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コンロン地下闘技場編14

そろそろこの戦いに決着か!


続きは小説です。



「"主神の槍を持て  天空より落ちるは雷の刃!"  ヴェラチュールスピアーッ!!」


ズオォッ!


涼は通常のスペルフィストと同様に、風属性を纏った拳を、縦に振り下ろした。

勿論、相手に直接パンチをお見舞いするために拳を振りかぶったのではない。


バチィッ!


対峙するファルシオンの上空に稲妻が走り、魔法力で形作られた槍が降り注ぐ。


「くっ!」


ズドオオォンッ!


轟音と共に、槍は地を貫き、周囲に電撃を走らせた。

咄嗟に横に跳び、距離を取ってはみたものの、微弱な電流が体に走り痺れを感じる。


見る者には、まるで涼がシャドーボクシングでもしているかのようにしか見えない。

だが、ファルシオンは前後左右どちらから来るか判らない攻撃に困惑していた。


「すぐには動けませんわ!大人しく地に這い蹲りなさい!」


電流により動きが遅れたファルシオンに、涼は接近し、魔法力を纏った拳を振り下ろした。


ドゴォッ!


すかさず後ろに跳び、なんとかそれを回避する。



「…甘いですわ!」


ボゴォッ!


次の瞬間地面が割れ、その中から渦巻くような念力の流れが発生する。


ズオオオオォォッ!


「ぐあっ…!」


ソーサラーの得意とする魔法"サイキックウェーブ"が巻き起こり、ファルシオンの体を吹き飛ばす。


ダダァンッ!


彼は後方に吹き飛び、地に転がった。
魔法力だけでなく、物理的なダメージが徐々に蓄積されていく。


(…マズい、な……これは、四の五の言っている暇はない…!)


自分の状態を冷静に分析し、ファルシオンはゆっくりと立ち上がった。


しかし、



「立ち上がったことは褒めて差し上げますわ。ですが……」


スッ


涼は掌を前に、再びスペルフィストを放たんとしていた。

ファルシオンは動かない。
いや、動けないのだろう。

多くの魔法攻撃の前に、彼の体は最早限界に近かった。



「これで終わりですわ!!」


ババババババッ!


空中、ファルシオンの周囲に突如出現したのは、地属性の魔法力が込められた岩盤の槍、"アースグレイヴ"だった。

元々地表から発生するその魔法は、涼の能力によって宙に転移していた。




「さようなら、便利屋」


「…っ!」


グッ!


涼の掌が、勢いよく閉じられた。

それを合図に、周囲に浮かんだ岩盤は鋭利な先端を前に、ファルシオンに向かって総攻撃を開始した。



ドドドドドドドッ!!


土煙りをあげ、アースグレイヴは容赦なくファルシオンを襲い続ける。



『す、凄まじい攻撃の連続だぁ!ファルシオン選手もこれは防ぎ切れないかぁ!?』


『あの全方位魔法、避け切る術がありませんからね……さすがの便利屋もこれではひとたまりもないでしょう』


実況席からも、ファルシオンの様子は見れない。


パチンッ!


涼が指を鳴らした瞬間、攻撃の雨がピタリと止み、徐々に煙が晴れていった。


誰もがそこに倒れるファルシオンの姿を想像していたはずである。




対峙する涼が、一番始めにその変化を捉えた。



「……な……何ですって…?」


パアアァッ


煙が晴れた先、便利屋が存在する場所は、"淡い光に包まれていた"。


「……あなた…"転生職のスキル"まで使えますの…!?」


ザッ!


対峙する男は立ち上がった。

白く輝く光が彼を包み込み、アースグレイヴの魔法ダメージを軽減している。


男は紛れもない、便利屋ファルシオンである。

彼が放った魔法は、ハイプリーストが取得可能である"転生スキル・アスムプティオ"だった。




「"限定解除/リミットブレイク"……」


ゴオッ!


ファルシオンの周囲に風が吹き、闘技場を包み込む。

息を整え、彼は口を開いた。



「……この限定解除を発動した場合に限り、転生職のスキルを扱うことが出来る時間は……5分だ」


5分。
それは一瞬でありながら、一対一の戦闘において充分な時間でもあると言えよう。


「この5分の間に、終わらせる。それが出来なければ…貴様の勝ちだ」


「………たった5分程度強くなれるぐらいで……調子に乗るんじゃありませんわっ!!」



涼は即座に詠唱を始め、次なるスペルフィストを放たんとする。


ギリッ!


対するファルシオンは、オーラで作られた弓を引き、同様に矢を放つ。


ゴォッ!


