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雨強ス

小説更新。


相変わらずですが興味のある方だけ見てください。
WC編第7話「焦がれて、壊れて」







グオオオオオォォォォォォッッ!!!



咆哮と共に目の前に現れたのは、"怪物"という名が実に相応しい氷の魔獣だった。


四本の足で地に立ち、その背には青白い"氷の炎"が燈されている。




突如洞窟の中心、地下から這い出すように姿を現した魔獣は、タイタン達を視界に捕えた。



「なんだあれは、カバか?ワニか?」


額に汗を溜めながら、焦り、恐怖を通り越し、率直な疑問をタイタンは漏らしてしまう。


「ボサッとしてんじゃないよ!ここは一旦下がるんだ」


それをアリルが一喝する。

それを合図に、全員が敵に背を向け一目散に駆け出す。


走りながらもタイタンはアリルに問い掛ける。


「アリル!お前ならあの怪物を封印することができるんじゃないのか!?」


アリルは振袖を揺らしながら優雅に走る。
数秒考え込むが、どうやら何も思い付かなかったらしい。


「無理だ。奴は倒すしかない」


「そ、そんなぁ、あんな大きいの相手にするなんて…」


アリルの発言に、マツリは走りながらも弱音を吐いてしまう。


「怪物に、弱点はないんですか…?」


菫吏はそれでも冷静に質問をする。

(もはや緊張の連続で寒さは通り越したようだ)


「弱点というなら……奴は水属性だからな、風属性の攻撃が有効だろう。そして…」


「なんだ、策があるのか?早く言え!」


冷静沈着なアリルを、タイタンは急かすように問い詰める。


アリルはタイタンに急かされながらも焦らずに、ゆっくり口を開いた。


「奴の背の"氷の炎"だ。あれを消すことができれば、活動を停止させることができるだろう」


タイタンはそれを聞き、少し安心しながらも再び顔をしかめた。


「待て、"氷の炎"を消すには特別なアイテムが必要だと聞いたぞ?今からそんなの探してたら…」


「あぁ、"氷の粉"ならここにある」


アリルが袖の中から小さな袋を取り出した。




ズサーッ!!


