暑いし、雨多いね
今回も小説で。
相変わらず興味のない人、批判するような人は見ないように。
相変わらず興味のない人、批判するような人は見ないように。
体を突き刺したダズの一撃に、魔獣は苦痛のうめき声をあげる。
だが、さすがは氷の洞窟の守護獣である。
それだけでは終わらず、体を捻り横から大きな尻尾をダズに向けて振るう。
咄嗟に槍を構えて防御しようとしたが、
「てやっ!!」
ズガァンッ!!
掛け声と共に飛び込んだアリルの蹴りが、魔獣の尻尾に炸裂した。
尻尾はその勢いを失い、弾かれる。
「ありがとうございます、アリルさん」
ダズはアリルに感謝の言葉をかけたが、着地したアリルは無言で振り向き、ダズに向けて魔法を放つ。
「ライトニングローダー!」
電撃がダズの体、武器に走った。
「これは…!?」
ダズが驚き、槍を軽く振るう。
するとその先端から風属性を表す青白い光りが走る。
「アンタにはもう一仕事してもらうよ」
アリルは武器に属性が付与されたことを確認すると、ダズから魔獣へと向き直る。
「よし、二人とも次で最後だ」
タイタンは二人の無事を確認すると、マツリと菫吏に指示を出す。
「「はいっ!」」
弓手の女二人は大きな返事をし、二本の矢をそれぞれ構える。
タイタンはコートに隠れた腰から弓のパーツを取り出し、即座に組み上げた。
マツリが驚いて反応したが、すぐに期待の感情を顔に現す。
「おじさんの弓だ!」
「元弓使いを舐めんなよ」
タイタンは組み立てた"アーバレスト"にすぐに弓を二本装填する。
魔獣はその離れた場所にいる三人に向き直り、再び口を開いた。
"ストームガスト"が放たれようとしている。
「させるかああぁっ!!」
その瞬間ダズが魔獣の頭上に現れ、風属性を纏った槍がその頭上から振り下ろされる。
「ヘッドクラッシュ!!」
ドオォンッ!!
振り下ろされた槍が、大きく開かれた口を上から叩き付けることで魔獣の口を閉じさせ、吹雪の発動を封じた。
「今だあぁっ!!」
タイタンの合図と共に、
「「「ダブル!」」」
マツリと菫吏が、タイタンと同時に、
「「「ストレイフィングッ!!」」」
矢を放った。
三人の攻撃は、真っ直ぐに魔獣の顔面に向けて飛ぶ。
無防備となった顔にその矢が突き刺さり、魔獣は再び叫び声をあげる。
グオオオオオォォォッッ!!!
額を貫く三人の攻撃によろめき、暴れだす。
「よし!」
アリルは魔獣の攻撃が止んだことを確認すると、その背に飛び移った。
氷の炎の真ん中に降り立つと、すぐに袖から小さな袋を取り出す。
紐を解き、中に入っていた"氷の粉"をその炎に振り撒いた。
「クトルラナックスよ、今は安らかに眠れ……」
放たれた白い粉は、炎に触れるとすぐに反応を示し、それを全て鎮火させた。
グオオアアアアアァァァッッ!!!
魔獣は洞窟全体を揺らすような咆哮をあげると、瞳から光を失いその場に崩れ落ちた。
ズウウゥゥンッ!!
