コンロン力地下闘技場編20
しばしの間、無双SHIZUをお楽しみください。
続きは小説です。
「ワシの、武器……」
ケビンの剣を握る手に力が込められ、ワナワナと震えを起こす。
「返せええええええぇっ!!」
ダンッ!
ケビンは怒りを顕に、ジルへと飛び掛った。
「あっ!待てケビン!クソッ…!」
それを制止しようとするマサオ。
しかし、時既に遅し。
ケビンはその剣を振りかぶり、ジルへと振り下ろしていた。
キィンッ!
ジルは剣を横に構え、それを受け止める。
ゴオッ!
両方のツインエッジから炎が噴き出し、周囲に火の粉を撒き散らす。
同じ種類の武器である以上、その力も同等と言えるのだろうか。
「…あっ!?」
しかし、ケビンは一つの"異変"を目にし、表情を歪める。
「気付いたか……だが、もう遅い!!」
ズオオオオッ!
ジルの言葉と共に、蒼炎のツインエッジから蒼白い炎が一層強くあがる。
いや、それは錯覚だったのかもしれない。
「ほ、炎が…!小さくなってる!?」
ケビンの手にした紅炎のツインエッジ、その真紅の炎は、"まるで蒼炎に吸収されるかのように、勢いが弱くなり始めていたのだ"。
「属性相性ぐらい…覚えておくんだな!!」
ギィンッ!
「ウアァッ…!」
ケビンはジルの横薙ぎに押し返され、後方に吹き飛ぶ。
そう。それに大きく作用するのは、武器に付与されている"属性"。
紅炎は火属性。
対する蒼炎は、火属性に強い"水属性"。
当人達がいかに剣を振ろうとも変わらない。
属性という絶対的な相性の悪さが、その組み合わせにはあった。
フッ!
次の瞬間、ジルは背後に現れた気配を感じ取る。
それは、残影により一気に距離を詰めたマサオである。
「羅刹…覇凰撃イイィィィッ!!」
ドドドドドドドッ!
マサオの拳から、波動の連撃が放たれる。
しかし、
ガガガガガンッ!
ジルは両手を前でクロスさせ、その連撃を全て受け止めた。
その勢いで少なからず後方に下がりつつも、大きな傷を負っているようには見えない。
(ガードが…完璧過ぎる!手応えが全然ない…!)
マサオはその恐ろしさに身震いした。
以前ケビンに放った同様の攻撃。
それは、彼女の極端なまでの体の柔軟さによって"受け流された"にすぎない。
だが、目の前の人物は違う。
攻撃を全て受け止め、それでも尚大きな傷一つ負わず、"次の攻撃体勢へと移ろうとしている"のだから。
「スパイラル…!!」
「クッ…!?」
ゴオォッ!
ジルが腕を捻るように剣を握った瞬間、蒼の炎が唸りをあげる。
マサオは羅刹覇凰撃を放った直後で、すぐに動くことが出来ない。
「ピアアアアアァァスッ!!」
ドガガガガガッ!
地面に螺旋状の傷跡を残すように、ジルはマサオへと突進する。
どう足掻いても、それを避け切ることは出来ない。
「オオオオォッ!」
バンッ!
マサオは蒼炎に身を焼かれながら、白刃取りを試みた。
「いい判断だ……だがっ!」
ドドドドドッ!
ジルの突進は止まらない。
白刃取りをしたマサオごと、壁際まで彼女を力尽くで押し切る。
「その程度の力で止められると思うな!!」
ドォンッ!
「ぐっ…あ!」
ジルは左腕を伸ばし、マサオの頭を壁に埋め込むように押し付けた。
その力の前に、マサオは両足で立つ力を失い、崩れ去る。
ゴゴゴゴゴゴッ!
「!?」
その時、後方で地鳴りを起こすような気配に、ジルは振り向いた。
そこに立っていたのは紛れもない。
「マサオ氏から……」
彼女のパートナーである、ケビンだった。
「離れろおおおおぉぉッ!!」
ズオォッ!
ケビンは紅炎の力を借り、メテオストームの隕石を召喚した。
それを勢いよくジルに向けて放つ。
「……剣の力を引き出したか」
ジルは迫り来る隕石を前に、剣を構えた。
「しかし、それはこちらも同じこと!!」
バキィンッ!