相手が矢を放ったのを見、それを撃ち落とさんと魔法を放った。


ドドドドドドッ!


ダイヤモンドダストの輝きが、一直線に相手へと襲い掛かる。


だが、


ズオッ!!


「なっ…!?」


ダイヤモンドダストは、その矢と相殺するように蒸発し、消え去る。

その軌道は、直線上のものを全て薙ぎ払うスキルと酷似していた。


「…ただのダブルストレイフィングじゃない…!?」



「……"シャープシューティング"」



ファルシオンは答え、次に手にしたのは、槍型の武器。

それを腕を捻るように構え、突進する。


ドドドドドドドッ!


その地表に螺旋状の形跡を残し、ファルシオンは"スパイラルピアース"を放った。


「くっ!バ、バキュームエクストリームッ!!」


近付ける訳にはいかない。
迫り来るプレッシャーからそう思った涼は、進行方向を塞ぐように竜巻の檻を展開した。



「ヌウウウゥゥンッ!!」


ズバアァッ!


ファルシオンは手にした槍型の光を竜巻にぶつけた。

二つの螺旋が交錯し、消滅していく。


「打ち消されるなんて……ハッ!?」



竜巻が晴れた先、そこには新たに呪文を詠唱する便利屋の姿があった。


「"車輪の鳴り響く音がする
軋む大地が汝を縛り付ける
"……」


ズズズズズッ!


同時に大気が震え、周囲を意も知れぬ感覚に包み込む。

その範囲は既に涼の足元へと迫っていた。


「"地殻より呼ぶ声が縛鎖となり
有形無形、全てが自重に拠りて瓦解する"  グラビテーションフィールドッ!!」


ダァンッ!


「アッ…!グッ…」


魔法が解き放たれた瞬間、涼の体は重力に引き込まれるように地に叩きつけられた。


ズズズズズッ!


それは振動音を響かせるように、周囲の磁場を操り、相手に強力な重力を浴びせる攻撃である。


「オオオオオッ…!」


「こ、こんな…!こんなもの…でッ…!!」


ビキビキッ!


彼女の周囲の地面が陥没するように形を変え、その威力の高さを示しているようだ。

体が悲鳴をあげ、今にも肉がひしゃげてしまいそうになる。


「ううう…!"地を…覆え天蓋…"!」


「クッ…!まだ動けるのか…!?」


涼は強力な力で地に伏せながらも、魔法の詠唱を始めた。


「"降り注ぐ…雨も…!其の元には…届かぬ…!!"」


パアアアアァァッ!


涼を中心に、淡く白い光が地を包み込み、周囲に張られた重力場を打ち消していく。

"ランドプロテクター"は、グラビテーションフィールドを完全に封じた。



「し、しまっ…!」


ドオオオオォッ!!


それは重力場を作ることで、相手をその場に拘束できる技ではあるが、術者自体がその場を動くことが出来ない。

無防備なファルシオンに、涼の放つファイアーボールが襲い掛かる。


ダダァンッ!


両腕でガードし、防ぎ切れない勢いに、後方の壁に吹き飛ばされるように叩きつけられる。



「…許しませんわ…!妾を地に這い蹲らせるなど……万死に値しますわ!!」


キイイイィィンッ!


涼は周囲にダイヤモンドダストの氷柱を展開し、スペルフィストに乗せて放った。


ドドドドドドドッ!





「………これが……俺の最後のスキルだ……」



ファルシオンは、迫り来る魔法を前に小さく呟いた。


ザシュッ!


「グハッ…!」


直撃はさせないにせよ、体を無数の氷柱に傷つけられ、ファルシオンは苦しみに顔を歪める。


既に、彼の負ったダメージは体を動かせぬ程に蓄積していた。




だが、



ズシャッ!


「……え…?あ、あ……」


その場にいる誰もが目を疑った。


傷付き、動けぬファルシオンと対峙する涼が、"体から地を流し、体勢を崩したのだから"。



「ど…どう、して……」


涼が負ったのは、ファルシオンが負ったものと同じ、"氷柱で付けられたような鋭い傷"である。




「…リフレクト……シールド……」



ファルシオンが放ったのは、クルセイダー系が得意とする反射スキル、"リフレクトシールド"。

本来は近接攻撃のみしか反射することは出来ない。


しかし、涼の放ったダイヤモンドダストは、



「…スペルフィストを……反射した、ですって…?」



そう。
彼女の魔法は、近接攻撃と成りうるスペルフィストに乗せて放たれていた。



ファルシオンは、己の意地を賭けて、最後の技を行使する。
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