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なかなかよく

モチベが続いてますね。また小説です。

今度はプロンテラ待機組をどうぞ。
「……つ…!」


また、胸が痛み出した。

知りたくないわけではない。
この痛みを感じるということが、繋がりの強さの証明であり、相手の痛みでもあるのだから。


「大丈夫ですか?」


対面に座っていた男が、不安げに語りかけてきた。

男は、聖職者として大聖堂から支給されている"白い法衣"を纏ったプリーストであった。

職業からうかがえるように、対面に胸を苦しそうに抱える"女性"を気遣う姿が顕著に現れている。


「……大丈夫、です……これは、私の痛みではありませんから……」


対する"女性"は、非常に身に纏う服の質量が少ない。

上から布を被るように隠しはするが、それでも露出する肌の面積が多いのは変わらない。


この容姿から、彼女が踊り子"ダンサー"であることが伺える。


「心配していただいて、ありがとうございます。"ザーロットさん"」


聖職者の名はザーロット。
大聖堂のプリーストであり、今回ギルド"Water Carnival"の任務の協力者として、アジトに招かれていた。


ザーロットは感謝の言葉には答えず、更に心配を強めるように返した。


「……菫吏さん、あなたはもしかして……」


「…………」


そのダンサーの名は"菫吏"。
同じくギルドに所属することになり、ギルドマスターのタイタンの指示でプロンテラ待機組となっていた。


ザーロットの想像を、菫吏は少なからず理解しているようだ。


「よく、気付かれましたね……」


菫吏の返答に、ザーロットは更に顔を暗くした。


「……それは、あなたが全て背負うべきではない!痛みは、あなたのものではないのだから……」


ザーロットは、菫吏に特殊な"能力"が少なからず備わっていることに気付いており、それを教えられてもいた。

菫吏は口調を強めたザーロットを前にし、悲しげな表情を返す。


「この"共有"の力は生れつきのものです……今更どうあがこうと、消せるものではありません」



"共有"。

それは、人が放つ精神の波動を微弱ながらに察知し、その人物の考えや行動、そして"心の痛み"までをも理解しようとしてしまう能力。

菫吏は幼少よりこの生れつきの能力に苦しんだ時代があった。


友人や周りの者は皆口々に"相手の心が読める奴を近くに置きたくはない"と、自分から遠ざかるようになっていき、最終的には自らその関係を断ち切ることとなった。

現在は旅を続ける中で、その能力の在り方を探していた。



「今の痛みは、タイタンさん達の……」


「……はい」


菫吏は小さな声と、頷くことでそれに答えた。

距離が離れていることで、感覚は非常に弱いものである。
だが、それ以上にその身の心配だけが残る。


「菫吏さん、貴女はとても強い方だ……私なら人の痛みまで受け入れていては、すぐに重圧に潰されてしまってもおかしくはない……」


ザーロットは立ち上がり、一度菫吏に背を向けながら語りかけていたが、再び振り返った。


「だが、貴女のことを虐げるような人はこのギルドにはいない。それは、貴女自身が1番よくわかっているはずだ……」


「……そうですね」


ザーロットの言葉に、菫吏は小さな笑顔をつくって返した。


「今トール火山は、異常なほど強い感情が渦巻いています」


菫吏は己が感じたものからそう判断した。

トールに向かったタイタン、ダズ、マツリ、アリル、三姉妹。
それに謎の人物の影がうごめいている。


これだけ離れていても伝わるほどの感情の力に、菫吏は身を震わせた。



「今は祈りましょう……それが、私達ができる最善の選択です……」


ザーロットは窓の外を見、既に日が沈み始めていることに気付いた。

地平線の向こうに沈み行く日はとても"赤く"周囲を照らし、夕焼けは夜の訪れを告げようとしている。
コメント

かっこいい

ざろさんが、かっこいいですよ。

トール組も続きが気になる・・・。

No title

このとーりんの能力どうしようかな。何に使えるかな。

とりあえずとーりんのこと見て変な妄想してるタイタンの考えは読めちゃうよね!
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