蒼炎が唸りをあげ、周囲に氷の柱を展開する。
それこそ、蒼炎のツインエッジに秘められた力。
「フロスト…ダイバアァーッ!!」
ガキィンッ!
ジルから放たれた氷結魔法が、一直線に隕石に襲い掛かる。
それは隕石の表面を凍結させ、減速させていく。
バッ!
「ソニック…!」
即座にジルは構えを作る。
それは、東方の古武術に伝えられる、"居合い"の構えである。
「ウェーブッ!」
ザシュウッ!
放たれた真空波は、メテオストームをいとも簡単に、真っ二つに引き裂いた。
これにより、ジルに隕石が衝突する事はない。
だが、
ダンッ!ダンッ!
「ぬっ…!?」
対するケビンは、予想に反した動きで接近を図る。
真っ二つにされた隕石、その間を蹴り飛ばし続け、"徐々に加速度を増していっている"。
「"昇龍豪炎"とは…!」
ダンッ!
十数回の加速の後、ケビンは凄まじいスピードでジルに襲い掛かった。
「こういう事を言うんだああああぁぁっ!!」
「くっ!」
ギイィンッ!
それを受け止めることには成功したが、いかに属性相性が悪いと言えど、その圧倒的攻撃力とスピードを前に、後方に押され始める。
「やるなケビン…!それでこそ私の見込んだ騎士だッ!!」
「ダアアアアアアアッ!!」
凄まじい師弟対決が繰り広げられ、会場は騒然とする。
(……ケビンが……戦ってる………)
闘技場の隅で倒れたマサオは、朦朧とする意識の中、二人を見た。
(動け……動いてくれ……私の、体………)
バサッ!
その時、目にしたかは分からない。
だが、五感で感じ取ったもの。
(………紅い………髪……?)
ジルが靡かせる、真紅の長髪だった。
(……私は………どこかで……あれを………)
マサオは、その"真紅"を前に、意識を失った。
それの意味するものを、探し求めるように、静かに。
続きは小説です。
「ワシの、武器……」
ケビンの剣を握る手に力が込められ、ワナワナと震えを起こす。
「返せええええええぇっ!!」
ダンッ!
ケビンは怒りを顕に、ジルへと飛び掛った。
「あっ!待てケビン!クソッ…!」
それを制止しようとするマサオ。
しかし、時既に遅し。
ケビンはその剣を振りかぶり、ジルへと振り下ろしていた。
キィンッ!
ジルは剣を横に構え、それを受け止める。
ゴオッ!
両方のツインエッジから炎が噴き出し、周囲に火の粉を撒き散らす。
同じ種類の武器である以上、その力も同等と言えるのだろうか。
「…あっ!?」
しかし、ケビンは一つの"異変"を目にし、表情を歪める。
「気付いたか……だが、もう遅い!!」
ズオオオオッ!
ジルの言葉と共に、蒼炎のツインエッジから蒼白い炎が一層強くあがる。
いや、それは錯覚だったのかもしれない。
「ほ、炎が…!小さくなってる!?」
ケビンの手にした紅炎のツインエッジ、その真紅の炎は、"まるで蒼炎に吸収されるかのように、勢いが弱くなり始めていたのだ"。
「属性相性ぐらい…覚えておくんだな!!」
ギィンッ!
「ウアァッ…!」
ケビンはジルの横薙ぎに押し返され、後方に吹き飛ぶ。
そう。それに大きく作用するのは、武器に付与されている"属性"。
紅炎は火属性。
対する蒼炎は、火属性に強い"水属性"。
当人達がいかに剣を振ろうとも変わらない。
属性という絶対的な相性の悪さが、その組み合わせにはあった。
フッ!
次の瞬間、ジルは背後に現れた気配を感じ取る。
それは、残影により一気に距離を詰めたマサオである。
「羅刹…覇凰撃イイィィィッ!!」
ドドドドドドドッ!
マサオの拳から、波動の連撃が放たれる。
しかし、
ガガガガガンッ!