地響きを起こすと、魔獣"クトルラナックス"は二度と動くことはなくなった。
「やったああぁーっ!!」
マツリが歓喜の声をあげ、タイタンと菫吏に飛び付いた。
ダズとアリルも、魔獣が動かなくなったことを確認すると、視線を合わせて微笑みあった。
洞窟の中心を更に下に降りると、そこは天井の低い空洞になっていた。
「こっちだ」
アリルが先頭を歩き、他を誘導する。
「こんなところにいたのか、"洞窟の主"ってやつは……」
タイタンは辺りを見回しながら顔をしかめた。
先程の氷の魔獣以上の敵が出て来る可能性もある。
警戒を怠らず、5人はゆっくりと空洞の奥へと歩を進めて行く。
「"洞窟の主"は、話に応じてくれるんでしょうか…?」
「……わからん…」
ダズの質問に、アリルは少し間を起き、短く答えた。
だが、彼女が言うには、今の主に戦う力はないとのことらしい。
タイタンは、洞窟のモンスターの大量発生とそれが何か関係があるのではないかと推測していた。
「何か嫌なことが起ころうとしてるのか……」
彼は不吉な予感をふと口から漏らしてしまったが、すぐに悪い方向には考えないようにと、首を左右に振った。
その瞬間、
『人間ヨ』
「!!」
聞くだけで相手を氷つかせるような、低く冷たい声が空洞内に響き渡った。
そこにいた全員が身構え、武器に手をかけた。
『……クトルラナックスヲ退ケテマデ、ココニ何ノ用ダ……』
空洞の奥には台座があった。
その上には先程見たものとほぼ同じ、"氷の炎"が燈されている。
どうやらそれが洞窟の主の本体らしい。
タイタンが武器から手を離し、一歩前に出た。
「俺はプロンテラ騎士団のタイタン。主よ、何故洞窟でモンスターが大量発生しているんだ?」
『……闘イニ備エテイルダケノコトダ。コチラモ問ワセテモラウガ、貴様ラガ封印ノ炎ヲ消シタノカ…?』
"闘い"という言葉に少し反応を見せるタイタン。
だが、それよりも相手の質問に先に答えたほうがいいらしい。
少し怒っているようだ。
「…さっきも聞かれたが、炎を消したのは俺らじゃない。もともと魔獣と戦うつもりはなかったしな。とばっちりはゴメンだぜ……」
と語っている最中にチラッと後ろのアリルを見たが、物凄い形相で睨まれていることに気付き、直ぐさま首を正面に向け直す。
そしてタイタンは主に更に問い掛けた。
「闘いとはなんだ?まさか、人間と戦争をおっぱじめようなんて考えちゃいないだろうな……」
口調を強め、真剣な顔をするタイタン。
数秒の間を置いて、主が語り始めた。
『トールノ炎ガ迫ッテイル。永キニ渡リ続イテイタ均衡ガ今、破ラレヨウトシテイルノダ……』
「なっ!トール火山にまで動きがあるのか!?」
タイタンは驚愕した。
トール火山は、ラヘルを挟んでこの氷の洞窟と反対に位置する場所である。
過去に炭鉱として発達を広げてきたトールだが、原因不明の爆発事故、付近の火山の活性化、モンスターの出現が"偶然にも"重なって起こり炭鉱は閉鎖され、今では無人、モンスターの巣窟と化していた。
緊迫した空気の中、タイタンが口を開いた。
「……主よ、ここは一つ俺達にまかせてくれないか?」
『何ダト…?』
タイタンの言葉に全員が驚いた。
ダズが焦るように一歩前に出、タイタンの横に立つ。
「タイタン!トールの危険性はあなたもわかってるはずなのに…!」
「あぁ、だが氷の洞窟とトール火山に戦争なんてされたら、付近の街にまで被害が出かねないだろ?それに……」
タイタンは何か考えがあるようだ。
主の炎に向き直り、"交渉"を始めた。
「あんたは今"動けない"。相手の……トール火山のボスは一筋縄ではいかないだろ?」
『…………』
主はタイタンの言葉を聞き、沈黙した。
トール火山のボス"イフリート"は、強大な力を持つ炎の魔人。
戦争となれば真っ先に魔人が全てを焼き払うであろう。
今戦う力のない氷の洞窟の主が不利であることは言うまでもない。
更にタイタンは強く前に出た。
「その代わり、あんたが先に攻撃を仕掛けたりはしないでくれ。この異変には"裏がある"。必ず俺達が食い止めてみせる」