タイタンは前から盛大に転んだ。

すぐに起き上がり、アリルを怒鳴りつける。


「あるなら最初から言いやがれ!!」


「誰もないとは言ってない」


アリルの冷静なツッコミに、タイタンは確実にペースを乱されていた。

その様子を見ながら、マツリはクスクスと笑っている。


「おじさん、今のコケ方最高!」


「タイタンにしては珍しいね」


マツリの言葉にダズまで顔に笑みを浮かべた。


タイタンはチッと舌打ちをし、すぐに表情を真剣なものに戻す。



「次の岩影に隠れて、作戦を練る!」















"クトルラナックス"は低い唸り声をあげながら、周囲を見回している。

5人は怪物に見つからないように、無事に岩影に隠れることができた。


「しかし、なんてデカさだ……歩く度に洞窟全体を揺らしてやがる。どうやって炎を消すか…」


冷や汗を浮かべながらも、タイタンは思考を巡らせる。


「炎を消すのはアタシがやる」


アリルが名乗り出た。

タイタンもそれにゆっくり頷いた。


「適任だな。お前に任せよう」


「私があれを怯ませますから、そのスキにお願いします」


その機会を作るのにダズが名乗り出た。

彼女は槍を片手に持ち、立ち上がる。


「じゃあ、私ととーりんで牽制すればいいんだね!」


「はい、任せてください。……って、とーりん、ですか?」


その呼び方に菫吏はさも可笑しそうに笑みを浮かべて返した。

マツリは手を前に突き出し、Vサインを作った。


「可愛い名前でしょ?よろしくねとーりん!」


菫吏も、そんなマツリに小さくVサインをして返す。


「よし、作戦は決まったな。そんで、これはお前達に命令だ」


タイタンは真剣な顔で全員を見る。



「全員、絶対に死ぬな!」



4人は頷き、それを最後に散開し各々の配置に移動した。



「こっちだ化け物!!」


タイタンが真っ先に岩影から飛び出した。

魔獣はタイタンを視界に捉えると、ゆっくりと、しかし大きくその4本の足でタイタンに近付いてくる。


「デカいのかますぜ!」


タイタンは両手を前に突き出し、魔法の詠唱を始めた。

ローグやチェイサーだけに許された能力"クローンスキル"で、タイタンは相手の魔法さえも我が物にしている。


詠唱の時間を稼ぐため、マツリと菫吏はその後方から弓を構えた。



「いくよとーりん!シャープ…!」


「はい!アロー…!」


マツリは一本の矢を大きく引き絞り、菫吏は数本の矢を纏めて引き絞った。


そして、ほぼ同時に矢を放つ。


「シューティングッ!!」


「シャワーッ!!」


マツリの放った矢は真っ直ぐ敵へ向かい、その氷の表面を刺し貫く。

致命傷とまではいかないものの、魔獣は確実にダメージを負い動きを鈍らせる。


そこにすかさず、菫吏の孤を描くように放った矢の群れが、雨のように降り注ぐ。


「やったね!見たおじさん?あいつ今のでよろけたよ!」


「バカッ!前を見ろ!」


喜ぶマツリを、タイタンは詠唱をしながらも怒鳴り付ける。

なんと魔獣は口を開き、タイタン達に向けて氷の吹雪を巻き起こす。


「ひ、ひぇっ!」


マツリの顔が青ざめた。


触れるものは全て氷つかせる絶対零度の魔法"ストームガスト"が放たれる。

それに反応し、アリルは無表情のままに、袖から青と黄のジェムストーンを取り出す。


「ランドプロテクター!!」


吹雪が直撃しそうになり、咄嗟に身構えた三人を銀色に輝く足場が埋め尽くす。


「…あれ、なんともねえ……すげえなアリル!」


「いちいち褒めてんじゃないよ。さっさと魔法を撃ちな」


アリルはタイタンの言葉にも全く動じず、詠唱を促した。


ランドプロテクターにより魔獣の吹雪は無効化され、そのスキにタイタンの詠唱が完成する。



「いくぜえええぇぇっ!!」




ドォンッ!!



魔獣を包む魔法陣の上方から、文字通り"大蛇"が急降下し、地面に吸い込まれるように衝突することで周囲に爆発を巻き起こした。


これこそが風属性最強の大魔法"ロード・オブ・ヴァーミリオン"である。



ドドドドドドドッ!!



「へえ、やるじゃないか」


アリルが表情にも現し、称賛する。
タイタンは誇らしげに顔を緩めた。


「へへっ、こういう時のために知り合いにもらっといてよかったぜ」


タイタンが片手に握っていた短剣"バゼラルド"によって、魔法の威力は更に強化されていた。


さすがにこれでは魔獣も一たまりもないだろう。
タイタンは表情に余裕を見せたが、次の瞬間、



「な、にっ…!?」




再び顔を引きつらせることになる。

爆発の煙が晴れた後に、魔獣は悠然とその姿を現したのだ。


「おじさんの魔法が、効いてないの!?」


マツリは一歩後ずさった。

そう、魔獣は既に、ニ発目の"ストームガスト"を放つための動きを始めていたのである。


アリルが舌打ちし、袖から新たなジェムストーンを出そうとした。









「ありがとう、タイタン」




ダズの声が聞こえた。


彼女は魔獣の死角に、前足と後ろ足のちょうど間の腹部、その側面に立っていた。


既に槍を"ねじるように"構え、体勢を低く保ちながらそこに存在していた。



(みんなが作ってくれたチャンスを、全ての力をこの一撃に!)



「いっけー!お姉ちゃん!」


マツリの声が耳に入って来た。

心の中でそれに返し、彼女は地を蹴った。



「スパイラル…!」



そして槍を前に、




「ピアアァーースッッ!!」



全身全霊をかけ放つ、相手の体を貫かんとする一撃。

低い体勢からの突進力と、槍の回転を同時に利用した"スパイラルピアース"が魔獣に炸裂する。





ドオオォォンッ!!



槍は大きな衝突音と共に氷の表面を貫き、魔獣の腹に大穴を開けた。
コメント

ありるんが見事に『あねさん』ぽす!
そういや『とーりん』って呼び始めたの誰でしたっけ・・・・・。

アリルさんだけ一人称が「アタシ」というところもポイントだったり。

たぶんうちかタイタンが「とーりん」って呼び始めたんだっけなぁ…。昔からいる誰かだとは思うけど!

うーん。私も覚えてないやー。
アリルさんの気もするんだけれど……。

No title

久しぶりに来てみたら小説とは……

今から全部拝見しますね!

とーりん>ありるんかもしれないね!まあ肝心のありるんはここを見てないかもしれないが…

イルさん>見つかった!?でも誰かに見てもらえるのは嬉しいことです。なんか最初のほうとか高校の頃書いたので非常に恥ずかしいんですよ…
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