ジルは両手を前でクロスさせ、その連撃を全て受け止めた。
その勢いで少なからず後方に下がりつつも、大きな傷を負っているようには見えない。
(ガードが…完璧過ぎる!手応えが全然ない…!)
マサオはその恐ろしさに身震いした。
以前ケビンに放った同様の攻撃。
それは、彼女の極端なまでの体の柔軟さによって"受け流された"にすぎない。
だが、目の前の人物は違う。
攻撃を全て受け止め、それでも尚大きな傷一つ負わず、"次の攻撃体勢へと移ろうとしている"のだから。
「スパイラル…!!」
「クッ…!?」
ゴオォッ!
ジルが腕を捻るように剣を握った瞬間、蒼の炎が唸りをあげる。
マサオは羅刹覇凰撃を放った直後で、すぐに動くことが出来ない。
「ピアアアアアァァスッ!!」
ドガガガガガッ!
地面に螺旋状の傷跡を残すように、ジルはマサオへと突進する。
どう足掻いても、それを避け切ることは出来ない。
「オオオオォッ!」
バンッ!
マサオは蒼炎に身を焼かれながら、白刃取りを試みた。
「いい判断だ……だがっ!」
ドドドドドッ!
ジルの突進は止まらない。
白刃取りをしたマサオごと、壁際まで彼女を力尽くで押し切る。
「その程度の力で止められると思うな!!」
ドォンッ!
「ぐっ…あ!」
ジルは左腕を伸ばし、マサオの頭を壁に埋め込むように押し付けた。
その力の前に、マサオは両足で立つ力を失い、崩れ去る。
ゴゴゴゴゴゴッ!
「!?」
その時、後方で地鳴りを起こすような気配に、ジルは振り向いた。
そこに立っていたのは紛れもない。
「マサオ氏から……」
彼女のパートナーである、ケビンだった。
「離れろおおおおぉぉッ!!」
ズオォッ!
ケビンは紅炎の力を借り、メテオストームの隕石を召喚した。
それを勢いよくジルに向けて放つ。
「……剣の力を引き出したか」
ジルは迫り来る隕石を前に、剣を構えた。
「しかし、それはこちらも同じこと!!」
バキィンッ!
蒼炎が唸りをあげ、周囲に氷の柱を展開する。
それこそ、蒼炎のツインエッジに秘められた力。
「フロスト…ダイバアァーッ!!」
ガキィンッ!
ジルから放たれた氷結魔法が、一直線に隕石に襲い掛かる。
それは隕石の表面を凍結させ、減速させていく。
バッ!
「ソニック…!」
即座にジルは構えを作る。
それは、東方の古武術に伝えられる、"居合い"の構えである。
「ウェーブッ!」
ザシュウッ!
放たれた真空波は、メテオストームをいとも簡単に、真っ二つに引き裂いた。
これにより、ジルに隕石が衝突する事はない。
だが、
ダンッ!ダンッ!
「ぬっ…!?」
対するケビンは、予想に反した動きで接近を図る。
真っ二つにされた隕石、その間を蹴り飛ばし続け、"徐々に加速度を増していっている"。
「"昇龍豪炎"とは…!」
ダンッ!
十数回の加速の後、ケビンは凄まじいスピードでジルに襲い掛かった。
「こういう事を言うんだああああぁぁっ!!」
「くっ!」
ギイィンッ!
それを受け止めることには成功したが、いかに属性相性が悪いと言えど、その圧倒的攻撃力とスピードを前に、後方に押され始める。
「やるなケビン…!それでこそ私の見込んだ騎士だッ!!」
「ダアアアアアアアッ!!」
凄まじい師弟対決が繰り広げられ、会場は騒然とする。
(……ケビンが……戦ってる………)
闘技場の隅で倒れたマサオは、朦朧とする意識の中、二人を見た。
(動け……動いてくれ……私の、体………)
バサッ!
その時、目にしたかは分からない。
だが、五感で感じ取ったもの。
(………紅い………髪……?)
ジルが靡かせる、真紅の長髪だった。
(……私は………どこかで……あれを………)
マサオは、その"真紅"を前に、意識を失った。
それの意味するものを、探し求めるように、静かに。
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