"裏"。この言葉に主は炎を揺らめかせる。
そして主は、
『……ヨカロウ…』
タイタンの交渉に応じた。
ダズ、マツリ、菫吏は驚き、同時に表情を険しくさせる。
アリルは今まで黙っていたが、ゆっくりと口を開いた。
「アタシは別ルートで動きを探ろう。どうもおかしいと思ってたんでね」
「助かるぜアリル。俺ら"Water Carnival"は、トール火山へ向かうぞ」
アリルに一度頷くと、ダズとマツリのほうを向き、指示を出した。
洞窟の主は、更にタイタンへと語りかけた。
『我ラモ長クハ待テン。ダガコチラニ不利ナ闘イデアルコトニ変ワリハナイ。少ナカラズ我モ協力ヲシヨウ』
主が話し終わると、台座の下から小さな"リング"が姿を現した。
「これは…?」
タイタンは驚きながらも、ゆっくりとそのリングを掴み、手の平に乗せた。
『"リングオブレゾナンス"ダ。貴様ラ人間デモ十分扱エルダロウ。持ッテイクガイイ』
小さいながらも、そのリングは力強い輝きを放っていた。
タイタンはそれを握りしめると、洞窟の主に一礼した。
「ありがとう、主よ。このタイタン、騎士団の誇りに賭けて必ずや任務を成功させてみせる」
洞窟の主はそれには答えず、無言でタイタン達を見送った。
プライドだった。
かつて、タイタンやダズの知る人物も、同じ感情を持っていた。
魔族と人間。
たとえ分かりあえない関係であったとしても、同じ世界に生きているのだから。
「……簡単に受けてよかったの?」
氷の洞窟を出た後、ダズは心配になりタイタンに話しかけた。
タイタンは笑顔でダズに向き直る。
「大丈夫だよ。うちのギルドにもトールの魔人に負けねえぐらいすごいのが、三人もいるだろ?」
タイタンは自信に溢れた表情でそれに答えた。
「……?」
首を傾げるダズ。
タイタンの右手には、光り輝く"リングオブレゾナンス"が今も握られていた。
ところ変わって、ここはプロンテラ騎士団内。
「ぶえっくしょおぉいっ!!」
豪快なクシャミをする人物がいた。
どこかで見た光景である。
それに心配そうに声をかける人物がまた一人。
「大丈夫?風邪でもひいて……くちゅんっ!」
声をかけた人物も、小さいながらクシャミをしてしまう。
更に、
「なんだなんだ、二人ともだらしな……はっくしゅんっ!!」
三人目に姿を現した人物も、二人に話し掛けると同時にクシャミをした。
チャンピオン、ロードナイト、ジプシー。
クシャミをした三人ともが上位二次職であった。
だが、さすがは氷の洞窟の守護獣である。
それだけでは終わらず、体を捻り横から大きな尻尾をダズに向けて振るう。
咄嗟に槍を構えて防御しようとしたが、
「てやっ!!」
ズガァンッ!!
掛け声と共に飛び込んだアリルの蹴りが、魔獣の尻尾に炸裂した。
尻尾はその勢いを失い、弾かれる。
「ありがとうございます、アリルさん」
ダズはアリルに感謝の言葉をかけたが、着地したアリルは無言で振り向き、ダズに向けて魔法を放つ。
「ライトニングローダー!」
電撃がダズの体、武器に走った。
「これは…!?」
ダズが驚き、槍を軽く振るう。
するとその先端から風属性を表す青白い光りが走る。
「アンタにはもう一仕事してもらうよ」
アリルは武器に属性が付与されたことを確認すると、ダズから魔獣へと向き直る。
「よし、二人とも次で最後だ」
タイタンは二人の無事を確認すると、マツリと菫吏に指示を出す。
「「はいっ!」」
弓手の女二人は大きな返事をし、二本の矢をそれぞれ構える。
タイタンはコートに隠れた腰から弓のパーツを取り出し、即座に組み上げた。
マツリが驚いて反応したが、すぐに期待の感情を顔に現す。
「おじさんの弓だ!」
「元弓使いを舐めんなよ」
タイタンは組み立てた"アーバレスト"にすぐに弓を二本装填する。
魔獣はその離れた場所にいる三人に向き直り、再び口を開いた。
"ストームガスト"が放たれようとしている。
「させるかああぁっ!!」
その瞬間ダズが魔獣の頭上に現れ、風属性を纏った槍がその頭上から振り下ろされる。
「ヘッドクラッシュ!!」
ドオォンッ!!
