へと、変わり果てた姿を晒していたのだ。


「対戦相手は…!?」


ダズは闘技場の真ん中をみた。

ツカサの立っていた地は、未だうっすらと煙が残っている。


吹き飛び、観客席に叩きつけられていると考えるのが当然だろう。
しかし、観客席だった斜面に、気絶する彼の姿はどこにもない。

その圧倒的な力の前では、特化された防御力も無意味なものなのだろうか。





「おぉ…?マジかよぉ」


最も早く、それに気付いたのは、攻撃を放ったアニキ本人である。


ザッ!


見まごうはずもない。

何故なら彼は、



「流石だ。今のはかなり効いた」


体や鎧にいくつかの傷を残しながらも、変わらず地に足をつき、立っていたのだから。



ワアアアアアアアアアアァァッッ!!


観客が歓声をあげる。


『す、素晴らしい!ツカサ選手!アニキ選手の凄まじい攻撃を受けながらも、しっかりと立っています!!』


『恐ろしい程の耐久力ですね…。やはり自慢の防御力は伊達じゃないというところでしょう』


神咲もアヘンも、その光景に目を疑うほどに驚き、称賛する。



「へっへっ…初めてだぜえ。これを受けて立ってたやつはよぉ」


アニキは心の底から嬉しそうに笑った。

そして再びルーンストーンを手に、次の攻撃を放たんとする。


「俺は"酒豪乱舞/ドリンカーズ=デストロイヤー"のアニキだぁ!楽しくなってきたぜえ!!」


それを聞き、ツカサも笑った。
純粋に戦いを楽しむ笑みを浮かべ、静かに。


「俺の名はツカサ。"神意の天帝/プロヴィデンスツインズ"のツカサ=SBKだ。さあ、続きといこうか」


役者は揃った。

最強を決める、純粋な力と護りのぶつかり合いが、決着を迎えようとしている。
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