振り下ろされた槍が、大きく開かれた口を上から叩き付けることで魔獣の口を閉じさせ、吹雪の発動を封じた。
「今だあぁっ!!」
タイタンの合図と共に、
「「「ダブル!」」」
マツリと菫吏が、タイタンと同時に、
「「「ストレイフィングッ!!」」」
矢を放った。
三人の攻撃は、真っ直ぐに魔獣の顔面に向けて飛ぶ。
無防備となった顔にその矢が突き刺さり、魔獣は再び叫び声をあげる。
グオオオオオォォォッッ!!!
額を貫く三人の攻撃によろめき、暴れだす。
「よし!」
アリルは魔獣の攻撃が止んだことを確認すると、その背に飛び移った。
氷の炎の真ん中に降り立つと、すぐに袖から小さな袋を取り出す。
紐を解き、中に入っていた"氷の粉"をその炎に振り撒いた。
「クトルラナックスよ、今は安らかに眠れ……」
放たれた白い粉は、炎に触れるとすぐに反応を示し、それを全て鎮火させた。
グオオアアアアアァァァッッ!!!
魔獣は洞窟全体を揺らすような咆哮をあげると、瞳から光を失いその場に崩れ落ちた。
ズウウゥゥンッ!!
地響きを起こすと、魔獣"クトルラナックス"は二度と動くことはなくなった。
「やったああぁーっ!!」
マツリが歓喜の声をあげ、タイタンと菫吏に飛び付いた。
ダズとアリルも、魔獣が動かなくなったことを確認すると、視線を合わせて微笑みあった。
洞窟の中心を更に下に降りると、そこは天井の低い空洞になっていた。
「こっちだ」
アリルが先頭を歩き、他を誘導する。
「こんなところにいたのか、"洞窟の主"ってやつは……」
タイタンは辺りを見回しながら顔をしかめた。
先程の氷の魔獣以上の敵が出て来る可能性もある。
警戒を怠らず、5人はゆっくりと空洞の奥へと歩を進めて行く。
「"洞窟の主"は、話に応じてくれるんでしょうか…?」
「……わからん…」
ダズの質問に、アリルは少し間を起き、短く答えた。
だが、彼女が言うには、今の主に戦う力はないとのことらしい。
タイタンは、洞窟のモンスターの大量発生とそれが何か関係があるのではないかと推測していた。
「何か嫌なことが起ころうとしてるのか……」
彼は不吉な予感をふと口から漏らしてしまったが、すぐに悪い方向には考えないようにと、首を左右に振った。
その瞬間、
『人間ヨ』
「!!」
聞くだけで相手を氷つかせるような、低く冷たい声が空洞内に響き渡った。
そこにいた全員が身構え、武器に手をかけた。
『……クトルラナックスヲ退ケテマデ、ココニ何ノ用ダ……』
空洞の奥には台座があった。
その上には先程見たものとほぼ同じ、"氷の炎"が燈されている。
どうやらそれが洞窟の主の本体らしい。
タイタンが武器から手を離し、一歩前に出た。
「俺はプロンテラ騎士団のタイタン。主よ、何故洞窟でモンスターが大量発生しているんだ?」
『……闘イニ備エテイルダケノコトダ。コチラモ問ワセテモラウガ、貴様ラガ封印ノ炎ヲ消シタノカ…?』
"闘い"という言葉に少し反応を見せるタイタン。
だが、それよりも相手の質問に先に答えたほうがいいらしい。
少し怒っているようだ。
「…さっきも聞かれたが、炎を消したのは俺らじゃない。もともと魔獣と戦うつもりはなかったしな。とばっちりはゴメンだぜ……」
と語っている最中にチラッと後ろのアリルを見たが、物凄い形相で睨まれていることに気付き、直ぐさま首を正面に向け直す。
そしてタイタンは主に更に問い掛けた。
「闘いとはなんだ?まさか、人間と戦争をおっぱじめようなんて考えちゃいないだろうな……」
口調を強め、真剣な顔をするタイタン。
数秒の間を置いて、主が語り始めた。
『トールノ炎ガ迫ッテイル。永キニ渡リ続イテイタ均衡ガ今、破ラレヨウトシテイルノダ……』
「なっ!トール火山にまで動きがあるのか!?」
タイタンは驚愕した。
トール火山は、ラヘルを挟んでこの氷の洞窟と反対に位置する場所である。
過去に炭鉱として発達を広げてきたトールだが、原因不明の爆発事故、付近の火山の活性化、モンスターの出現が"偶然にも"重なって起こり炭鉱は閉鎖され、今では無人、モンスターの巣窟と化していた。
緊迫した空気の中、タイタンが口を開いた。
「……主よ、ここは一つ俺達にまかせてくれないか?」
『何ダト…?』
タイタンの言葉に全員が驚いた。
ダズが焦るように一歩前に出、タイタンの横に立つ。
「タイタン!トールの危険性はあなたもわかってるはずなのに…!」
「あぁ、だが氷の洞窟とトール火山に戦争なんてされたら、付近の街にまで被害が出かねないだろ?それに……」
タイタンは何か考えがあるようだ。
主の炎に向き直り、"交渉"を始めた。
「あんたは今"動けない"。相手の……トール火山のボスは一筋縄ではいかないだろ?」
『…………』
主はタイタンの言葉を聞き、沈黙した。
トール火山のボス"イフリート"は、強大な力を持つ炎の魔人。
戦争となれば真っ先に魔人が全てを焼き払うであろう。
今戦う力のない氷の洞窟の主が不利であることは言うまでもない。
更にタイタンは強く前に出た。
「その代わり、あんたが先に攻撃を仕掛けたりはしないでくれ。この異変には"裏がある"。必ず俺達が食い止めてみせる」
"裏"。この言葉に主は炎を揺らめかせる。
そして主は、
『……ヨカロウ…』
タイタンの交渉に応じた。
ダズ、マツリ、菫吏は驚き、同時に表情を険しくさせる。
アリルは今まで黙っていたが、ゆっくりと口を開いた。
「アタシは別ルートで動きを探ろう。どうもおかしいと思ってたんでね」
「助かるぜアリル。俺ら"Water Carnival"は、トール火山へ向かうぞ」
アリルに一度頷くと、ダズとマツリのほうを向き、指示を出した。
洞窟の主は、更にタイタンへと語りかけた。
『我ラモ長クハ待テン。ダガコチラニ不利ナ闘イデアルコトニ変ワリハナイ。少ナカラズ我モ協力ヲシヨウ』
主が話し終わると、台座の下から小さな"リング"が姿を現した。
「これは…?」
タイタンは驚きながらも、ゆっくりとそのリングを掴み、手の平に乗せた。
『"リングオブレゾナンス"ダ。貴様ラ人間デモ十分扱エルダロウ。持ッテイクガイイ』
小さいながらも、そのリングは力強い輝きを放っていた。
タイタンはそれを握りしめると、洞窟の主に一礼した。
「ありがとう、主よ。このタイタン、騎士団の誇りに賭けて必ずや任務を成功させてみせる」
洞窟の主はそれには答えず、無言でタイタン達を見送った。
プライドだった。
かつて、タイタンやダズの知る人物も、同じ感情を持っていた。
魔族と人間。
たとえ分かりあえない関係であったとしても、同じ世界に生きているのだから。
「……簡単に受けてよかったの?」
氷の洞窟を出た後、ダズは心配になりタイタンに話しかけた。
タイタンは笑顔でダズに向き直る。
「大丈夫だよ。うちのギルドにもトールの魔人に負けねえぐらいすごいのが、三人もいるだろ?」
タイタンは自信に溢れた表情でそれに答えた。
「……?」
首を傾げるダズ。
タイタンの右手には、光り輝く"リングオブレゾナンス"が今も握られていた。
ところ変わって、ここはプロンテラ騎士団内。
「ぶえっくしょおぉいっ!!」
豪快なクシャミをする人物がいた。
どこかで見た光景である。
それに心配そうに声をかける人物がまた一人。
「大丈夫?風邪でもひいて……くちゅんっ!」
声をかけた人物も、小さいながらクシャミをしてしまう。
更に、
「なんだなんだ、二人ともだらしな……はっくしゅんっ!!」
三人目に姿を現した人物も、二人に話し掛けると同時にクシャミをした。
チャンピオン、ロードナイト、ジプシー。
クシャミをした三人ともが上位二次職であった。
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